岩波書店から刊行中のフロイト全集です。
これまで人文書院の「フロイト著作集」はありましたが、全集の刊行は本邦初になります。
フロイトの心理学的著作を年代順に網羅して全22巻の構成になっています。主な底本はドイツ語版全集(Gesammelte Werke)ですが、「失語論」など日本語版のみの著作も含まれています。
岩波書店のホームページでは、全巻予約した方のみに販売されるとのことでしたが、このようにアマゾンや一般書店でも買えるようです。ただ、すでに在庫がなくなった巻もあり、予約せずに全巻そろえたい方は発売ごとに購入していった方がよいかもしれません。
翻訳の信頼度は著作集に比べると格段に上がっているようですので、これからフロイトを読もうという方は、やはりこちらの全集を読んだ方がよいでしょう。著作集は割引販売などされていてお得にみえますが。
全巻で統一された重要な用語は、著作集などで親しんだものとはかなり変更されており、違和感があります。例えば、欲望(願望)、想い出(記憶)、快原理(快感原則)、リビード(リビドー)などです。(カッコ内が従来の訳語)
脚注や書誌事項は、翻訳者にもよりますが、独語版や英語版全集からの引用が多いです。
本巻の「夢解釈」については、フロイトの最重要著作ということもあって全集編集委員の新宮一成氏が翻訳しており、気合いの入ったつくりになっています。しかし、この巻が出てずいぶんたちますが後半の第5巻がまだ出版されていません。
少し古くなったけど文庫版の『夢判断』(高橋 義孝訳)もよいので、全集をそろえようという人以外は買わないでしょうか。
収録著作
●夢解釈(前半)
月報3
フロイトと象徴的親殺し 今村仁司
「苦」から「無」の「明り」へ 小林康夫
超自我と文化=文明化の問題 柄谷行人
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