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[淡波亮作]のフックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん 〜とっても小さな九つの国〜

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フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん 〜とっても小さな九つの国〜 Kindle版

〜とっても小さな九つの国〜 (3冊) の1冊目

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価格
新品 中古品
Kindle版
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紙の本の長さ: 186ページ

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商品の説明

内容紹介

初の連載小説にしてほんわかしたお伽話『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』。
物語はそのままに、新たに描き下ろしの挿し絵を加えた電子書籍版です。また、本文中から劇中歌へのリンクを組み込んでいますので、BGMとして聴きながらお楽しみください(Kindle Paperwhiteなどの読書専用端末ではお聴きになれません)。

※2019年4月28日改訂版発行 他の巻同様、全章に挿し絵を追加したバージョンになります!

──ものがたり──

フックフックの国に住むエビネルさんは仕立て屋の見習いで、トッカトッカの国に住むカニエスさんはきこりの見習いです。ある日、エックエックの偉大な王様が、こんなおふれを出しました。
「《世界で一番勇気のある若者》を、美しいお姫様のむことして迎える」
というのです。
エビネルさんとカニエスさんはそれぞれの理由で、勇気を手に入れるための旅に出発したのでした。

さて、二人は勇気ってやつを手に入れることができるでしょうか。そして、美しいお姫様を射止めるのは──?


WEBブラウザ上で読書端末のように読めるBiB/iを採用した試し読みページが作品ページ(awa.newday-newlife.com)にございます(古いPCでも読めるPDF版もあります)
劇中歌やテーマ曲もこちらでお聴きになれますので、是非おいでくださいね!

■■■ 立ち読みコーナー(電子書籍では全漢字にルビを振っています)■■■



 フックフックの国に住んでいるエビネルさんはやせっちょで、お酒が大好き。トッカトッカの国に住んでいるカニエスさんは太っちょだけど、お酒はぜんぜん飲みません。いいえ、飲めないんです。だからなのか、やせっちょエビネルさんのお腹は出ていて、太っちょカニエスさんのお腹はぜーんぜん出ていないのです。

 エビネルさんは仕立て屋の見習いで、毎日毎日美しい生地にアイロンをかけたり、服のほころびを縫い直したりして、暮らしていました。店のご主人は、お金持ちのご婦人方といつも楽しそうにおしゃれの話をしていたけれど、お給金の少ないエビネルさんは、余った生地を上手に組み合わせて使い、自分で縫った服ばかりを着ていたのです。エビネルさんはいつもいつも、楽しそうに話すご婦人方とご主人を見て、思っていたのです。ぼくもいつか自分のお店を持って、ご主人と呼ばれるようになるんだ、って。

 あるとき遠い遠いエックエックの国のえらい王様が、世界中に向けておふれを出しました。

 「美しい姫のおむこさんを探しているのだが、世界で一番勇気のある若者は、誰か?」と──。

 フックフックのエビネルさんは、その話をリンダおばさんから聞きました。そのとき、おばさんはこう言ったのです。
「あんたのようなやせの大酒飲みは、決してお姫様のおメガネにかなうものかい」って。
 それを聞いたエビネルさんは言いました。
「でもおばさん、王様はお酒のことをおっしゃってはいないじゃありませんか。ぼくはお酒が大好きだけど、それでひとさまに迷惑をかけたりなんかしない。だから勇気ってやつを示すことができたなら、ぼくにもきっと、お姫様と結婚する権利があるはずですよ」
 おばさんは面白くなさそうに顔をしかめました。
「じゃあ、行ってみるがいいさ、あんたのようなくだらない男に、勇気の意味が分かるものかね!」
 おばさんは、ケタケタといやらしい笑い声を立てて行ってしまいました。




 トッカトッカのカニエスさんは、きこりの見習いです。親方を見習って真面目に修行を重ねていましたが、とっても臆病な性格で、キツネの鳴き声にも飛び上がって驚くようなありさまでした。毎日毎日木を切って、筋骨隆々の体なのにおかしいですね──カニエスさんは筋骨隆々なんじゃなくて、ただの太っちょさ、という人も多かったのですが──。
 そのカニエスさんは、エビネルさんと同じ話をプルースおじさんから聞きました。

