ナチスの親衛隊を作り、大きくして広めていった人々、そしてその中で類を見ない残虐な犯罪を犯した人一人ひとりに焦点をあてて分析していくこの本。
私が感じたのは、どんな人にも国家は方向性を与えてしまうということ。ヒトラーの親衛隊というとてつもない犯罪を犯した人々だが、そのうしろには犯罪的国家の思想と理想と教育があった。ナチスは説く。「人を殺すことそれ自体は過酷で人道に反する所業だ、しかし最終的にはそれがより高次の「善なる」目的に奉仕するのだ。」それまでは犯罪だったものが教育によって正義とされる。そしてその教育によって冷徹で国家のためにどんな残虐なことでもできる人間ができていくさまが読み取れる。そして現代にも生き残る、戦後刑を逃れたナチスの戦犯たちと、彼らを助ける国家や人と彼らを追うナチ・ハンターのことも書かれていた。
テレビの番組ように取材された本ということで読みやすくかつ丁寧に書かれてありました。おもしろかったです。
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ヒトラ-の親衛隊 単行本 – 2003/8/1
- 本の長さ434ページ
- 言語日本語
- 出版社原書房
- 発売日2003/8/1
- ISBN-10456203677X
- ISBN-13978-4562036776
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
親衛隊に入隊した「ごく普通の人々」を、残虐行為に駆り立てたものは何であったのか。膨大な資料と、生存者の貴重な証言や写真をもとに、ナチ独裁体制を支えた権力機関SSの全貌と本質に迫る。
登録情報
- 出版社 : 原書房 (2003/8/1)
- 発売日 : 2003/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 434ページ
- ISBN-10 : 456203677X
- ISBN-13 : 978-4562036776
- Amazon 売れ筋ランキング: - 514,912位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 184位ドイツ・オーストリア史
- - 1,390位ヨーロッパ史一般の本
- - 149,363位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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2004年10月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年6月21日に日本でレビュー済み
ヒトラーは子どもがいなかった。しかし部下のヒムラー、ハイドリヒ、ゲッペルス、アイヒマンらはみな子どもがいた。彼らは職場では大量殺人システムを作り出し、帰宅するとどこの家にもいる良いパパとなっていた。
本書はレーム、ヒムラー、ハイドリヒ、強制収容所の管理者へースら権力者たちにクローズアップをし、SAからSSへの歴史を振り返る。
本書を読み、人はどんな悪人でも心の中のどこかに良心があるということを感じた。しかし残念ながらその良心も人の持つ醜い面、利益や欲望に負け、かき消されてしまうという現実を感じた。
ヒトラーはかつての友であるレームを排除することを最後の最後まで躊躇した。日ごとに劣化し、自分に刃向かおうとするレームに最後の最後までチャンスを与えようとした。しかしヒトラーの後押しをしたのが自分が信用する側近のヒムラーであり、ゲーリングであった。結局レームは暗殺されてしまう。
ヒムラーも彼らが理想とするアーリア人と程遠い人間であり、丸めがねを掛け、背も低かった。人が殺されるのを見て吐き気を催し、吐いたそうだ。家では娘のグドルーンを「お人形さん」と溺愛していた。しかし権力に目がくらみ、自分と同じように子を持つ多くの人々を殺し、自分の娘と同じような多くの子どもたちを死に追いやった。
ハイドリヒもやはりコンプレックスの塊。パイロットやフェンシングで名を上げようとしていた。ハイドリヒもやはり子どもが4人いて、子宝に恵まれていた。家では良いパパ、仕事は大量殺人システム構築。ヒムラーと異なり、人が殺されても何とも思わなかったそうだ。
彼らはどちらかというと直接手を下すというより、命令をする側。実際に銃を使って殺す下手人は酒で酔いながら人を殺したそうな。自分の子と同じような子どもを殺すのにシラフではできないということだ。自殺者も多かったそうだ。良心の呵責から心的外傷となり、苦しんだ人が多く、その問題を解消させるために考え出されたのがアウシュビッツのような大量殺人システムである。直接手を下すのではなく、殺人をオートメーション化して、作業はユダヤ人囚人にさせる。それを考え出し、実行した人間たちも家ではとても良いパパであった。
人の良心は権力などの欲、儲け、徳、利益によって簡単に消し飛んでしまう。その人間の欲の最低最悪の面は「6.『オデッサ』の神話」を読むとよくわかる。
戦後各国は元ナチの幹部を利用しようと画策をし、逃亡を助ける。アメリカは冷戦のために対ソ戦の経験をもつナチスを必要とし、アルゼンチンは国の工業化のためにナチスの科学技術力を必要とし、逃亡を助ける。逃亡を助ける人間も、当然見返りがある。大量殺人を犯した人間たちを裁判にかけるのではなく、逃がして利用しようというのである。ここにも利益が良心に優先された例が見られる。
