「The Meaning of Human Existence」が原著の名称で
この英文名称の方が本書の内容に相応しいと思いました
また「本書は、とくに高校生などの若い諸君を対象に書かれたもの」と解説に述べられている通り
生物学ひいては進化生物学を望む際に何を考えるのかについて解説されています
私たちはその周囲を見渡す際に
地球やその自然についての多くの事を当然のように知っているつもりですが
実際には大変に小さい窓から見える風景のように限られた範囲の感覚に依存して生活しています
そしてそのことが私たち「ヒト」と自然との相互作用(代謝活動)の際に具体的に現れます
一方で進化に係る「包括適応度理論」の「普遍性」について著者は懐疑的で
本書の「第6章」および「補遺」において特にその理由を説明しています
これらの考え方の相互展開は科学においては通常に行われているもので
新しい世界を築こうとする際には必ずと言っても良い程に必要になりますので一緒に考えましょう
「自然科学と人文科学」の統合を本書においても著者は述べ
私たちが欲するものの先に新しい世界が開かれることを示唆しています
私たちはどのように何を欲するのでしょうか
その欲するものの先に私たちの存在意味を指し示せると著者は考えています
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ヒトはどこまで進化するのか 単行本 – 2016/6/28
エドワード・O・ウィルソン
(著),
小林 由香利
(翻訳)
購入を強化する
脳の増大とともに社会性を発達させ、地球を支配してきた人類はどこへ向かうのか。
ピューリッツァー賞を2度受賞した生物学の巨人が、社会性昆虫の生態、フェロモンによるコミュニケーション、極限環境に棲む微生物から、地球外生命体の可能性、宗教の弊害、意識と自由意志の先端研究までを論じ、「なぜ人間が存在するのか」の謎に挑む。
2014年度「全米図書賞」最終候補作品!
【書評・メディア情報】
週刊金曜日(8月26日・1101号)/紹介
信濃毎日新聞(8月28日)/短評
京都新聞(8月28日)/短評
大分合同新聞(9月11日)/短評
日本経済新聞(9月18日)/書評(内田麻理香氏・サイエンスライター)
読売新聞(10月9日)/書評(柴田文隆氏)
公明新聞(10月17日)/短評
ピューリッツァー賞を2度受賞した生物学の巨人が、社会性昆虫の生態、フェロモンによるコミュニケーション、極限環境に棲む微生物から、地球外生命体の可能性、宗教の弊害、意識と自由意志の先端研究までを論じ、「なぜ人間が存在するのか」の謎に挑む。
2014年度「全米図書賞」最終候補作品!
【書評・メディア情報】
週刊金曜日(8月26日・1101号)/紹介
信濃毎日新聞(8月28日)/短評
京都新聞(8月28日)/短評
大分合同新聞(9月11日)/短評
日本経済新聞(9月18日)/書評(内田麻理香氏・サイエンスライター)
読売新聞(10月9日)/書評(柴田文隆氏)
公明新聞(10月17日)/短評
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社亜紀書房
- 発売日2016/6/28
- 寸法13.6 x 2.2 x 19.5 cm
- ISBN-104750514756
- ISBN-13978-4750514758
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ピューリッツアー賞受賞の生物学者がいざなう魅惑のサイエンス・アドベンチャー。脳の増大とともに社会性を発達させ、地球を支配してきた人類はどこへ向かうのか。社会性昆虫の生態、フェロモンによるコミュニケーション、極限環境に棲む微生物から、地球外生命体の可能性、宗教の弊害、意識と自由意志の先端研究までを論じ、「人間はなぜ存在するのか」という謎に挑む。ウィルソン生物学の最良の入門書にして集大成!