「お前さんよう、エックエックの王様を知ってるでな?」
「うん、知ってるともさ。うんときれいなお姫様がいるって話を聞いたことがあるよ」
「おう、それだそれだ。そのお姫さんのよう、おむこさんを探しているんだと」
「お姫様のムコって言ったら、王子様だろう? いいなあ王子様は、黙っていたって、お姫様がお相手なんだものなあ」
「それがよう、カニエス。ちがうんだと」
「ちがうって何がさ」
「王様が探してなさるのは王子様じゃあねえ、世界で一番勇気のある若者だってえ話さ」
「勇気かい、そりゃあぼくにはちっともないものだなあ」
 カニエスさんは夢見るように青いお空を眺めました。雪のように真っ白い雲が、ふんわりと空を泳いでいました。
「最初からそんなこと決めるもんじゃあねえさ。なあ、カニエス、考えてもみな、お姫様と結婚すりゃあ、やがてはお前が王様だぞ」
 カニエスさんはプルースおじさんのそんな言葉には耳をかさず、ただただお空の白い雲を眺めていました。
「ボンヤリしてねえで、おじさんにも夢の一つくらい見させてくれたらどうだね、カニエスよう。まさかお前、親のいないお前をここまで育ててやった恩を忘れちまったんじゃあるまいな」
 プルースおじさんは、あきれたような怒ったような顔つきで、空の雲を見上げました。すると、どうしたことでしょう、真っ白だった雲が、しだいしだいに黒っぽい色に濁ったと思ったら、ばさりばさりと音が響いて、大きな大きなカラスが雲の中から飛び出してきたのです。



 大カラスはまるで二人のことを知っているように、目の前に舞い降りました。そしてくるりと体を回転させたのです。すると、あれあれ、と目を丸くしている二人の目の前で、大カラスの羽の中からおばあさんの姿が現われたのでした。いいえ、大カラスだと思ったのは、おばあさんの羽織る真っ黒いマントだったのです。くちばしに見えたのは、つばのとがった大きな帽子でした。

 真っ黒ずくめのおばあさんが言いました。
「あんたたち、勇気を手に入れたいと話していたね」
「いいえ、そんなことはありません。ぼくは勇気になんてこれっぽっちも興味がないし、欲しいとも思わないんですから」
 カニエスさんはプルースおじさんをちょっとだけ盗み見ながらも、はっきりと言いました。
「困ったおいっ子でさあ。このカニエスにちっとでも勇気があったなら、おれも苦労をせずにすむものをなあ!」
 プルースおじさんは大げさな身ぶりで、おばあさんに言いました。
「ぼくだって本当の本当は……」カニエスさんはもじもじしながらも、言いました。「ちょっとばかりの勇気があったらいいかもなって、思うことはありますよ。でもね、それは無理な相談なんです。ぼく、山で木を切っていたって、何かちょっと動くものがいたりするだけで、心臓が止まるくらいにビックリしちゃうんですから」
「こらこら止めんか、カニエスよ。ますますもってみっともないったらありゃあしないよ」
 おばあさんは二人の様子をいらいらしながら見守っていました。
「でもね、おじさん、ぼくはね……」
「えーい、いくじのない男だ!」
 そんな二人に、おばあさんはしびれを切らして言いました。
「それで、どうしたいんだい? ちょっとの勇気でも欲しいってんなら、聞かないでもないんだよ」
「本当かい、おばあさん」
 プルースおじさんの表情がゆるみました。
「ぼくはいいよおじさん。このまんまで満足なんだから」
「そんなもんで満足だなんて、どの口で言うかね! 何でもいい、おばあさんや、どうか、この臆病カニエスに勇気を与えてはくれまいか」

  (続きは電子書籍でどうぞ!) 

登録情報

  • フォーマット: Kindle版
  • ファイルサイズ: 15465 KB
  • 紙の本の長さ: 186 ページ
  • 同時に利用できる端末数: 無制限
  • 出版社: Newday Newlife 出版部 (2015/12/4)
  • 販売: Amazon Services International, Inc.
  • 言語: 日本語
  • ASIN: B018Z53O5E
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能): 有効
  • X-Ray:
  • Word Wise: 有効にされていません
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