大国アメリカが、自由資本主義をはき違え始めた我が身を顧みて内省する為の作品で、最大の特色としてトム・ハンクスに演じさせたガンプは、知能指数が低いという主人公としてはかなり珍しい人物に設定されている。
その分、彼を守るために闘う母親の強き愛情に先ず心を打たれ、彼を色眼鏡で見ない幼馴染みや戦友達に観客達も同調していくのだ。
損得勘定で判断しない主人公を通して、人が持つ高い能力は自分のためではなく社会や周囲に使うべきで、自愛より他愛を推奨している。また、勝ち負けで左右されるプライドよりも未来を信じて努力を惜しまない姿勢の方がより大事だと説く。
人の命を重んじ、誠意を持って友を受け入れ、約束を守り、一生懸命に働く事。アメリカが自信を取り戻したいなら、希望に満ち、純粋で誠実だった頃の気持ちに戻って頑張ろうと。
その間違いや反省は決して若者に限らない。大人だってこれから変えれば良いとダン中尉が語ってくれる。幼馴染みの恋人のジェニーも米国の間違ってきた行いや世相を体現する役回りとして、多くの退廃思想や堕落の艱難辛苦の末にガンプの元に戻る、米国社会の象徴として重要な存在だ。その彼女すら許して受け入れるガンプの寛容さこそ大事だと観客に訴えているのだ。
台風影響でのエビ豊漁、卓球の政治利用、走りでの信仰者への祭り上げ、最後は労働ではなく投資収益と、米国流のかなりのご都合が入るが、国民にとって共通の環境条件として素直に受け入れよう。
主目的は米国民向けだが、その普遍的な問い掛けは万国共通であり、純真な心を宿す主人公を期待に違わず好演し、その名声を不動の物としたトム・ハンクスにより、本作は映画史に残る名作となった。
こういう作品が創れない映画界なんて本当に詰まらないし、こういう作品を共有出来る世界に生きている事にも感謝したい。そう思わせる逸品だと思う。
フォレスト・ガンプ 一期一会 スペシャル・コレクターズ・エデ [DVD]
フォーマット | 色, ドルビー, 吹き替え, 字幕付き, ワイドスクリーン |
コントリビュータ | ロバート・ゼメキス, ゲイリー・シニーズ, ロビン・ライト, トム・ハンクス, サリー・フィールド |
稼働時間 | 2 時間 22 分 |
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商品の説明
パラマウントが誇る、時代を超えた名作・傑作をお求めやすい価格で!!
“人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみるまで中身が分からない。”
【映像特典】
■Disc1
(1)音声解説 1:ロバート・ゼメキス(監督)、スティーブ・スターキー(製作)、リック・カーター(プロダクション・デザイナー)
(2)音声解説 2:ウェンディ・ファイナーマン(製作)
■Disc2
(1)ドキュメンタリー「フォレスト・ガンプの謎」
(2)メイク・アップの魔法
(3)「フォレスト・ガンプ」の音響効果
(4)「フォレスト・ガンプ」のプロダクション・デザイン
(5)「フォレスト・ガンプ」の特殊効果;見ることは感じること
(6)フォト・ギャラリー
(7)スクリーン・テスト
(8)オリジナル劇場予告編
登録情報
- アスペクト比 : 2.35:1
- 梱包サイズ : 19 x 14.4 x 2 cm; 158.76 g
- EAN : 4988113756761
- 監督 : ロバート・ゼメキス
- メディア形式 : 色, ドルビー, 吹き替え, 字幕付き, ワイドスクリーン
- 時間 : 2 時間 22 分
- 発売日 : 2008/6/20
- 出演 : トム・ハンクス, ゲイリー・シニーズ, サリー・フィールド, ロビン・ライト
- 言語 : 日本語 (Dolby Digital 2.0 Surround), 英語 (Dolby Digital 5.1)
- 販売元 : パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- ASIN : B00170LCKE
- ディスク枚数 : 2
- Amazon 売れ筋ランキング: - 157,421位DVD (の売れ筋ランキングを見るDVD)
- - 15,975位外国のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.5
星5つ中の4.5
10,449 件のグローバル評価
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どうしてこんな事に.....?スチールブック のデザインが複数あるという事なのでしょうか。
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上位レビュー、対象国: 日本
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殿堂入りNo1レビュアーベスト10レビュアー
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2019年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作品は1950~1980年代のアメリカを舞台に、知能指数が他人よりも劣るというハンデを背負ったフォレスト(トム・ハンクス)を主人公に、彼と彼を取り巻く人々の人生との対比と係わりを通して、彼のひたむきな人生における「愛」、「幸福」、「運命と風に吹かれ漂うような出来事との関係」、「死」、「名誉・名声と無欲」等を描いています。・・・どう生きたら良いのか、それについて示唆を与えてくれる素晴らしい作品です。
この作品を魅力的なものにしているもう一つは、挿入されている音楽の素晴らしさです。この時代は、ベトナム戦争、大統領暗殺、ウォーターゲート事件、ジョン・レノン殺害など否定的な出来事があった反面、ベトナム反戦運動の大きな盛り上がり、反戦歌の流行など、それらにたいする運動もまた展開されました。・・・激動と力強さを感じさせる時代でした。この作品は、それら時代の大きなうねり、気分を写しとった音楽を多用することにより、この時代の雰囲気を生き生きと感じさせることに成功しているようです。これは、その時代に青春期を過ごし、時代と音楽が体にしみ込んだゼメキス監督だからこその効果的な演出だったのではないでしょうか。
何度観ても飽きない、そして音楽がとても素敵な作品です。ぜひ、ご覧ください。
