ピクサーの創業者の一人が記すピクサーの歴史と、クリエイティブな組織文化を創造し、持続させるための経営哲学。ビジネス書であると同時に、ピクサーという会社の壮大なドキュメンタリーでもあります。
ピクサーの映画は、決して「天才のインスピレーション」から生まれた作品ではありません。著者は言っています。「どの作品も、つくり始めは目も当てられないほどの「駄作」」であると。この時点においては、他のアニメーション会社のつくる作品とも大差はないかもしれません。しかし、その「駄作」を制作過程で世界中に感動を与え、数億ドルの興行収入を稼ぎ出すような名作へと蘇らせるのがピクサーなのです。その過程での豊富な実例と証言を元にマネージメント手法とその根本にある思想について描きだしているため、説得力の高さはいうまでもありません。
なお、ピクサーだからできるのであって小さな会社には真似できない、とは限らないと感じます。集団を管理する上での課題は企業の大小にかかわりませんし、解決法もまた然りでしょう。ピクサーだから、というより、著者の思考の深さと実践による裏付けによって、本書の主張はまるで科学的な証明を経て普遍性を得ている印象すら受けます。
8章の「大きな問題、小さな問題」という節で著者はこう言っています。「人は想定内の小さな問題と、予期せぬ巨大な危機的問題の間には明確なラインが引かれていると考えがちだ。この認識のせいで、その二つの現象には別々のアプローチが必要だと思っているが、明確なラインは存在しない。」そして、「もっと大勢の人が許可なしで問題を解決できるようにし、失敗したときには目をつぶる(そしてなじらない)ことにすれば、はるかに多くの問題に対処することができる。」一見地味に感じるかもしれませんが、「重要性に応じて優先順位をつけ、小さい問題は放置する」という「常識」を切り捨てた画期的なアイデアであると感じます。
スティーブ・ジョブズは著者ととともにピクサーの「創業者」であり、著者は26年間ジョブズと共に仕事をしたとあります。著者は本書の最後の章を「私の知っているスティーブ」としてジョブズのために一章まるごと費やし、愛情と感謝を込めて回顧しています。「実際には、私が知っている数十年の間に、スティーブは大きく変わった」と著者は言います。ジョブズについて関心がある方もまた必読と思います。
ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2014/10/3
エイミー・ワラス エド・キャットムル
(著),
石原 薫
(翻訳)
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本の長さ424ページ
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言語日本語
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出版社ダイヤモンド社
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発売日2014/10/3
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寸法18.8 x 13 x 2.8 cm
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ISBN-104478016380
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ISBN-13978-4478016381
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商品の説明
出版社からのコメント
「モンスターズ・インク」「トイ・ストーリー」「ニモ」……ヒットを積み重ねるピクサー。「アナと雪の女王」世界的ヒットで完全復活したディズニー・アニメーション。彼らの成功を支えた、本当の理由とは?ピクサー創業者でディズニーアニメーションのトップが、その内側を惜しみなく開示する。
著者について
