下巻の冒頭に付いているカラー版フラクタル画像を見るだけで
この本を買った価値があります。ところで最近数学セミナー(2014年7月号)
を眺めていると、坪井俊先生が数学啓蒙ビデオ「DIMENSIONS」、「CHAOS」の
紹介をしていました。ネットで無料で視聴できます。しかも日本語で。
Googleでdimensions-math.org またはchaos-math.orgと検索すれば簡単に
視聴できます。どちらも13分X9章の構成です。
美しい動画で、フラクタル/カオスの世界に連れて行ってくれます。
CGの進歩恐るべしです。マンデルブロもこのような動画を見たかったのでは
ないでしょうか。特にDIMENSIONS-6 のマンデルブロ集合とジュリア集合を
並べて見せる動画は虫が蠢くようで圧巻です。
さて下巻も相変わらず私には難解でしたが、その中で
40章 略伝
41章 歴史的外観
は、歴史物語なのでよく理解できました。マンデルブロは自分のことを、
「主流に迎合せず孤立する研究者」と位置づけ、自分に影響を与えた、
やはり彼同様「主流に迎合せず孤立する研究者」の諸氏について愛情を持って
語っています。その筆頭に不遇な数学者バシュリエ(1870-1946)の名前がありました。
この名前は確率論の伊藤清先生が若いころもっとも影響を受けた人として
私の記憶にあります。バシュリエの論文(Theory of Speculation)は1900年に提出され、
こんなものは数学論文ではないとほとんど50年間世の中に無視されたのち、
マンデルブロを通じてフラクタル幾何学の創出(フィールズ賞)につながり、
伊藤清先生の「伊藤の定理」を通じてブラック・ショールズの公式(ノーベル賞)に
つながったというのは本当に奇遇です。
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