著者について
【著者】エドワード・O・ウィルソン
世界有数の生物学者。島嶼生物地理学と社会生物学の創始者であり、自然科学と人文科学を統合する3つの概念(バイオフィリア、生物多様性、コンシリエンス)をつくり上げた。アメリカ国家科学賞、スウェーデン王立科学アカデミーが授与するクラフォード賞(生態学分野、ノーベル賞に相当)、2度のピューリッツァー賞など、科学および文芸での受賞歴は100を超える。著書に『人類はどこから来て、どこへ行くのか』(化学同人)、『人間の本性について』(ちくま学芸文庫)、『生命の多様性〈上・下〉』(岩波現代文庫)など多数。
【訳者】小林由香利
翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業。訳書に、P・W・シンガー『ロボット兵士の戦争』、ケヴィン・ダットン『サイコパス――秘められた能力』(NHK出版)、アート・マークマン『スマート・チェンジ――悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略』(CCCメディアハウス)などがある。
世界有数の生物学者。島嶼生物地理学と社会生物学の創始者であり、自然科学と人文科学を統合する3つの概念(バイオフィリア、生物多様性、コンシリエンス)をつくり上げた。アメリカ国家科学賞、スウェーデン王立科学アカデミーが授与するクラフォード賞(生態学分野、ノーベル賞に相当)、2度のピューリッツァー賞など、科学および文芸での受賞歴は100を超える。著書に『人類はどこから来て、どこへ行くのか』(化学同人)、『人間の本性について』(ちくま学芸文庫)、『生命の多様性〈上・下〉』(岩波現代文庫)など多数。
【訳者】小林由香利
翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業。訳書に、P・W・シンガー『ロボット兵士の戦争』、ケヴィン・ダットン『サイコパス――秘められた能力』(NHK出版)、アート・マークマン『スマート・チェンジ――悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略』(CCCメディアハウス)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ウィルソン,エドワード・O.
世界有数の生物学者。ふたつの科学分野(島嶼生物地理学と社会生物学)と、自然科学と人文科学を統合する3つの概念(バイオフィリア、生物多様性、コンシリエンス)をつくり上げ、地球の生物多様性研究の大きな技術的進歩(オンライン版生物百科事典「エンサイクロペディア・オブ・ライフ」)に貢献した功績で知られる。アメリカ国家科学賞、スウェーデン王立科学アカデミーが授与するクラフォード賞(生態学分野、ノーベル賞に相当)、日本の国際生物学賞、ノンフィクションで2度のピューリッツァー賞、イタリアの国際ノニーノ賞、日本のコスモス国際賞など、科学および文芸での受賞歴は100を超える。現在はハーバード大学名誉教授および同大学自然史博物館の名誉学芸員(昆虫学)
小林/由香利
翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
世界有数の生物学者。ふたつの科学分野(島嶼生物地理学と社会生物学)と、自然科学と人文科学を統合する3つの概念(バイオフィリア、生物多様性、コンシリエンス)をつくり上げ、地球の生物多様性研究の大きな技術的進歩(オンライン版生物百科事典「エンサイクロペディア・オブ・ライフ」)に貢献した功績で知られる。アメリカ国家科学賞、スウェーデン王立科学アカデミーが授与するクラフォード賞(生態学分野、ノーベル賞に相当)、日本の国際生物学賞、ノンフィクションで2度のピューリッツァー賞、イタリアの国際ノニーノ賞、日本のコスモス国際賞など、科学および文芸での受賞歴は100を超える。現在はハーバード大学名誉教授および同大学自然史博物館の名誉学芸員(昆虫学)
小林/由香利
翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 亜紀書房 (2016/6/28)
- 発売日 : 2016/6/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 240ページ
- ISBN-10 : 4750514756
- ISBN-13 : 978-4750514758
- 寸法 : 13.6 x 2.2 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 168,106位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 86位サル・人類学