エド・キャットムル(Ed Catmull) ピクサー・アニメーション・スタジオ 共同創設者 ピクサー・アニメーション、ディズニー・アニメーション 社長 コンピュータ・グラフィックス分野における功績により、ゴードン・E・ソーヤー賞を含む5つのアカデミー賞を受賞している。ユタ大学でコンピュータ・サイエンスを専攻し、博士号を取得する。妻と子どもたちとともにサンフランシスコで暮らしている。 エイミー・ワラス(Amy Wallace) ジャーナリスト。「GQ」「ニューヨーカー」「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」に寄稿、「ロサンゼルス・タイムズ」の記者・編集者を務め、「ニューヨーク・タイムズ」のサンデー・ビジネス欄に毎月コラムを執筆。現在は「ロサンゼルス」誌に記事を書く。 石原薫(Kaoru Ishihara) 翻訳家。国内メーカー、英系ブランディング会社、米系デザイン会社勤務を経て、ビジネス書等の翻訳や企業向けの翻訳に携わる。主な訳書に『ウーマン・エコノミー』『CEOを育てる』『よい製品とは何か』(以上ダイヤモンド社)、『サステイナブル・デザイン』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『未来をつくる資本主義』(英治出版)、『HELLO WORLD「デザイン」が私たちに必要な理由』『シビックエコノミー 世界に学ぶ小さな経済のつくり方』(以上フィルムアート社)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
キャットムル,エド
ピクサー・アニメーション・スタジオ共同創設者。ピクサー・アニメーション、ディズニー・アニメーション社長。コンピュータ・グラフィックス分野における功績により、ゴードン・E・ソーヤー賞を含む5つのアカデミー賞を受賞している。ユタ大学でコンピュータ・サイエンスを専攻し、博士号を取得する。サンフランシスコ在住
ワラス,エイミー
ジャーナリスト。現在は「ロサンゼルス」誌に記事を書いている
石原/薫
翻訳家。国内メーカー、英系ブランディング会社、米系デザイン会社勤務を経て、ビジネス書等の翻訳や企業向けの翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ピクサー・アニメーション・スタジオ共同創設者。ピクサー・アニメーション、ディズニー・アニメーション社長。コンピュータ・グラフィックス分野における功績により、ゴードン・E・ソーヤー賞を含む5つのアカデミー賞を受賞している。ユタ大学でコンピュータ・サイエンスを専攻し、博士号を取得する。サンフランシスコ在住
ワラス,エイミー
ジャーナリスト。現在は「ロサンゼルス」誌に記事を書いている
石原/薫
翻訳家。国内メーカー、英系ブランディング会社、米系デザイン会社勤務を経て、ビジネス書等の翻訳や企業向けの翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2014/10/3)
- 発売日 : 2014/10/3
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 424ページ
- ISBN-10 : 4478016380
- ISBN-13 : 978-4478016381
- 寸法 : 18.8 x 13 x 2.8 cm
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 20,501位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 32位企業・経営
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- - 160位漫画・アニメ・BL(イラスト集・オフィシャルブック)
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カスタマーレビュー
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2017年3月10日に日本でレビュー済み
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2019年1月11日に日本でレビュー済み
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ピクサーという企業が、いかにして素晴らしい作品を作っているのか、逆にどのような失敗(教訓)を糧に創造性を築いてきているのか、という経緯がとても読みやすく、分かりやすくまとまっています。翻訳が素晴らしいのでしょう。
ガチガチのビジネス書を求めている人には前半は若干退屈に感じるのかもしれませんが、後半のチーム作りの話をキチンと腹落ちさせるためには、そこに至るプロセスとしてなくてはならないパートかと私は思いました。
心理的安全性を確立させ、率直に意見を言える関係性が健全で創造的な組織文化を作る上で最も重要である。っていう理屈はわかるけど、じゃあそれを実際に出来るか?となると、すっごい大変だろうな…。という現実も想像に難しくない。