(以下は評者の作品解釈です。エピソードを多く含むため、ご覧いただいた後にお読みいただいただければ幸いです。)
1、フォレストの人物像について
フォレストは、もちろん架空の人物、作られた人物です。そして、物語の展開はフォレストの人物設定と深くかかわっていると思われます。それゆえ、人物像の設定から見てゆきましょう。
①人物設定その1
この作品は、知能指数が他人よりも劣るというハンデを背負ったフォレスト個人の特殊な人生を描こうとしているわけではないと思われます。知能指数が他人よりも劣るというハンデを背負ったフォレストを主人公にすることで、反対に、フォレストにも、他の人間すべてにも共通して現われる人生の根本的な問題、核心に迫ろうとしているのではないか?・・・評者はそのような印象を受けました。(フォレストの母は、「人はみな同じだ」とフォレストに教えていました。)
②人物設定その2
この作品には、「運命」と「風に吹かれ漂うこと」という人生の対立する二側面がたびたび登場しています。ところで「運命」は、フォレストの人物設定とかかわっているように思われます。そこで、「運命の女神フォルトゥーナ」についてのWikipediaの記述を見てみましょう。
「運命を操るための舵を携えており、運命が定まらないことを象徴する不安定な球体に乗り、幸運の逃げやすさを象徴する羽根の生えた靴を履き、幸福が満ちることのないことを象徴する底の抜けた壺を持っている。また、チャンスは後からでは掴めないということを表しているために、フォルトゥーナには後ろ髪がなく前髪しかないとされている」(以上は、Wikipediaフォルトゥーナの項より)
第一に、舵はエビ採り船の舵、球体はピンポン玉、羽根の生えた靴はナイキのシューズに羽根が舞い降りたもの、底の抜けた壺はチョコレートを150万個食べられるフォレスト自身(チョコレートは幸福の象徴)、億万長者のフォレスト自身、フォレストの後頭を刈り上げた髪型・・・以上の類似が見られます。そして第二に、「運命」は、それ自体定まらず不安定であること、幸運は逃げやすく、チャンスは逃げることがあること等が含まれていると考えられていることが分かります。
ここから、フォレストという人物は、「運命」の擬人化、あるいは「運命」と「風に吹かれ漂うこと」という人生の対立する2側面が統一された理想形ではないかと推定されます。
➂人物設定その3
また、彼の名前「フォレスト」とは、KKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)の創設者といわれる、ネイサン・ベッドフォード・フォレストに由来することが作品の中で説明されます。ネイサンは、南北戦争戦争時代の人物(南軍)で、戦争中に一兵卒から将軍にまで上り詰めた数少ない人物の一人(戦争で英雄、・・・フォレストも同様、以下括弧内はフォレストの場合)、後にKKKは非愛国的になったとして解体を働きかけた人物(過ちを戒めるためフォレストと名づけた)、アラバマ州の鉄道会社で社長になった(エビ採り会社社長)、過去にはメンフィスの相場師と呼ばれ(アップル株への投資)、船の船長を務めたことがあり、南北戦争が始まる前に百万長者になっていた等、フォレスト・ガンプとの多くの共通点が見られます。(以上はWikipedia調べ)
以上から、知能指数が他人よりも劣るというハンデを背負った人物を通して人生の根本に迫るという方法を採り、「運命」の擬人化とネイサン・ベッドフォード・フォレストの人生のエピソードを巧みに物語の展開に織り込んだのが、フォレストの人物設定ではないかと推定されます。
フォレストの人生だけに限れば、彼が成功を収めてゆく人生の歩みは、多分に、ご都合主義的に作られたという印象を観る者に与えるかもしれません。それは一面では確かなようでもあります。「運命」の擬人化ということからすれば、それは当然のことかもしれません。しかし、他方、フォレストを取り巻く人々の人生は、その時代に生きていた、現実の生身の人間に近い描写がなされているのではないか、とも感じさせるのではないでしょうか。この作品は、この両者の歩みの対比と係わりを通して、人生をどのように生きたらよいのか、この問いにたいする答えを鮮明に浮かび上がらせているように思われます。そこで次に、ダン中尉、とジェニー、フォレストの人生について振り返ってみましょう。
2、人生における「運命」と「風に吹かれ漂うこと」の関係
「人生はチョコレートの箱のよう」、とこの作品では幾度か繰り返されています。これは、母親がフォレストに分かるように説明した言葉でした。これは、フォレスト自身の言葉である、「運命と風に吹かれ漂うことが同時に起こっている」ということと同じでしょう。それは、生まれてから死ぬまで、人の人生はあらかじめ決められているという立場とは異なります。反対に人生の一局面、次の一局面は成功することも失敗することもあり、全てが決まっているわけではない、ということにほかなりません。人はお互いに働きかけ合いながら相手の人生の成功、失敗の条件となり、しかし、各々の人生の一局面、一局面は各々が選択し運命を選んでいるということです。また、フォレストは成功してゆきますが、周囲の人びとから成功の条件を与えられるだけでなく、彼も周囲の人々に影響を与えています。少年時代のエルビスへの影響のエピソードは、その一例です。(フィクションですが)しかし、影響に気がつかず、人生の条件としてそれを採り入れないということもしばしば起こります。
①ダン中尉は、運命はあらかじめ決められていると考える立場の人物でした。彼は戦場で負傷し、両足を失うハンディキャップを負ってしまいます。しかし、フォレストに助けられ、それにより人生の在り方に目覚めました。彼は、人生の変化を受け入れ、生き抜く象徴として描かれているようです。
また彼は、ハンデを負った後は、神や教会にも反対でした。神が運命を握っていると考えるなら、なぜ彼はハンデを背負わなければならなかったのか?・・・そこに答えは無いでしょう。彼は、変化を受け入れ、自分に備わった条件を大切にしながら新しい人生を歩み始めます。彼は、両足を失ってからは両腕を鍛え上げる努力をしていました。そして、フォレストの存在は、彼が歩み始める大きなきっかけ、条件として働きました。フォレストは、ダン中尉が神と仲直りしたと述べますが、ダン中尉は、運命はあらかじめ決められていて動かせないという狭い考え方から抜け出したということなのではないでしょうか。(この作品の始めは、羽根が風に吹かれ漂い、教会のてっぺんに置かれた十字架と二重写しになるところから始まります。神と運命との関係は、作品の冒頭から提示されていたと考えられます。)