すべての人に良心はある。100%の悪人なんてこの世にいまい。しかし人には欲がある。自らの利益を優先したいという欲が。すべての戦争に共通するのがこの自己利益優先欲であろう。人が人に対して思いやりをなくし、無関心になり、自己チューの感情移入欠如社会となる。それこそが最もヤバイ状態であろう。政治家が国民の生活なんて放っておいて、自分の利益しか考えていない今の日本も超ヤバヤバ状態であろう。気が付いていないのは国民だけだ。
本書はレーム、ヒムラー、ハイドリヒ、強制収容所の管理者へースら権力者たちにクローズアップをし、SAからSSへの歴史を振り返る。
本書を読み、人はどんな悪人でも心の中のどこかに良心があるということを感じた。しかし残念ながらその良心も人の持つ醜い面、利益や欲望に負け、かき消されてしまうという現実を感じた。
ヒトラーはかつての友であるレームを排除することを最後の最後まで躊躇した。日ごとに劣化し、自分に刃向かおうとするレームに最後の最後までチャンスを与えようとした。しかしヒトラーの後押しをしたのが自分が信用する側近のヒムラーであり、ゲーリングであった。結局レームは暗殺されてしまう。
ヒムラーも彼らが理想とするアーリア人と程遠い人間であり、丸めがねを掛け、背も低かった。人が殺されるのを見て吐き気を催し、吐いたそうだ。家では娘のグドルーンを「お人形さん」と溺愛していた。しかし権力に目がくらみ、自分と同じように子を持つ多くの人々を殺し、自分の娘と同じような多くの子どもたちを死に追いやった。
ハイドリヒもやはりコンプレックスの塊。パイロットやフェンシングで名を上げようとしていた。ハイドリヒもやはり子どもが4人いて、子宝に恵まれていた。家では良いパパ、仕事は大量殺人システム構築。ヒムラーと異なり、人が殺されても何とも思わなかったそうだ。
彼らはどちらかというと直接手を下すというより、命令をする側。実際に銃を使って殺す下手人は酒で酔いながら人を殺したそうな。自分の子と同じような子どもを殺すのにシラフではできないということだ。自殺者も多かったそうだ。良心の呵責から心的外傷となり、苦しんだ人が多く、その問題を解消させるために考え出されたのがアウシュビッツのような大量殺人システムである。直接手を下すのではなく、殺人をオートメーション化して、作業はユダヤ人囚人にさせる。それを考え出し、実行した人間たちも家ではとても良いパパであった。
人の良心は権力などの欲、儲け、徳、利益によって簡単に消し飛んでしまう。その人間の欲の最低最悪の面は「6.『オデッサ』の神話」を読むとよくわかる。
戦後各国は元ナチの幹部を利用しようと画策をし、逃亡を助ける。アメリカは冷戦のために対ソ戦の経験をもつナチスを必要とし、アルゼンチンは国の工業化のためにナチスの科学技術力を必要とし、逃亡を助ける。逃亡を助ける人間も、当然見返りがある。大量殺人を犯した人間たちを裁判にかけるのではなく、逃がして利用しようというのである。ここにも利益が良心に優先された例が見られる。
すべての人に良心はある。100%の悪人なんてこの世にいまい。しかし人には欲がある。自らの利益を優先したいという欲が。すべての戦争に共通するのがこの自己利益優先欲であろう。人が人に対して思いやりをなくし、無関心になり、自己チューの感情移入欠如社会となる。それこそが最もヤバイ状態であろう。政治家が国民の生活なんて放っておいて、自分の利益しか考えていない今の日本も超ヤバヤバ状態であろう。気が付いていないのは国民だけだ。
2012年11月9日に日本でレビュー済み
<目次>
序文―歴史は警告する 5
1 権力抗争 Der Machtkampf ―クノップ/アフラーバッハ 13
2 ヒムラーの妄想 Himmlers Wahn ―クノップ/ダイク 79
3 ハイドリッヒの権力 Heydrichs Herrschaft ―クノップ/ミュルナー 145
4 髑髏部隊 Totenkopf ―クノップ/ブラウブルガー 215
5 武装SS Die Waffen-ss ―クノップ/ナイツェル 281
6 「オデッサ」の神話 Mythos》Odessa《 ―クノップ/ナイツェル 351
訳者あとがき 425
参考文献1
<書評>
本書の概略を「訳者あとがき」から引用します。(以下、引用文)
本書は、『ヒトラーの共犯者』、『ヒトラーの戦士たち』(原書房)と同じく、第2ドイツテレビ(ZDF)製作の現代史ドキュメンタリーを翻訳したもので、原題は『SS―歴史の警告(die SS eine Warnung der Geschichte)』という。前二作と同様、各国の文書館に残されている数々の史料や、当時を知る人々の証言が、本書にも豊富におさめられている。(引用終了)
極めて興味深い本ですので、一度読まれることをお勧めします。
序文―歴史は警告する 5
1 権力抗争 Der Machtkampf ―クノップ/アフラーバッハ 13
2 ヒムラーの妄想 Himmlers Wahn ―クノップ/ダイク 79
3 ハイドリッヒの権力 Heydrichs Herrschaft ―クノップ/ミュルナー 145
4 髑髏部隊 Totenkopf ―クノップ/ブラウブルガー 215
5 武装SS Die Waffen-ss ―クノップ/ナイツェル 281
6 「オデッサ」の神話 Mythos》Odessa《 ―クノップ/ナイツェル 351
訳者あとがき 425
参考文献1
<書評>
本書の概略を「訳者あとがき」から引用します。(以下、引用文)
本書は、『ヒトラーの共犯者』、『ヒトラーの戦士たち』(原書房)と同じく、第2ドイツテレビ(ZDF)製作の現代史ドキュメンタリーを翻訳したもので、原題は『SS―歴史の警告(die SS eine Warnung der Geschichte)』という。前二作と同様、各国の文書館に残されている数々の史料や、当時を知る人々の証言が、本書にも豊富におさめられている。(引用終了)
極めて興味深い本ですので、一度読まれることをお勧めします。





