昨今のオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムの巨大化は、私たちコンピュータユーザーに、いったい何をもたらしてくれたのだろうか。やりたいことは単純なのにその方法が見つからず、ヘルプを開いたり人に聞いたり四苦八苦する、こんな経験は誰にでもあるだろう。メーカーが喧伝する「人にやさしい」といううたい文句からは、ほど遠いのが現状のようだ。
本書のタイトル『ヒューメイン・インタフェース』とは、人にやさしいユーザーインタフェースのこと。ジェフ・ラスキンは、Macintoshプロジェクトのプロジェクト・リーダを努め、Macintoshのインタフェースのコンセプトを方向づけた伝説的な人物。1ボタンマウスの生みの親でもある。この著者が、真に「人にやさしい」インタフェースの在り方を語ったのが本書である。
本書はちまたにあふれるユーザーインタフェースデザインガイドではない。認知工学の手法を用いて、人間が機械や道具を操作する際の意識の働きや、操作の習熟が行動に与える影響など、マン・マシン・インタフェースの本質的な問題を、科学的なアプローチで解説しており、目からうろこが落ちる思いである。また、現在最も成功しているグラフィカルユーザーインタフェースが宿命的に持つ問題点を暴き出している。私たちは悪くなかったのだ。
ユーザーインタフェースの今後の方向性を示唆し、未来形を語った本書。ソフトウェアデベロッパーのみならず、コンピュータと人間とのかかわりあいに興味を持つエンドユーザーにも、新たな知見を提供してくれるに違いない。(福島紀行)
ヒューメイン・インタフェース 人にやさしいシステムへの新たな指針 ヒューメインとは,「人間にやさしい」こと。本書は,このようなユーザー・インタフェースをどうすれば実現できるのかを,平易に説き明かしている。
人にやさしいと言うと,初心者向けと思われがちだが,決してそうではない。認知心理学や人間工学の成果を用いることで,初心者だろうがベテランだろうが,とまどったり間違えたりせずに,ごく自然に操作できるインタフェースを狙っている。OSからアプリケーション,Webサイトまで,“ヒューメインでない”ものだらけのIT業界への痛烈な問題提起と言えるだろう。結論もなかなかすごい。OSとアプリケーションが分離した,現在のソフト形態では,ヒューメイン・インタフェースは実現できないというのだ。
(日経コンピュータ 2001/11/19 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
内容(「BOOK」データベースより)
本書では、どういった理由によってインタフェース・デザインが成功、あるいは失敗するのかという重大な点を解明するために、人と機械の相互作用における認知的基礎を再吟味している。また、ユーザ・インタフェースにおける基本的な欠陥をいくつか解説し、そういった欠陥を克服するための解決策も述べている。
内容(「MARC」データベースより)
心の人間工学とも言うべき認知工学に基づき、人間側に立ったインタフェースとはどういったものかを吟味し、今後のインタフェースが目指すべき方向を提示。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村上/雅章
1960年生まれ。1982年京都産業大学外国語学部言語学科卒業。1982年~1999年国内情報処理会社にてSEとして勤務。現在、ニュージーランドにて翻訳およびシステム開発に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)