②フォレストとジェニーの生き方は正反対です。ジェニーは、少女時代、父から性的虐待を受け、故郷を捨てて出てゆきたいと願っていました。そしてシンガーになるという夢を持ち、自分を変え、別の自分になることを望み・願いました。ジェニーは、自分の手で運命を変えられると信じているようです。また彼女は、現実から逃げ、自分を見つめない自己否定の立場のようです。そして、幼いころから自分の気持ちを慰め、支えとなっていたフォレストの存在に、長い間、気がつきませんでした。彼女は夢を追い求めますが、しかし、性的虐待が暴力による虐待に変わっただけでした。その上、新しい自分を求めるはずが薬物に囚われ、荒廃した生活に落ち込んでしまいます。そして、人生に行き詰まり、飛び下り自殺寸前になるまで精神的に追い込まれてしまいます。彼女は、自分の手で運命を変えようとして、反対に、それが裏目に出てしまう人生を歩みます。そして、子供を産み、不治の病になって初めて、フォレストの存在に気がつくことになります。
➂フォレストは、自分に備わった力や条件を大切にする自己肯定の立場です。彼の最初の力は走ることでした。しかし、それは、けっして走る能力が優れていることを彼自身の中から自然に発見したのではありませんでした。それは、いじめっ子たちから逃げることから始まりました。彼は逃げようとして走るうちに、自らの走る能力に気がつきました。そして、そこにはジェニーの「逃げて、走るのよ」という言葉がきっかけとなっていました。最初は逃げるという「風に吹かれ漂う」形で現われた走る力・・・それに、一旦、フォレスト自身が気づくと、彼は後ろを振り返らずにひたすら走るようになりました。その結果、走る力は、彼に備わった、人生成功のための大きな条件の一つになっていました。同じように、アメフトでの活躍と大学進学、軍隊への入隊と適性、ベトナム戦争の英雄、ピンポンの場合も、エビ採り船での成功も、「風に吹かれ漂う」形で始まったものです。彼にとって、大金持ちになること、有名になることは結果であって、それを目指し、自分を変えようとしたのではありませんでした。自分に備わった力を大切にしてひたむきに努力する、この自己肯定的な立場により、フォレストは、「風に吹かれ漂う」形で目の前に現れた一見頼りなく不確かな現実を幸運(運命)に変えてゆくことができたのでしょう。
といっても、「風に吹かれ漂う」出来事は、なぜ彼の目の前に現れたのでしょうか。別の言い方をするなら、「運命」と「風に吹かれ漂う」こと、この人生の対立する二側面を貫き一つにしている、その根本にあるものとは何なのでしょうか。
3、人生の目的である愛
母は、フォレストに人生のあれこれを分かりやすいように説明してくれる存在、愛すべき存在でした。母は、「馬鹿なことをする者が馬鹿なんだ」という言葉で、フォレストを励まし、自分を否定的にではなく肯定的に見ることの大切さを教えました。フォレストは、愛する母の言った言葉を信じて、その通りに努力したのでした。
エビ採り船の計画はババが提案したものでした。ババが戦死したため、フォレストは、最初、一人で操業することにならざるをえませんでした。フォレストにとって、ババは入隊のバスで同席を勧め優しくしてくれた愛すべき親友でした。そして、ダン中尉がエビ採り船に乗り協力してくれました。ダン中尉も、軍隊では信頼できる上官であり、除隊後は愛すべき友人でした。
ジェニーは、スクール・バスで同席を促し、その時の優しさから、フォレストはジェニーを愛するようになりました。ジェニーの言うことを守り、走る力を発見し、それはアメフト、ベトナム戦争、大陸横断ランニングでも発揮され、大学進学、ベトナム戦争で英雄となる基礎になりました。
このように、フォレストは、自分に優しくしてくれた人々を愛し、愛する人々の言葉を信じ、守り、自分に備わった力を大切にし、ひたむきに努力してきました。成功はその結果です。「運命」と「風に吹かれ漂う」ことを貫き、一つにしているのは、これらの人々への愛です。軍への入隊やピンポンの能力のように、全く「風に吹かれ漂う」かのように見える事柄も、元をたどれば、走る能力の発見=愛するジェニーの言葉に行き着きます。フォレストにとって、愛は優しくしてくれた人々の言葉、約束を守り、またそれらの人々を守り大切にすることでした。(フォレストはジェニーに暴力を振るう人物に立ち向かっています)愛の形は様々で、フォレストの示す愛は素朴なものにすぎない、と受け取られるかもしれません。しかし、どのように発展した形の愛でも、その根本にはフォレストと同様な愛が流れているのではないでしょうか。この作品は、そう語っているように思われます。
運命と言われている人生の一局面とは、愛を実現していく一つの過程のことなのかもしれません。人生のその時々に、風に吹かれ漂うように見える出来事から、自分に備わった力を大切にし、ひたむきに努力することを通じて、その不確かな外観を剥ぎ取り、愛(人生の目的)を実現する条件に変えていく運動・・・それは、一見、一局面、次の一局面等々と、それぞれに異なり無関係に見える条件の下で、それぞれの局面どうしは断絶し、それが時間の中でただ連なって進むだけのように見えるかもしれません。
しかし、ピンポン外交によりフォレストのもとへ転がり込んだお金が、「風に吹かれ漂う」外観を持ちながら、次の局面では、エビ採り船購入の資金になり、ババとの約束を果たす条件(運命)となるように、・・・ベトナム戦争の英雄として大統領に合うためワシントンに行き、見物するという「風に吹かれ漂う」外観を持った行動が、ジェニーとの感動的な再開の条件(運命)となるように、・・・ジェニーに去られ失意のうちに、なんとは無しに大陸横断ランニングを始めたことが反響を巻き起こし(「風に吹かれ漂う」外観を持った結果物)、それをテレビで見たジェニーがフォレストに手紙を書き、再会の条件(運命)になるように、・・・
このように、この過程は次々に次の局面の条件を生み出しながら一局面から次の一局面へと進んでゆきます。一局面の結果物であって、次の局面とは無関係で「風に吹かれ漂う」出来事としか見えないものが、次の局面では「風に吹かれ漂う」外観を剥ぎ取られ、「運命」を形成する条件になる、・・・そのように進んでいます。
