強くて立派な誰かの出現を期待するのではなく、
私たちの1票がこの国を動かすのだという意識がなければ民主主義は成立しない。
国民主権を言葉にすればそういう事です。
どうせ私が投票しようがしまいが、世の中は何も変わらない。
そのような意識からそれぞれが脱却する事でしか、この国を変えていく方策はない。
話は変わるが、最近、湯浅氏をテレビで見かけて、
話している内容や、雰囲気に角がとれて、穏和なイメージを受けた。
年越し派遣村で活動されていた時の、闘っている悲壮感を感じなかった。
本書を手に取って、その理由の一端がわかったような気がする。
テレビでも話されていたが、内閣府参与として行政での2年間の経験が彼の
スタンスを大きく変え、民主主義について深く考えざる得なくなったという事だ。
民間の立場で、仲間内で声を張り上げているだけでは、
全体から見れば、どうあがいても、少数派の域をでない。
税金を分配する行政の立場に立てば、少数派の主張をそのまま受け入れるわけにはいかない。
であれば、喧々諤々、対立するのではなく、まずは少しでも多くの人に話を聞いてもらえるように
やわらかく、穏やかに、コミュニケーションを取ること。
湯浅氏のしなやかな変貌は、それぞれが社会生活を送るうえにおいても勉強になる。
大学時代にホームレス問題に関わる事から始まり社会活動家として今があるのだが、
その背景にある生い立ちや、人生哲学など、
なぜそこまで、弱者に寄り添えるのか、その精神性について最も興味があったのだが、
その点については内容が乏しかったため残念であった。
ヒーローを待っていても世界は変わらない (朝日文庫) (日本語) 文庫 – 2015/2/6
湯浅 誠
(著)
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本の長さ256ページ
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言語日本語
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出版社朝日新聞出版
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発売日2015/2/6
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寸法14.8 x 10.5 x 14.8 cm
-
ISBN-104022618183
-
ISBN-13978-4022618184
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「反貧困」を掲げ、格差社会に異議を申し立てる著者渾身の民主主義論。議会政治は非効率的なシステムでありつつも擁護すべきとの立場から、「おまかせ民主主義」に警鐘を鳴らす。文庫化にあたり書き下ろしの補章を追加。地方と教育問題の深層に迫る。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
湯浅/誠
1969年東京都生まれ。社会活動家。東京大学卒業。95年からホームレスの支援活動を始め、貧困問題に関する活動と発言を続ける。2008年、「年越し派遣村」村長。09~12年、民主党政権下で内閣府参与。13年4月から朝日新聞紙面審議委員。14年4月から法政大学現代福祉学部教授。著書に、『反貧困』(大佛次郎論壇賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1969年東京都生まれ。社会活動家。東京大学卒業。95年からホームレスの支援活動を始め、貧困問題に関する活動と発言を続ける。2008年、「年越し派遣村」村長。09~12年、民主党政権下で内閣府参与。13年4月から朝日新聞紙面審議委員。14年4月から法政大学現代福祉学部教授。著書に、『反貧困』(大佛次郎論壇賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2019年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
不安で先の見えない現代において、なんとかしてほしいと「ヒーローを待望」する人々の心理はとてもよくわかる気がします。その上で、嫌な事をした相手に対してさらに攻撃性が増すというのも時代そのままなのでしょう。
そんな中で、ヒーローを待つのではなく、私たちは民主主義の主権者からは降りられないということを自覚し、たとえ面倒くさくても(大変でも)できることをやっていこう、という著者の訴えは希望を感じさせてくれました。
そんな中で、ヒーローを待つのではなく、私たちは民主主義の主権者からは降りられないということを自覚し、たとえ面倒くさくても(大変でも)できることをやっていこう、という著者の訴えは希望を感じさせてくれました。
2017年12月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人はわかりやすさを求めてしまいますが、民主主義において快刀乱麻な政治は長い目で社会へ大きなダメージを与えてしまうという観点自体とても勉強になりました。さまざまな利害関係者が複雑に入り組む社会の中では100%自分の思いを成し遂げようという考えはそもそもそぐわないということに対してこんなに納得できる本はなかったです。社会は連鎖でできており、悪者退治がいつの間にか自分に刃を向ける可能性が常にあることを考えさせられました。
単に政治についてだけではなく、普段の生き方のスタイルにもとても参考になるほんであると感じました。
単に政治についてだけではなく、普段の生き方のスタイルにもとても参考になるほんであると感じました。
2012年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近の私の課題認識と合致していてとても共感した。
