1974年読書感想文コンクールの中学生の部の課題図書。
20世紀初めのイギリスが舞台の物語である。主人公のクリスチナは金持ちの孤児で、物語の初めは12歳。5歳の時、両親を事故で同時に亡くす。その後親戚の家を転々とし、母の姉妹で未亡人のグレイス叔母の家に落ち着いたと思ったら、母方の伯父のラッセルの屋敷に引き取られることになる。ラッセルはクリスチナの財産が目当てで、将来自分の息子と結婚させるつもりのようである。
ラッセルは気難しく横暴で、乗馬と狩猟にしか関心がなく、財産を食い潰していた。長男のマークが父親そっくりなのに対し、次男のウィリアムはそんな父親に反発し、落馬して怪我をして膝に障害が残ると分かった時、「これで乗馬をしなくてすむ」と喜んだほどである。彼は当時草創期だった飛行機に関心があり、近くの飛行家のもとに通って学んでいる。
ウィリアムは知性や教養があり、使用人のディックが能力があるにもかかわらず、極貧家庭に生まれたため奴隷に近い状態であることに、世の中の不合理を感じたりしている。そして、父親との確執を深めていく。
クリスチナはディックの指導もあって乗馬に夢中になる。が3年後、愛馬が殺されることになり、愛馬の命を救うため、ディックに不正行為をさせてしまい、ディックは解雇されてしまう。ショックを受けたクリスチナは、困窮するディックのために何とかしようとするが、自分の無力さを思い知らされただけだった。21歳になるまで、父親の遺産に手を付けることができないのである。
マークがディックの妹を妊娠させ、ディックがマークをボコボコにして大怪我させた時、ラッセルがディックを少しも咎めなかったことには救いを感じた。
更に2年後、ウィリアムと父親の不仲は決定的となり、ウィリアムは家を出る。そして、クリスチナにも決断の時が来た。
第二部の「雲のはて」では、草創期の飛行機に情熱をかける人々の姿が描かれている。
作者のキャスリーン・ペイトンは、「ゲド戦記」シリーズのル=グウィン、「モモ」のミヒャエル・エンデ、「第九軍団のワシ」のローズマリー・サトクリフ、そしてアンネ・フランクと同じ1929年生まれである。この年、多くの大物作家が生まれている。
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