そして、これらが連なると、反対に、あたかも全体があらかじめ決められていたことだった、・・・全ては一つの運命だったかのように思われることになるのでしょう。しかし、フォレストの人生が示しているのは、身近にある愛に目を向け、それを実現することを目的に、自分に備わった力を大切にしてひたむきに努力することでした。一局面、一局面ごとにあらかじめ結果が決まっているものはありません。「人生はチョコレートの箱のよう。食べてみるまではわからない」のです。そこでは、愛の実現に向かってひたむきに努力すること自体が幸福となっているのではないでしょうか。
ジェニーは、フォレストと結ばれますが、すでに余命幾ばくもなく旅立ちました。作品の冒頭、バス乗り場のベンチに腰掛けたフォレストの履いているナイキのシューズに羽が舞い降りたのはそうなることを暗示したもののようです。ナイキのマークは勝利の女神ニケの翼をデザイン化したものですが、羽が生えた運命の女神の靴は、幸運が逃げやすいことの象徴です。フォレストはジェニーを失いますが、なおも生きていた時と同様に愛し続けます。彼の母やババにたいしてそうだったように・・・。愛することが人生の目的である以上、死によって愛することが終わるわけではないでしょう。愛し続けるフォレストにとって死は人生の一部になっているのではないでしょうか。彼の母やババが彼の人生の一部であり、今後もそうであり続けるように・・・。そして、ラストシーンでは、スクール・バスに乗る息子に、フォレストは「愛してるよ」と声をかけます。羽根は舞い上がり、愛する者のためにひたむきに努力するフォレストの人生に幸運のおとずれを感じさせます。とても爽やかな締めくくりになっているのではないでしょうか。
この作品は、知能指数が少し低いというハンデを負った人物を主人公に、すべての人間に共通する人生の根本を描くことに成功しているようです。それは個々人一人一人の努力の在り方を描いています。しかし、人生には個々人の力だけではどうにもならない大きな発展した局面もあります。(「レ・ミゼラブル」には、そうした局面が描かれています)それを忘れることがなければ、この作品が描こうとした人生の「運命」と「風に吹かれ漂う」外観との関係の理解は、人生を考えようとする人々に大きな示唆を与えてくれることでしょう。
この作品を魅力的なものにしているもう一つは、挿入されている音楽の素晴らしさです。この時代は、ベトナム戦争、大統領暗殺、ウォーターゲート事件、ジョン・レノン殺害など否定的な出来事があった反面、ベトナム反戦運動の大きな盛り上がり、反戦歌の流行など、それらにたいする運動もまた展開されました。・・・激動と力強さを感じさせる時代でした。この作品は、それら時代の大きなうねり、気分を写しとった音楽を多用することにより、この時代の雰囲気を生き生きと感じさせることに成功しているようです。これは、その時代に青春期を過ごし、時代と音楽が体にしみ込んだゼメキス監督だからこその効果的な演出だったのではないでしょうか。
何度観ても飽きない、そして音楽がとても素敵な作品です。ぜひ、ご覧ください。
(以下は評者の作品解釈です。エピソードを多く含むため、ご覧いただいた後にお読みいただいただければ幸いです。)
1、フォレストの人物像について
フォレストは、もちろん架空の人物、作られた人物です。そして、物語の展開はフォレストの人物設定と深くかかわっていると思われます。それゆえ、人物像の設定から見てゆきましょう。
①人物設定その1
この作品は、知能指数が他人よりも劣るというハンデを背負ったフォレスト個人の特殊な人生を描こうとしているわけではないと思われます。知能指数が他人よりも劣るというハンデを背負ったフォレストを主人公にすることで、反対に、フォレストにも、他の人間すべてにも共通して現われる人生の根本的な問題、核心に迫ろうとしているのではないか?・・・評者はそのような印象を受けました。(フォレストの母は、「人はみな同じだ」とフォレストに教えていました。)
②人物設定その2
この作品には、「運命」と「風に吹かれ漂うこと」という人生の対立する二側面がたびたび登場しています。ところで「運命」は、フォレストの人物設定とかかわっているように思われます。そこで、「運命の女神フォルトゥーナ」についてのWikipediaの記述を見てみましょう。
「運命を操るための舵を携えており、運命が定まらないことを象徴する不安定な球体に乗り、幸運の逃げやすさを象徴する羽根の生えた靴を履き、幸福が満ちることのないことを象徴する底の抜けた壺を持っている。また、チャンスは後からでは掴めないということを表しているために、フォルトゥーナには後ろ髪がなく前髪しかないとされている」(以上は、Wikipediaフォルトゥーナの項より)
第一に、舵はエビ採り船の舵、球体はピンポン玉、羽根の生えた靴はナイキのシューズに羽根が舞い降りたもの、底の抜けた壺はチョコレートを150万個食べられるフォレスト自身(チョコレートは幸福の象徴)、億万長者のフォレスト自身、フォレストの後頭を刈り上げた髪型・・・以上の類似が見られます。そして第二に、「運命」は、それ自体定まらず不安定であること、幸運は逃げやすく、チャンスは逃げることがあること等が含まれていると考えられていることが分かります。
ここから、フォレストという人物は、「運命」の擬人化、あるいは「運命」と「風に吹かれ漂うこと」という人生の対立する2側面が統一された理想形ではないかと推定されます。
➂人物設定その3
また、彼の名前「フォレスト」とは、KKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)の創設者といわれる、ネイサン・ベッドフォード・フォレストに由来することが作品の中で説明されます。ネイサンは、南北戦争戦争時代の人物(南軍)で、戦争中に一兵卒から将軍にまで上り詰めた数少ない人物の一人(戦争で英雄、・・・フォレストも同様、以下括弧内はフォレストの場合)、後にKKKは非愛国的になったとして解体を働きかけた人物(過ちを戒めるためフォレストと名づけた)、アラバマ州の鉄道会社で社長になった(エビ採り会社社長)、過去にはメンフィスの相場師と呼ばれ(アップル株への投資)、船の船長を務めたことがあり、南北戦争が始まる前に百万長者になっていた等、フォレスト・ガンプとの多くの共通点が見られます。(以上はWikipedia調べ)
以上から、知能指数が他人よりも劣るというハンデを背負った人物を通して人生の根本に迫るという方法を採り、「運命」の擬人化とネイサン・ベッドフォード・フォレストの人生のエピソードを巧みに物語の展開に織り込んだのが、フォレストの人物設定ではないかと推定されます。