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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タイトルから想像されるような筋道だった系統的な本ではなく、15章に分かれているコラムの集合体と言っていい作りだ。社会生物学者として著名な著者が、遺伝学や生態学を題材にいろいろな事を話題にする。それは、人間性の由来と将来、ETはいるだろうか、いるとしたらどんな生物だろう、などであり、生態系保存の重要性などを含む。また、自然科学の進歩こそが、人文諸科学との融合を必要としているとも主張される。これはもっともな考えだが、人文系の皆さんの世代交代が進まないと無理だろう。また、宗教は人間性の遺伝的基盤から発展してきた物だが、その教条性がもたらす害悪についてかなり強く主張されている。評者は納得だが、そもそも狂信的な人たちはこんな本を読まないだろう。
一番著者が知ってもらいたかった話題は、著者等が関与した2010年発表の論文で(その要旨が巻末についている)巻き起こした社会生物学、進化論でのパラダイムシフトだろう。全体のそこかしこで触れられている内容で、それは進化理論で有名な利他性の進化を説明する包括的適応度理論の批判だ。これは、1960年代にハミルトンやホールデンにより開拓された考え方で、例えば利他的に見える行動は、実は血縁の濃さにより自己を犠牲にしても、自分の遺伝子は多くの血縁者を通って残ればそれは利益になるので、自然選択に矛盾しない、という考えだ。評者もこれが定説と思っていたが、実は間違った理論で、利他性の進化は、集団内での個人の利益追求に対する選択と、より利他性の高い集団に対する選択のバランスで説明できるのだと言う。集団内部での利己的行動は個体には利益をもたらすが集団の競争力をそぐ。利他的な個体は同じ集団内部での競争では不利になるが、集団の競争力を高める。そして、人間性の良い面は後者の、悪い面は前者の選択により存在するのだ、という主張が何回かなされている。評者は、進化理論の専門家ではないので、巻末の論文要旨を読んでも当否の判断はできなかったが、今まで当然と信じていたドーキンス等の、いや著者も最近まで擁護してきた理論に対して、社会性昆虫の現実の振る舞いから批判や疑問が蓄積し、著者等による新提案になったのだと言う。ただし、主流派によれば、自然選択が集団に対して行われるという考えには、かなり強い批判があったはずだ。巻末の長谷川真理子による解説では、彼女もウイルソンの新理論に対してはかなり懐疑的である旨を記している。
考えるヒントに満ちあふれた本で、大変興味深く読むことができた。難しい議論と著者お得意のアリの暮らしの面白い話しが混在しているので、難しい議論は読むだけにしておけば専門知識なしでも楽しめると思う(量は多くない)。
一番著者が知ってもらいたかった話題は、著者等が関与した2010年発表の論文で(その要旨が巻末についている)巻き起こした社会生物学、進化論でのパラダイムシフトだろう。全体のそこかしこで触れられている内容で、それは進化理論で有名な利他性の進化を説明する包括的適応度理論の批判だ。これは、1960年代にハミルトンやホールデンにより開拓された考え方で、例えば利他的に見える行動は、実は血縁の濃さにより自己を犠牲にしても、自分の遺伝子は多くの血縁者を通って残ればそれは利益になるので、自然選択に矛盾しない、という考えだ。評者もこれが定説と思っていたが、実は間違った理論で、利他性の進化は、集団内での個人の利益追求に対する選択と、より利他性の高い集団に対する選択のバランスで説明できるのだと言う。集団内部での利己的行動は個体には利益をもたらすが集団の競争力をそぐ。利他的な個体は同じ集団内部での競争では不利になるが、集団の競争力を高める。そして、人間性の良い面は後者の、悪い面は前者の選択により存在するのだ、という主張が何回かなされている。評者は、進化理論の専門家ではないので、巻末の論文要旨を読んでも当否の判断はできなかったが、今まで当然と信じていたドーキンス等の、いや著者も最近まで擁護してきた理論に対して、社会性昆虫の現実の振る舞いから批判や疑問が蓄積し、著者等による新提案になったのだと言う。ただし、主流派によれば、自然選択が集団に対して行われるという考えには、かなり強い批判があったはずだ。巻末の長谷川真理子による解説では、彼女もウイルソンの新理論に対してはかなり懐疑的である旨を記している。
考えるヒントに満ちあふれた本で、大変興味深く読むことができた。難しい議論と著者お得意のアリの暮らしの面白い話しが混在しているので、難しい議論は読むだけにしておけば専門知識なしでも楽しめると思う(量は多くない)。
2017年7月29日に日本でレビュー済み
