これまでチャンドラーの作品(私立探偵マーロウの活躍・苦悩?)を単なる娯楽小説と思ってうっかり読んでいました。 村上春樹さんがこれまで折りに触れチャンドラーの小説を絶賛していたことが理由で、彼が記した物語の語句をなんとなく読んでおりました。 ただ、村上氏がすでに指摘したいたように、マーティン・アッシャーがこの本で選出した例文が示すように(本誌の最終部には、村上春樹氏が選んだ十数個の語句も含まれる)、チャンドラーがこれまで紡ぎ出してきた作品に中で記述している、センテンス、フレイズを静かに噛み締めるように味わってみると、ただのカッコ良い表現ではないことが見えてくるのです。
そうです、チャンドラーの文章は、よくよく考えられたのちに出てきたもので―――凡百の作家なら、いちど地下2階まで沈めて熟成されているかのごとき―――それは「精緻な文章」とカテゴライズされるべきものだったのです。我々はもちろん、当のチャンドラーでさえ自身の紡げ出す文章を軽んじているふしがあった。
村上が指摘しているように、確かにチャンドラーは、人の心に宿る本質的な核のようなものを、一連の(娯楽)探偵小説の中で私たちの前に見事に呈示しています。 そう批評するしか評価のしようがありません。
日本の、探偵もどきのカッコ良い頭脳明晰の大学准教授や、スーパー刑事や警官が活躍する多くの作りものの物語では―――残念ながら―――私たちの精神の核みたいなところにまで触れる文章に出会うことは極めてまれです。
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