フォレストの人生だけに限れば、彼が成功を収めてゆく人生の歩みは、多分に、ご都合主義的に作られたという印象を観る者に与えるかもしれません。それは一面では確かなようでもあります。「運命」の擬人化ということからすれば、それは当然のことかもしれません。しかし、他方、フォレストを取り巻く人々の人生は、その時代に生きていた、現実の生身の人間に近い描写がなされているのではないか、とも感じさせるのではないでしょうか。この作品は、この両者の歩みの対比と係わりを通して、人生をどのように生きたらよいのか、この問いにたいする答えを鮮明に浮かび上がらせているように思われます。そこで次に、ダン中尉、とジェニー、フォレストの人生について振り返ってみましょう。
2、人生における「運命」と「風に吹かれ漂うこと」の関係
「人生はチョコレートの箱のよう」、とこの作品では幾度か繰り返されています。これは、母親がフォレストに分かるように説明した言葉でした。これは、フォレスト自身の言葉である、「運命と風に吹かれ漂うことが同時に起こっている」ということと同じでしょう。それは、生まれてから死ぬまで、人の人生はあらかじめ決められているという立場とは異なります。反対に人生の一局面、次の一局面は成功することも失敗することもあり、全てが決まっているわけではない、ということにほかなりません。人はお互いに働きかけ合いながら相手の人生の成功、失敗の条件となり、しかし、各々の人生の一局面、一局面は各々が選択し運命を選んでいるということです。また、フォレストは成功してゆきますが、周囲の人びとから成功の条件を与えられるだけでなく、彼も周囲の人々に影響を与えています。少年時代のエルビスへの影響のエピソードは、その一例です。(フィクションですが)しかし、影響に気がつかず、人生の条件としてそれを採り入れないということもしばしば起こります。
①ダン中尉は、運命はあらかじめ決められていると考える立場の人物でした。彼は戦場で負傷し、両足を失うハンディキャップを負ってしまいます。しかし、フォレストに助けられ、それにより人生の在り方に目覚めました。彼は、人生の変化を受け入れ、生き抜く象徴として描かれているようです。
また彼は、ハンデを負った後は、神や教会にも反対でした。神が運命を握っていると考えるなら、なぜ彼はハンデを背負わなければならなかったのか?・・・そこに答えは無いでしょう。彼は、変化を受け入れ、自分に備わった条件を大切にしながら新しい人生を歩み始めます。彼は、両足を失ってからは両腕を鍛え上げる努力をしていました。そして、フォレストの存在は、彼が歩み始める大きなきっかけ、条件として働きました。フォレストは、ダン中尉が神と仲直りしたと述べますが、ダン中尉は、運命はあらかじめ決められていて動かせないという狭い考え方から抜け出したということなのではないでしょうか。(この作品の始めは、羽根が風に吹かれ漂い、教会のてっぺんに置かれた十字架と二重写しになるところから始まります。神と運命との関係は、作品の冒頭から提示されていたと考えられます。)
②フォレストとジェニーの生き方は正反対です。ジェニーは、少女時代、父から性的虐待を受け、故郷を捨てて出てゆきたいと願っていました。そしてシンガーになるという夢を持ち、自分を変え、別の自分になることを望み・願いました。ジェニーは、自分の手で運命を変えられると信じているようです。また彼女は、現実から逃げ、自分を見つめない自己否定の立場のようです。そして、幼いころから自分の気持ちを慰め、支えとなっていたフォレストの存在に、長い間、気がつきませんでした。彼女は夢を追い求めますが、しかし、性的虐待が暴力による虐待に変わっただけでした。その上、新しい自分を求めるはずが薬物に囚われ、荒廃した生活に落ち込んでしまいます。そして、人生に行き詰まり、飛び下り自殺寸前になるまで精神的に追い込まれてしまいます。彼女は、自分の手で運命を変えようとして、反対に、それが裏目に出てしまう人生を歩みます。そして、子供を産み、不治の病になって初めて、フォレストの存在に気がつくことになります。
➂フォレストは、自分に備わった力や条件を大切にする自己肯定の立場です。彼の最初の力は走ることでした。しかし、それは、けっして走る能力が優れていることを彼自身の中から自然に発見したのではありませんでした。それは、いじめっ子たちから逃げることから始まりました。彼は逃げようとして走るうちに、自らの走る能力に気がつきました。そして、そこにはジェニーの「逃げて、走るのよ」という言葉がきっかけとなっていました。最初は逃げるという「風に吹かれ漂う」形で現われた走る力・・・それに、一旦、フォレスト自身が気づくと、彼は後ろを振り返らずにひたすら走るようになりました。その結果、走る力は、彼に備わった、人生成功のための大きな条件の一つになっていました。同じように、アメフトでの活躍と大学進学、軍隊への入隊と適性、ベトナム戦争の英雄、ピンポンの場合も、エビ採り船での成功も、「風に吹かれ漂う」形で始まったものです。彼にとって、大金持ちになること、有名になることは結果であって、それを目指し、自分を変えようとしたのではありませんでした。自分に備わった力を大切にしてひたむきに努力する、この自己肯定的な立場により、フォレストは、「風に吹かれ漂う」形で目の前に現れた一見頼りなく不確かな現実を幸運(運命)に変えてゆくことができたのでしょう。
といっても、「風に吹かれ漂う」出来事は、なぜ彼の目の前に現れたのでしょうか。別の言い方をするなら、「運命」と「風に吹かれ漂う」こと、この人生の対立する二側面を貫き一つにしている、その根本にあるものとは何なのでしょうか。
3、人生の目的である愛
母は、フォレストに人生のあれこれを分かりやすいように説明してくれる存在、愛すべき存在でした。母は、「馬鹿なことをする者が馬鹿なんだ」という言葉で、フォレストを励まし、自分を否定的にではなく肯定的に見ることの大切さを教えました。フォレストは、愛する母の言った言葉を信じて、その通りに努力したのでした。
エビ採り船の計画はババが提案したものでした。ババが戦死したため、フォレストは、最初、一人で操業することにならざるをえませんでした。フォレストにとって、ババは入隊のバスで同席を勧め優しくしてくれた愛すべき親友でした。そして、ダン中尉がエビ採り船に乗り協力してくれました。ダン中尉も、軍隊では信頼できる上官であり、除隊後は愛すべき友人でした。
ジェニーは、スクール・バスで同席を促し、その時の優しさから、フォレストはジェニーを愛するようになりました。ジェニーの言うことを守り、走る力を発見し、それはアメフト、ベトナム戦争、大陸横断ランニングでも発揮され、大学進学、ベトナム戦争で英雄となる基礎になりました。