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タイトルからすると、ヒトの生物学的な機能進化の可能性といった内容を想像するが、原題は「The Meaning of Human Existence」。その名のとおり、本書は人間の存在意味、すなわち、私たち人間が今ここで生きているとはどういうことなのかを考察したものだ。著者はその考察において、宗教や哲学といった人文科学的なアプローチに、ヒトの生物進化という自然科学的なアプローチの統合を主張する。信仰の対立が起こる宗教の負の側面を卒業し、進化の中で生まれたヒトという種の存在に、人間の存在意味を見いだそうとする試みだ。
前半3分の1は抽象的、哲学的な内容が続きやや退屈するが、地球外生命がもし存在した場合の双方が出会う可能性について、進化の過程面から考察している点などが面白い。
前半3分の1は抽象的、哲学的な内容が続きやや退屈するが、地球外生命がもし存在した場合の双方が出会う可能性について、進化の過程面から考察している点などが面白い。
ベスト500レビュアー
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『社会生物学』で著名な生物学者ウィルソンの近作。原著(2014)のタイトルは、The Meaning of Human Existence(人間が存在する意味)。進化論を説明した啓蒙書であるが、哲学的洞察に満ちた優れた書物になっている。それは、進化によって生み出された「ヒト」の特性として、「感情の不安定性」、「思考の創造性」「自由意志」などを強調しているからである。評者は哲学の研究者なので、ウィルソンの主張は、デカルトの『省察』『情念論』などと大きく重なるところがあると感じた。デカルトとまったくアプローチは違うのだが、異なるアプローチが似た結論を出す場合、その結論には信頼性が高いのが普通である。ウィルソンによれば、ヒトの感情が不安定であるのは、ヒトの進化がもともと、個体レベルの選択と集団レベルの両面で行われたがゆえに、利己主義と利他主義の「葛藤」がどこまでも付きまとうからである。個体は、利己主義の行動によって、集団内部でより多くの遺伝子を残し、その集団内では進化的に優位に立つ。しかし集団は他の集団との競争もあるので、個体がその集団内部において利他主義で行動するような集団の方が、集団の競争に勝ち残る可能性が高い。最終的に、利己主義と利他主義の対立的契機がバランスする地点が、個体にとっても進化的に最適値であるので、利己主義と利他主義の「葛藤」とその帰結である感情の不安定性を避けることはできない。この「葛藤」こそ人間の創造性を生み出した原因なので、我々は感情の不安的性とどこまでも付き合って生きなければならない。ワシ、キツネ、クモのように個体選択しかない動物や、アリのように集団選択しかない動物は、この「葛藤」が存在しないが、ヒトは違うのである。さらに、この「葛藤」ゆえに、我々は「他者への異常なまでの関心と複雑な感情」(たとえば愛、憎しみ、嫉妬など)を持たざるをえず、これが芸術や人文科学の主要動機をなしているという主張も面白い。
2017年3月27日に日本でレビュー済み
進化生物学者として、著名なウィルソンの著作であり、原題は、他のレビュアーも触れているとおり『ヒトの存在の意味』という極めて哲学的な題になっている。そして、読み始めると冒頭に「そろそろ学問の2大分野を統合する可能性を提案してもいいころだ。」とある。ここでいう2大分野とは、人文科学と自然科学のことであり大いに期待される。 従来、人文科学で扱われてきた分野を最新の自然科学の目で見つめ直し、生物学、特に進化生物学を基礎にして、ヒトとはなんであるか、ヒトのこころや宗教の源泉、宇宙における生物やETの存在の可能性など興味深いテーマが語られる。
本書のテーマは、多岐にわたるので、気になった2,3のポイントに絞って触れてみたい。
著者、ウィルソンの専門は、進化生物者であり、本書の多くもその専門知識に依存している。過去4億年に進化を遂げた陸生動物の系統は無数にあるが、真社会性が出現したのは、昆虫、海洋性甲殻類、地中性齧歯類に人類を加えて20回のみだそうだ。
真社会性の生物の進化を説明するのが、1964年、ハミルトンが提起した包括適応度理論ということになるが、著者も初めはそれを擁護した。本書にはないが、後日、プライスが共分散分析を取り入れて一層、理論化した(『親切な進化生物学者 J.プライスの利他行動の対価』みすず書房,2011)。そして、雄弁な科学ジャーナリストであるドーキンスがこの概念をベストセラーになった『利己的な遺伝子』(紀伊国屋書店)で一般的に解説した。
その後、著者はハミルトンの包括適応度理論に異を唱えて新しい理論を提唱しているが、ドーキンスから猛反発された経緯が面白い。15頁もの補遺で包括適応度理論の問題点を解説しているが、これを読んでもこの理論の理解は難しい。巻末にある長谷川眞理子氏の解説によると、「ウィルソンのマルチレベル選択に関する議論は、少し、距離をおいて読んだ方がよい」とのことだが、そんなことで片づけていいものだろうかという気はする。
