デビッド・フィンチャーらしい、これまた切れ味抜群の描写で、心理の闇を遠慮なくぶちまけた壮絶な作品だ。
93年公開のマイケル・ダグラス主演の「フォーリング・ダウン」が抑圧されたサラリーマンの暴走を描いて話題になったが、本作はその超過激バージョンと言えよう。どちらも人類がこれ迄に築き上げたモラルや社会規範を根本から破壊する暴力性は、日頃は抑圧されたオス本来の闘争本能が解放された姿に他ならない。
但し、単にキレたサラリーマンの暴走だけならこれ程の支持は得られない。両作の真の共通点は、米国の輝ける資本主義を支えてきた筈の中産階級の疲弊感にある。人々や社会の為ではなく経営者と株主の為、息の詰まる経済合理性や経営理論があらゆる価値観を支配し、生きているのか生かされているのかも解らない世の中に「もう我慢の限界だ、本能のままに反旗を翻せ!」とけしかけるのだ。
自分より不幸な人々を眺めては悦に入るだけでは埋められない何かが、エドワード・ノートン演じる主役ジャックの中にドス黒く胎動する。
ブラピ演じるタイラー・ダーデンの破滅的な行動は革命煽動者とも言えカリスマ的で格好良いが、国民国家思想や共産主義を掲げるでもなく、暴力と破壊による単なる憂さ晴らしで結局は何も産み出さないのではとジャックは気付き始める。実は両作のもう一つの共通点が外国人労働者だ。どちらもコンビニ・雑貨店の店員で主人公らの被害に会う。
そう、これらはポピュリズムの萌芽を描くことで社会を警告しており、タイラーとはポピュリスト政党の闘う党首なのだ。だからこそ地下組織が招く何とも象徴的なラストシーンは我が世の春を謳歌する既得権者の安穏とした気持ちをざわつかせる。
そして実際に今、先進諸国の多くが両作の訴えた危険な現実に翻弄され始めている。
これらを只の暴力映画と見たら勿体ない。労働者が暴発する前に資本主義を再チューンすべしを暴力で描くとは、デビッド・フィンチャーも素直じゃない。ファイト・クラブの様に自分の血と汗と痛みで稼いだ金で人が幸せになれる社会を取り戻せとは!
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