このように、フォレストは、自分に優しくしてくれた人々を愛し、愛する人々の言葉を信じ、守り、自分に備わった力を大切にし、ひたむきに努力してきました。成功はその結果です。「運命」と「風に吹かれ漂う」ことを貫き、一つにしているのは、これらの人々への愛です。軍への入隊やピンポンの能力のように、全く「風に吹かれ漂う」かのように見える事柄も、元をたどれば、走る能力の発見=愛するジェニーの言葉に行き着きます。フォレストにとって、愛は優しくしてくれた人々の言葉、約束を守り、またそれらの人々を守り大切にすることでした。(フォレストはジェニーに暴力を振るう人物に立ち向かっています)愛の形は様々で、フォレストの示す愛は素朴なものにすぎない、と受け取られるかもしれません。しかし、どのように発展した形の愛でも、その根本にはフォレストと同様な愛が流れているのではないでしょうか。この作品は、そう語っているように思われます。
運命と言われている人生の一局面とは、愛を実現していく一つの過程のことなのかもしれません。人生のその時々に、風に吹かれ漂うように見える出来事から、自分に備わった力を大切にし、ひたむきに努力することを通じて、その不確かな外観を剥ぎ取り、愛(人生の目的)を実現する条件に変えていく運動・・・それは、一見、一局面、次の一局面等々と、それぞれに異なり無関係に見える条件の下で、それぞれの局面どうしは断絶し、それが時間の中でただ連なって進むだけのように見えるかもしれません。
しかし、ピンポン外交によりフォレストのもとへ転がり込んだお金が、「風に吹かれ漂う」外観を持ちながら、次の局面では、エビ採り船購入の資金になり、ババとの約束を果たす条件(運命)となるように、・・・ベトナム戦争の英雄として大統領に合うためワシントンに行き、見物するという「風に吹かれ漂う」外観を持った行動が、ジェニーとの感動的な再開の条件(運命)となるように、・・・ジェニーに去られ失意のうちに、なんとは無しに大陸横断ランニングを始めたことが反響を巻き起こし(「風に吹かれ漂う」外観を持った結果物)、それをテレビで見たジェニーがフォレストに手紙を書き、再会の条件(運命)になるように、・・・
このように、この過程は次々に次の局面の条件を生み出しながら一局面から次の一局面へと進んでゆきます。一局面の結果物であって、次の局面とは無関係で「風に吹かれ漂う」出来事としか見えないものが、次の局面では「風に吹かれ漂う」外観を剥ぎ取られ、「運命」を形成する条件になる、・・・そのように進んでいます。
そして、これらが連なると、反対に、あたかも全体があらかじめ決められていたことだった、・・・全ては一つの運命だったかのように思われることになるのでしょう。しかし、フォレストの人生が示しているのは、身近にある愛に目を向け、それを実現することを目的に、自分に備わった力を大切にしてひたむきに努力することでした。一局面、一局面ごとにあらかじめ結果が決まっているものはありません。「人生はチョコレートの箱のよう。食べてみるまではわからない」のです。そこでは、愛の実現に向かってひたむきに努力すること自体が幸福となっているのではないでしょうか。
ジェニーは、フォレストと結ばれますが、すでに余命幾ばくもなく旅立ちました。作品の冒頭、バス乗り場のベンチに腰掛けたフォレストの履いているナイキのシューズに羽が舞い降りたのはそうなることを暗示したもののようです。ナイキのマークは勝利の女神ニケの翼をデザイン化したものですが、羽が生えた運命の女神の靴は、幸運が逃げやすいことの象徴です。フォレストはジェニーを失いますが、なおも生きていた時と同様に愛し続けます。彼の母やババにたいしてそうだったように・・・。愛することが人生の目的である以上、死によって愛することが終わるわけではないでしょう。愛し続けるフォレストにとって死は人生の一部になっているのではないでしょうか。彼の母やババが彼の人生の一部であり、今後もそうであり続けるように・・・。そして、ラストシーンでは、スクール・バスに乗る息子に、フォレストは「愛してるよ」と声をかけます。羽根は舞い上がり、愛する者のためにひたむきに努力するフォレストの人生に幸運のおとずれを感じさせます。とても爽やかな締めくくりになっているのではないでしょうか。
この作品は、知能指数が少し低いというハンデを負った人物を主人公に、すべての人間に共通する人生の根本を描くことに成功しているようです。それは個々人一人一人の努力の在り方を描いています。しかし、人生には個々人の力だけではどうにもならない大きな発展した局面もあります。(「レ・ミゼラブル」には、そうした局面が描かれています)それを忘れることがなければ、この作品が描こうとした人生の「運命」と「風に吹かれ漂う」外観との関係の理解は、人生を考えようとする人々に大きな示唆を与えてくれることでしょう。
2019年4月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フォレストの真面目なところを日本人が好きなのはよくわかる。ただわかるだけで感情移入は一切できない。一番のストレス要因はジェニーだね。散々遊び歩いてフォレストの気持ちを踏みにじることばかりしていて、病気になって遊び疲れたら、急にフォレストの元へ行って結婚しようだなんて、どれだけ自己中心のバカ女。そんなくそったれのジェニーの腹の内を気付いていなかったのか、或いは気づいていても直向きにジェニーに向き合ってあげられたのかはわからないが、それでも誰かがジェニーのビッチぶりを一つでもフォレストに言って、それでもフォレストがジェニーを理解してあげるのかどうかの描写はいるのではないだろうか。僕はジェニーがフォレストの陰で遊びまくってる最悪な女だということを、フォレストが理解できないまま愛しているようにしかみえないから、すごく可哀想に感じている。だから僕はジェニーに対して苛立ちを最後まで抱き、フォレストには同情を覚え、そして感動は一切生まれなかった。
2019年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
そもそも「人生はチョコレートの箱」に全くピンと来ないので。
チョコレートの箱は、開けてみるまで本人にはわからないかもしれないけど、
開ける前からチョコレートだってことは決定されているわけで、本人の意志では左右できない。
決定論の人生になんでワクワクするんだろう?