また、進化した大きな脳をもつヒトの「意識」や「宗教」の起源の問題も興味深い。これも従来の人文科学ではなく、自然科学で説明しようとする。ここでドーキンスの『神は妄想である-宗教との決別』(早川書房,2007)を思い出した。ドーキンスは、科学を武器になんとか、神が存在しないことを証明しようと懸命に努力する。一方、本書の著者は、進化したヒトの脳が宗教、神を産んだ意味を重視する。ヒトの脳の進化の過程で必然的に神を誕生させたのだろうか? アメリカ人の約半数(1980年の44%から2013年は46%に増加)は、進化の証拠を無視して、神による創造説を信じているという。その点、明治期の初めに来日した米国の生物学者、モースがそのころ、新しい学説として紹介した進化論を日本人は抵抗なく、受け入れたことは興味深い。
解説で、長谷川眞理子氏は、本書は、とくに高校生などの若い読者を対象に書かれたものだというが、テーマは興味深いものの理解は容易ではない。もちろん、簡単に結論が出ることではなく、問題提起の面が強いせいもある。さらには小生の老化による理解力の衰退によることもあるかも知れないが。
本書のテーマは、多岐にわたるので、気になった2,3のポイントに絞って触れてみたい。
著者、ウィルソンの専門は、進化生物者であり、本書の多くもその専門知識に依存している。過去4億年に進化を遂げた陸生動物の系統は無数にあるが、真社会性が出現したのは、昆虫、海洋性甲殻類、地中性齧歯類に人類を加えて20回のみだそうだ。
真社会性の生物の進化を説明するのが、1964年、ハミルトンが提起した包括適応度理論ということになるが、著者も初めはそれを擁護した。本書にはないが、後日、プライスが共分散分析を取り入れて一層、理論化した(『親切な進化生物学者 J.プライスの利他行動の対価』みすず書房,2011)。そして、雄弁な科学ジャーナリストであるドーキンスがこの概念をベストセラーになった『利己的な遺伝子』(紀伊国屋書店)で一般的に解説した。
その後、著者はハミルトンの包括適応度理論に異を唱えて新しい理論を提唱しているが、ドーキンスから猛反発された経緯が面白い。15頁もの補遺で包括適応度理論の問題点を解説しているが、これを読んでもこの理論の理解は難しい。巻末にある長谷川眞理子氏の解説によると、「ウィルソンのマルチレベル選択に関する議論は、少し、距離をおいて読んだ方がよい」とのことだが、そんなことで片づけていいものだろうかという気はする。
また、進化した大きな脳をもつヒトの「意識」や「宗教」の起源の問題も興味深い。これも従来の人文科学ではなく、自然科学で説明しようとする。ここでドーキンスの『神は妄想である-宗教との決別』(早川書房,2007)を思い出した。ドーキンスは、科学を武器になんとか、神が存在しないことを証明しようと懸命に努力する。一方、本書の著者は、進化したヒトの脳が宗教、神を産んだ意味を重視する。ヒトの脳の進化の過程で必然的に神を誕生させたのだろうか? アメリカ人の約半数(1980年の44%から2013年は46%に増加)は、進化の証拠を無視して、神による創造説を信じているという。その点、明治期の初めに来日した米国の生物学者、モースがそのころ、新しい学説として紹介した進化論を日本人は抵抗なく、受け入れたことは興味深い。
解説で、長谷川眞理子氏は、本書は、とくに高校生などの若い読者を対象に書かれたものだというが、テーマは興味深いものの理解は容易ではない。もちろん、簡単に結論が出ることではなく、問題提起の面が強いせいもある。さらには小生の老化による理解力の衰退によることもあるかも知れないが。
2016年12月17日に日本でレビュー済み
原題は、“ヒトが存在する意味”です。
邦題の“ヒトはどこまで進化するか”で、ちょっと、内容を誤解していました。
米国人の生物学者が、科学的視野で、ヒト、を分析しています。
私たちは、何者か?
例えば、利己性はコミュニティーの中での競争には武器になるが、コミュニティーが他コミュニティーに対する競争を有利に進めるには、他己性の方が武器になる、とか。
宇宙の中の“ヒト”の存在の可能性と、存在するとすると、どのような生物か、とか。
宗教や哲学についての著者の見方、とか。
世界の見え方が、少し、変わりました。
邦題の“ヒトはどこまで進化するか”で、ちょっと、内容を誤解していました。
米国人の生物学者が、科学的視野で、ヒト、を分析しています。
私たちは、何者か?
例えば、利己性はコミュニティーの中での競争には武器になるが、コミュニティーが他コミュニティーに対する競争を有利に進めるには、他己性の方が武器になる、とか。
宇宙の中の“ヒト”の存在の可能性と、存在するとすると、どのような生物か、とか。
宗教や哲学についての著者の見方、とか。
世界の見え方が、少し、変わりました。