けどそういう組織ができるように、自分に出来ることをやってみたい。という勇気をくれる一冊です。
まずは上司にプレゼントして共有する所から始めようかな。
ガチガチのビジネス書を求めている人には前半は若干退屈に感じるのかもしれませんが、後半のチーム作りの話をキチンと腹落ちさせるためには、そこに至るプロセスとしてなくてはならないパートかと私は思いました。
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けどそういう組織ができるように、自分に出来ることをやってみたい。という勇気をくれる一冊です。
まずは上司にプレゼントして共有する所から始めようかな。
2019年7月2日に日本でレビュー済み
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数々のビジネス書を読んできましたが、本書は史上最高かもしれません。ピクサーの創業から今に至るまでのプロセスの多くが本書には詰まっています。
本書から学んだことはあまりにも多すぎてすべてを記載することはできませんが、あえて一つあげるとすれば組織作りの方法です。ピクサーというとそもそもクリエイティブな個人がたくさんいて、彼らを自由にさせていれば優れたアイデアが勝手に良くなっていくような想像をしてしまいますが、どうやらそんなことはないようです。ピクサーのような類まれなる才能を持った集団が組織としてうまく機能するように維持していく苦労、そしてその苦労から学んだ著者の教訓が臨場感豊かに書かれています。その一つ一つの教訓が例えクリエイティブな集団でなかったとしても組織作りにとっての重要なエッセンスになっていると思います。
ピクサー好きにはトイストーリーやカールじいさんの制作秘話なども明らかになっており非常に面白い内容でしょう。トイストーリー2のあのシーンはああいう理由で生まれたんだ、など今になって知るとやはりピクサーの作品は叡智を結集した偉大なる作品だなと改めて感じます。
あとはスティーブジョブズの話もそれなりに頁を割いて書かれています。最終章のスティーブジョブズの話は涙が出ました。
本当に読んでよかった本です。
本書から学んだことはあまりにも多すぎてすべてを記載することはできませんが、あえて一つあげるとすれば組織作りの方法です。ピクサーというとそもそもクリエイティブな個人がたくさんいて、彼らを自由にさせていれば優れたアイデアが勝手に良くなっていくような想像をしてしまいますが、どうやらそんなことはないようです。ピクサーのような類まれなる才能を持った集団が組織としてうまく機能するように維持していく苦労、そしてその苦労から学んだ著者の教訓が臨場感豊かに書かれています。その一つ一つの教訓が例えクリエイティブな集団でなかったとしても組織作りにとっての重要なエッセンスになっていると思います。
ピクサー好きにはトイストーリーやカールじいさんの制作秘話なども明らかになっており非常に面白い内容でしょう。トイストーリー2のあのシーンはああいう理由で生まれたんだ、など今になって知るとやはりピクサーの作品は叡智を結集した偉大なる作品だなと改めて感じます。
あとはスティーブジョブズの話もそれなりに頁を割いて書かれています。最終章のスティーブジョブズの話は涙が出ました。
本当に読んでよかった本です。
2019年7月1日に日本でレビュー済み
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この本を要約すると、失敗は恐れるものではないということ。言うは易しで、実際ピクサーもさまざまな状況を経てこの企業文化を作っている。
リーダーは失敗をし、そこから立ち直ることが仕事であり、マネジャーはそれの支援をする。
とても優秀な人たちばかりだが、だからと言って放っておいてもビートルズにはならない。
世界一創造性に溢れる会社は、失敗なくしては作れなかった。
この本、スティーブ・ジョブズとも関わりが深く、彼の自伝を読んでるとさらに楽しめるかも。全く同じことをやはりエドも感じていて面白かった 笑
実はかなりの難産だったトイストーリー2の裏話なども知れておもしろい。
今度トイストーリー4が公開されるが、この本を読んだ後に観に行くと中々思う所があるのではないかな。
ラセターは去ってしまったけれど、かつてウォルトディズニーを失ったディズニーの様な低迷期は来ないと思うし、そのようにしようと経営者が努力している。
世の中の勤め人は必読。あやふやなリーダー、マネジャー像がこれでハッキリするはず。