と、そこからもう既に入り込んでいけないのだが・・・・。
多分、真剣にものを考える小賢しい人間には殆ど感動ポイントが無い。
「まずはバカの視点になって色々見てみれば?」ってのも大切だけど、
そこからもう一度色々と考え初めなきゃダメでしょ・・・・。
結局、他人の悪意とか損得勘定などが理解できない知的障害者を主人公にして、
悩み苦しみ考え失敗を重ねながら生きている普通の人の切実な人生を暗にバカにしている映画だと思う。
愚直こそ美だと?ふざけるなと思う。愚直の美ってのもあるが、ただそれだけだ。
もちろん、主人公のフォレストは人をバカにしちゃいないけど、明らかに作り手の意図はそうなっている。
というのは、町山智浩氏の映画解説を見て初めて気づいたことなのだが。
以前にテレビで放映されて観た時に「なんだかムカつく映画だな・・・一体誰が感動するんだ?」
と思った記憶があるが、あらためて見直してみて、なるほど、そういう不快感を感じていたわけなのかと納得した。
あまりものを考えない保守的なアメリカ白人ならこれで感動するのだろうが、
(純真な主人公が自分たちの古き良き価値観を肯定してくれるので)
それ以外でこれに感動してしまったら感性を疑うべきだと思う。
知的障害者の存在を否定するつもりは全くないが、
その美点だけを取り上げて讃えるのは差別以外の何物でもない。
讃えるというのは対等に扱うこととは対極だ。
至るところに偽善の香りがプンプンする最低のプロパガンダ映画。
(当たり障りのない範囲でベトナム戦争を美化し反戦運動を暗にコケにしているあたりが特に臭い)
さらに、このジェーンという女性は当時のヒッピー文化の中にいる女性で、
この映画の中では「アンチテーゼ」として描かれているわけで、
(ロバート・ゼメキス自身がそう言っちゃってるらしい)
この女性の行動が意味不明に思えるのは意図的にそうなっているのだけど、
それでも「そんなに意味わからないか?そんなに悪いか?」と感じた。
彼女は「こういう気持ちでフォレストを求めていいんだろうか?」
ということを真面目に考え続けていたという文脈で捉えれば、別に不自然じゃない。
彼女にはカウンターカルチャーに関わりながら考えたいことが色々あっただろうし。
そういうことはフォレストに話しても理解できないわけだし。
友情はあっただろうけど、恋愛感情はそういうのとは別だし。
それに対して、「あんなに愛されているのに、酷い」という解釈ってどうなんだろう?
恋人同士の関係になったことはないんだから、別に悪くないだろ・・・?
でも、色々と社会のことを考えたりして自由に生きようとする女性が気に入らない男性にはそうとしか見えないんだろうなあと。
そういう意味でも、この映画で感動する感性はヤバいよなあ、と思う。
で、とにかく、彼女はなんとなくヒッピー文化に流されて破滅していって、
最後は(多分)フリーセックスのせいでエイズになる、って、この設定のエグさにドン引きする。(エイズって言わずに濁すところまで含めて)
つまり、小賢しい女とか、若者のカウンターカルチャとか、そういうものが嫌い、っていう偏った映画でしかない。
何しろ、ケネディー暗殺があるのに黒人の公民権運動が出てこない不自然。
主人公を知的障害にすることでそういう意図がバレないように見せているんだから、とてもたちが悪い。
チョコレートの箱は、開けてみるまで本人にはわからないかもしれないけど、
開ける前からチョコレートだってことは決定されているわけで、本人の意志では左右できない。
決定論の人生になんでワクワクするんだろう?
と、そこからもう既に入り込んでいけないのだが・・・・。
多分、真剣にものを考える小賢しい人間には殆ど感動ポイントが無い。
「まずはバカの視点になって色々見てみれば?」ってのも大切だけど、
そこからもう一度色々と考え初めなきゃダメでしょ・・・・。
結局、他人の悪意とか損得勘定などが理解できない知的障害者を主人公にして、
悩み苦しみ考え失敗を重ねながら生きている普通の人の切実な人生を暗にバカにしている映画だと思う。
愚直こそ美だと?ふざけるなと思う。愚直の美ってのもあるが、ただそれだけだ。
もちろん、主人公のフォレストは人をバカにしちゃいないけど、明らかに作り手の意図はそうなっている。
というのは、町山智浩氏の映画解説を見て初めて気づいたことなのだが。
以前にテレビで放映されて観た時に「なんだかムカつく映画だな・・・一体誰が感動するんだ?」
と思った記憶があるが、あらためて見直してみて、なるほど、そういう不快感を感じていたわけなのかと納得した。
あまりものを考えない保守的なアメリカ白人ならこれで感動するのだろうが、
(純真な主人公が自分たちの古き良き価値観を肯定してくれるので)
それ以外でこれに感動してしまったら感性を疑うべきだと思う。
知的障害者の存在を否定するつもりは全くないが、
その美点だけを取り上げて讃えるのは差別以外の何物でもない。
讃えるというのは対等に扱うこととは対極だ。
至るところに偽善の香りがプンプンする最低のプロパガンダ映画。
(当たり障りのない範囲でベトナム戦争を美化し反戦運動を暗にコケにしているあたりが特に臭い)
さらに、このジェーンという女性は当時のヒッピー文化の中にいる女性で、
この映画の中では「アンチテーゼ」として描かれているわけで、
(ロバート・ゼメキス自身がそう言っちゃってるらしい)
この女性の行動が意味不明に思えるのは意図的にそうなっているのだけど、
それでも「そんなに意味わからないか?そんなに悪いか?」と感じた。
彼女は「こういう気持ちでフォレストを求めていいんだろうか?」
ということを真面目に考え続けていたという文脈で捉えれば、別に不自然じゃない。
彼女にはカウンターカルチャーに関わりながら考えたいことが色々あっただろうし。
そういうことはフォレストに話しても理解できないわけだし。
友情はあっただろうけど、恋愛感情はそういうのとは別だし。
それに対して、「あんなに愛されているのに、酷い」という解釈ってどうなんだろう?