「○○すべき」というあるべき論をよく聞く。確かにべき論は重要である。ただし、べき論はそれだけでは価値が低い。達成されなければならない。そして、特に最近は「べき論」を唱える人は言い放って終わることが多い。社会には、多様な人、多様な立場があり、したがってたくさんのあるべき姿がある。その「個人的な」あるべき姿をたくさんの人とすりあわせて、さらにアクションベースに落として、すりあわせたあるべき姿を達成するために膨大な調整と小さなアクションを延々と繰り返さなければあるべき姿は実現しない。言い放っても何も変わらない。
自ら参加し変えていくような行動を継続していく必要性を改めて感じた。
「○○すべき」というあるべき論をよく聞く。確かにべき論は重要である。ただし、べき論はそれだけでは価値が低い。達成されなければならない。そして、特に最近は「べき論」を唱える人は言い放って終わることが多い。社会には、多様な人、多様な立場があり、したがってたくさんのあるべき姿がある。その「個人的な」あるべき姿をたくさんの人とすりあわせて、さらにアクションベースに落として、すりあわせたあるべき姿を達成するために膨大な調整と小さなアクションを延々と繰り返さなければあるべき姿は実現しない。言い放っても何も変わらない。
自ら参加し変えていくような行動を継続していく必要性を改めて感じた。
2013年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私にとってはやや難解な文章でした。そのため2回読んでようやく理解が深まりました。
言い換えれば、何回読み直してでも書いてあることを吸収したいと思わせる内容でした。。
折しも政党が乱立した2012年12月の衆議院議員選挙の前だっただけに、どの政党を、どの政治家を選んだらよいかという参考にもなりました。
「強そうなリーダー」に期待するのは注意した方が良いと多くの人が気付き始めています。
湯浅さんはそれを、「強そうなリーダー」が問題なのではなく、自ら判断することを避けようとする主権者たる国民の問題としてとらえています。
あの政党が悪い、この政治家が悪いと批判することにすっかり慣れてしまった私たちに、恐ろしく面倒くさい民主主義に腰を据えて関わっていくことを促し、出来の悪い政党や政治にも根気よく付き合っていく姿勢を求めています。
ただ期待するばかりではなく、何よりも私たち自身が身の回りから小さくとも変革を起こしていく存在となれと。
主たるテーマは湯浅さんの活動である貧困問題についてですが、貧困問題を防ぐセーフティーネットとしての「社会の溜め」こそ、私たちの身の回りから生み出していくべきものなのだと感じました。
面倒くさい人や地域とのつながりや、交流、暮らしの中からしか、「社会の溜め」は生まれません。
民主主義も、「社会の溜め」も、面倒くさい、手間暇かかる作業です。
でも、それを放棄してしまったら、国民の権利を守ることはできません。
主権者たる国民としての自覚を呼び覚まされる一冊です。
言い換えれば、何回読み直してでも書いてあることを吸収したいと思わせる内容でした。。
折しも政党が乱立した2012年12月の衆議院議員選挙の前だっただけに、どの政党を、どの政治家を選んだらよいかという参考にもなりました。
「強そうなリーダー」に期待するのは注意した方が良いと多くの人が気付き始めています。
湯浅さんはそれを、「強そうなリーダー」が問題なのではなく、自ら判断することを避けようとする主権者たる国民の問題としてとらえています。
あの政党が悪い、この政治家が悪いと批判することにすっかり慣れてしまった私たちに、恐ろしく面倒くさい民主主義に腰を据えて関わっていくことを促し、出来の悪い政党や政治にも根気よく付き合っていく姿勢を求めています。
ただ期待するばかりではなく、何よりも私たち自身が身の回りから小さくとも変革を起こしていく存在となれと。
主たるテーマは湯浅さんの活動である貧困問題についてですが、貧困問題を防ぐセーフティーネットとしての「社会の溜め」こそ、私たちの身の回りから生み出していくべきものなのだと感じました。
面倒くさい人や地域とのつながりや、交流、暮らしの中からしか、「社会の溜め」は生まれません。
民主主義も、「社会の溜め」も、面倒くさい、手間暇かかる作業です。
でも、それを放棄してしまったら、国民の権利を守ることはできません。
主権者たる国民としての自覚を呼び覚まされる一冊です。
2012年10月17日に日本でレビュー済み
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これは「ハシズム」の台頭をきっかけとして書かれた本にちがいないが、書かれていることは「民主主義について」である。
私は「ハシズム」を右翼思想やファシズムの問題としてしか考えられなかったが、民主主義の衰退あるいは未成熟の問題としてとらえたところに著者の知性を感じる。
この本によれば、民主主義とは、一人ひとりが主権者としての覚悟をもち、様々な利害や意見をぶつけ合い、それを自分たちで調整し、自分たちで決めていくことである。
では、どうすれば民主主義の社会はできるのか。それは、人と人とのつながりをつくり(しかけや工夫が必要)、その中で民主的な手法(意見の交換−調整−決定、等)を実践していくことであろう。
もし、民主主義の社会が実現できれば、「議会政治と政党政治の危機は回避され、切り込み隊長としてのヒーローを待ち望んだ歴史は、過去のものとなる」(本書より引用)。
民主主義はたしかにめんどうなものである。しかし、そこには主権者としてのよろこびがある。
私も人とつながり、民主主義を実践していきたいと思った。
私は「ハシズム」を右翼思想やファシズムの問題としてしか考えられなかったが、民主主義の衰退あるいは未成熟の問題としてとらえたところに著者の知性を感じる。
この本によれば、民主主義とは、一人ひとりが主権者としての覚悟をもち、様々な利害や意見をぶつけ合い、それを自分たちで調整し、自分たちで決めていくことである。
では、どうすれば民主主義の社会はできるのか。それは、人と人とのつながりをつくり(しかけや工夫が必要)、その中で民主的な手法(意見の交換−調整−決定、等)を実践していくことであろう。
もし、民主主義の社会が実現できれば、「議会政治と政党政治の危機は回避され、切り込み隊長としてのヒーローを待ち望んだ歴史は、過去のものとなる」(本書より引用)。
民主主義はたしかにめんどうなものである。しかし、そこには主権者としてのよろこびがある。
私も人とつながり、民主主義を実践していきたいと思った。