リーダーは失敗をし、そこから立ち直ることが仕事であり、マネジャーはそれの支援をする。
とても優秀な人たちばかりだが、だからと言って放っておいてもビートルズにはならない。
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世の中の勤め人は必読。あやふやなリーダー、マネジャー像がこれでハッキリするはず。
2016年10月12日に日本でレビュー済み
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クリエイティブな職場環境を創りだす秘密を知りたくて本書を購入。
その秘密はブレイントラストと呼ばれる会議の設計と運営にあるというのが要旨だと思うが、その前後に記載されている著者の人生の回顧録が本書の大半なので、秘密にしか興味がなかった私には冗長に感じられた。
ただし、スティーブ・ジョブスとのやりとりや様々な失敗を経てピクサーという一流の企業が現在のような形になったことが分かったことは収穫だった。
クリエイティブな組織作りに完成はなく、組織は流動的で直ぐに硬直化、形骸化が始まるといった記述には共感できた。
そのような高い危機意識を抱く人間がトップにいることがピクサーのクリエイティブな要因であろう。
その秘密はブレイントラストと呼ばれる会議の設計と運営にあるというのが要旨だと思うが、その前後に記載されている著者の人生の回顧録が本書の大半なので、秘密にしか興味がなかった私には冗長に感じられた。
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そのような高い危機意識を抱く人間がトップにいることがピクサーのクリエイティブな要因であろう。
2020年11月19日に日本でレビュー済み
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Creativeについてひたすら探求した一冊。ピクサーってセンスのある天才たちの集まりで、ほっといても創造するだろうと思っていたが、大間違い。物凄い努力をし続けてる。ピクサー作品はMr.インクレディブルしか見たことないけど、他の作品も観たくなった。
あと、スティーブ・ジョブズとのエピソードは必見。胸が熱くなる。それぐらい面白い一冊。
ただ、学者然とした語り口で構成されており、やや回りくどいところもある。一部退屈したこともあった。
本書とは関係ないが気になった点として、なぜ邦画のタイトルは原題とこんなにも違うんだろうか?原題の方が雰囲気も掴めるし、シンプルでイケてるのに。こんなに変えちゃっていいの?原題のまでいいのになぁ。。といつも思う。
あと、スティーブ・ジョブズとのエピソードは必見。胸が熱くなる。それぐらい面白い一冊。
ただ、学者然とした語り口で構成されており、やや回りくどいところもある。一部退屈したこともあった。
本書とは関係ないが気になった点として、なぜ邦画のタイトルは原題とこんなにも違うんだろうか?原題の方が雰囲気も掴めるし、シンプルでイケてるのに。こんなに変えちゃっていいの?原題のまでいいのになぁ。。といつも思う。
殿堂入りベスト10レビュアー
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"彼はよく言っていた。アップルの製品はどんなにすばらしくても、最後には埋立地にいく運命だが、ピクサーの映画は永遠に生き続ける。"2014年発刊の本書は、創設者が現場で学んだ体験をスティーブ・ジョブズとの26年間の関わりも含めて振り返った【アイデアの育て方、創造的組織づくり】の一助となる一冊。
個人的には、そう言えば『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』などのヒット作で知られるピクサーという【会社自体はあまり知らないな?】と興味を持って手にとりました。
さて、そんな本書はコンピュータ科学者としても著名な著者が【知的かつ穏やかな語り口で】ピクサーの『経営者』としては【全くの白紙状態から】失敗を重ねながら(またしばしばジョブズと衝突しながら)如何にして階層型組織ではなく【社員が創造性をフラットに発揮できる環境づくり】に注力してきたかを創業期、そして世界初の長編コンピュータ・アニメーション映画『トイストーリー』他の作品制作現場、遂には(著者にとって憧れであった)ディズニーのアニメーション・スタジオの再建が託されるまでを【具体的に振り返りながら】語っているのですが。