恋人同士の関係になったことはないんだから、別に悪くないだろ・・・?
でも、色々と社会のことを考えたりして自由に生きようとする女性が気に入らない男性にはそうとしか見えないんだろうなあと。
そういう意味でも、この映画で感動する感性はヤバいよなあ、と思う。
で、とにかく、彼女はなんとなくヒッピー文化に流されて破滅していって、
最後は(多分)フリーセックスのせいでエイズになる、って、この設定のエグさにドン引きする。(エイズって言わずに濁すところまで含めて)
つまり、小賢しい女とか、若者のカウンターカルチャとか、そういうものが嫌い、っていう偏った映画でしかない。
何しろ、ケネディー暗殺があるのに黒人の公民権運動が出てこない不自然。
主人公を知的障害にすることでそういう意図がバレないように見せているんだから、とてもたちが悪い。
2019年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず本音を言うと、私個人としては⭐️4つ分なのだ。
…
じゃあ⭐️4つで投稿しろよという話なのだけれども、これは世に広まるべき作品という感想もあり、
アマゾンおすすめに上がりやすいようになって欲しいのもあって、⭐️5で投稿した。
アドラー心理学が流行っている昨今、
皆、今をちゃんと大切に生きていないのでは無いのだろうか?
ブランド物に身を包んで人に認められることに躍起になっている人ばかりだと私は思う。
そんな世の中だからこそ、
この作品見て、
フォレストガンプみたいな、
まっすぐに目の前のことに全力な生き方を改めて思い出してほしい。
賢ければ幸せになれるわけじゃない。
馬鹿正直にがむしゃらに突き進んでいくのも一興だ。
…
じゃあ⭐️4つで投稿しろよという話なのだけれども、これは世に広まるべき作品という感想もあり、
アマゾンおすすめに上がりやすいようになって欲しいのもあって、⭐️5で投稿した。
アドラー心理学が流行っている昨今、
皆、今をちゃんと大切に生きていないのでは無いのだろうか?
ブランド物に身を包んで人に認められることに躍起になっている人ばかりだと私は思う。
そんな世の中だからこそ、
この作品見て、
フォレストガンプみたいな、
まっすぐに目の前のことに全力な生き方を改めて思い出してほしい。
賢ければ幸せになれるわけじゃない。
馬鹿正直にがむしゃらに突き進んでいくのも一興だ。
他の国からのトップレビュー

J A KENT
5つ星のうち5.0
Very clever film
2018年12月1日に英国でレビュー済みAmazonで購入
Great film especially on Blu-ray. How clever is this film mixing fact with fiction. Probably Tom Hanks best ever film.
Music score also very good, really matching the different era of the film’s time lines. One thing that I would have liked is for the sound to have been updated to the latest sorround sound formats.
Music score also very good, really matching the different era of the film’s time lines. One thing that I would have liked is for the sound to have been updated to the latest sorround sound formats.

Lel
5つ星のうち5.0
One of the best films ever...
2015年3月9日に英国でレビュー済みAmazonで購入
One of my favourite films... Forest Gump is a must see..
There's not only the write up about the DVD on here but also lots of reviews that tell you about the film.. not that I would tell you too much.. I wouldn't want to spoil it for you... One thing i will say though is - if you haven't seen this film.. then you most definitely should buy this DVD and watch it... its such a brilliant film....
Totally recommend this DVD.
Delivery was fast. Price was excellent.
Thank you .
There's not only the write up about the DVD on here but also lots of reviews that tell you about the film.. not that I would tell you too much.. I wouldn't want to spoil it for you... One thing i will say though is - if you haven't seen this film.. then you most definitely should buy this DVD and watch it... its such a brilliant film....
Totally recommend this DVD.
Delivery was fast. Price was excellent.
Thank you .

PeeJay
5つ星のうち5.0
Classic
2013年5月12日に英国でレビュー済みAmazonで購入
Tom Hanks performs wonders in this film. As a simple minded fellow from the deep south, USA who is called up for military service. His growing up years were spent wearing leg irons to support his very weak legs. He is constantly bullied and his only real friend is a girl called Jenny. The exploits that Forrest gets into are hilarious. When he is demobbed, he gets to meet the President and starts an enterprise as a shrimp boat captain. The tender hearted viewer will often shed tears of both joy and sadness during this quite fantastic film. 5***** and Highly recommended.

Craig G
5つ星のうち5.0
Goes together like peas and carrots...
2015年4月20日に英国でレビュー済みAmazonで購入
Still a favourite. Tome Hanks portrays the hapless Forrest perfectly as we follow his emotional journey against a subtle backdrop of American pop culture. Meeting Elvis, President Johnson, John Lennon, creating bumper sticker slogans, serving in Vietnam, investing in Apple are all key points and the plot cleverly allows Forrest to be in the right place at the right time, his fortunes growing as a result of this.
If you haven't seen it - you really should. Life is indeed like a box of chocolates and this one is all your favourites wrapped up together.
If you haven't seen it - you really should. Life is indeed like a box of chocolates and this one is all your favourites wrapped up together.

Julian richardson
5つ星のうち1.0
The goods came on time but the disc was loose in its case and wasn't secure in the case
2021年1月16日に英国でレビュー済みAmazonで購入
I've cleaned the disc and removed the large glue most of it so it now plays without freezing the DVD came on time there was only that issue now I've rectified there isn't a problem now