成功した起業家の執筆した本は往々にして、如何にもドラマチックでスリリングであったか、あるいは全ては最初から予見していたかのように刺激的、挑発的、あるいはポエティックな言葉で【自分を主人公とした英雄伝的に美化する】本も多数見受けられる中、ジョン・ラセターといった才能豊かな現場の創り手、そして変人にして天才のスティーブ・ジョブズといった他者へのリスペクトを優先しつつ【あくまで裏方として】ピクサーらしさには頑固にこだわりつつも、失敗の責任をとっては反省(場合によっては謝罪しつつ)学んできたことを率直に述べているのが意外かつ、誠実さとして好感を覚えました。
また、本書では創業当初からの最も価値ある教訓の一つとしてトヨタ自動車他の日本企業が【組み立てラインを作業者を巻き込んだ創造的活動の場とした】ことを挙げているのですが。今や効率やら個人情報やらで個性が全く許されなくなった画一的、閉鎖的なオフィス、作業机にも自身の環境と比較しながら、何とも日本企業の失速が止まらない理由を皮肉にも実感してしまいました。
派手さはなくも【実践的な経営事例】としての本を探すビジネスパーソンへ。また、とにかくピクサー作品、スティーブ・ジョブズ好きな人にも関連本としてオススメ。
個人的には、そう言えば『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』などのヒット作で知られるピクサーという【会社自体はあまり知らないな?】と興味を持って手にとりました。
さて、そんな本書はコンピュータ科学者としても著名な著者が【知的かつ穏やかな語り口で】ピクサーの『経営者』としては【全くの白紙状態から】失敗を重ねながら(またしばしばジョブズと衝突しながら)如何にして階層型組織ではなく【社員が創造性をフラットに発揮できる環境づくり】に注力してきたかを創業期、そして世界初の長編コンピュータ・アニメーション映画『トイストーリー』他の作品制作現場、遂には(著者にとって憧れであった)ディズニーのアニメーション・スタジオの再建が託されるまでを【具体的に振り返りながら】語っているのですが。
成功した起業家の執筆した本は往々にして、如何にもドラマチックでスリリングであったか、あるいは全ては最初から予見していたかのように刺激的、挑発的、あるいはポエティックな言葉で【自分を主人公とした英雄伝的に美化する】本も多数見受けられる中、ジョン・ラセターといった才能豊かな現場の創り手、そして変人にして天才のスティーブ・ジョブズといった他者へのリスペクトを優先しつつ【あくまで裏方として】ピクサーらしさには頑固にこだわりつつも、失敗の責任をとっては反省(場合によっては謝罪しつつ)学んできたことを率直に述べているのが意外かつ、誠実さとして好感を覚えました。
また、本書では創業当初からの最も価値ある教訓の一つとしてトヨタ自動車他の日本企業が【組み立てラインを作業者を巻き込んだ創造的活動の場とした】ことを挙げているのですが。今や効率やら個人情報やらで個性が全く許されなくなった画一的、閉鎖的なオフィス、作業机にも自身の環境と比較しながら、何とも日本企業の失速が止まらない理由を皮肉にも実感してしまいました。
派手さはなくも【実践的な経営事例】としての本を探すビジネスパーソンへ。また、とにかくピクサー作品、スティーブ・ジョブズ好きな人にも関連本としてオススメ。
2018年8月3日に日本でレビュー済み
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非常に優秀な組織マネジメントの本でかつ面白い、という記事を読んで興味が湧き読んでみました。
ピクサーの立ち上げから現在に至るまでの軌跡を追いながらどのように組織をつくりあげてきたかという形になっています。マネジメントに興味がなくともドキュメンタリーとして非常に面白く読めます。
ルーカスフィルムにいた頃の話やスティーブ・ジョブズとの絆など、時代を動かしてきた人々が関わってくるのでとてつもなくワクワクしました。最終章はまるまるジョブズとの話でかなり泣けました。ジョブズファンにもおすすめの一冊です。
この本を読んだ後にピクサー映画を見ると、ラストのスタッフロールに見覚えのある名前が出てくるので楽しくなりました。
ピクサーの立ち上げから現在に至るまでの軌跡を追いながらどのように組織をつくりあげてきたかという形になっています。マネジメントに興味がなくともドキュメンタリーとして非常に面白く読めます。
ルーカスフィルムにいた頃の話やスティーブ・ジョブズとの絆など、時代を動かしてきた人々が関わってくるのでとてつもなくワクワクしました。最終章はまるまるジョブズとの話でかなり泣けました。ジョブズファンにもおすすめの一冊です。
この本を読んだ後にピクサー映画を見ると、ラストのスタッフロールに見覚えのある名前が出てくるので楽しくなりました。