ポーター、ピータース、ウォーターマンなどが提唱した組織的特性を発展させる形でマーケットリーダーのための普遍的な戦略フレームワークの構築を問題提起した、米企業のコンサルティングに豊富な経験を有する2人のマーケティング戦略の権威による調査研究の集大成である。バリュースペースとは、顧客とのリレーションシップの構築ならびに持続的な競争優位の実現を目指して企業がしのぎを削る競争空間、すなわち顧客のために真の市場価値が創造される空間のことである。著者らは顧客価値の創造こそが株主価値の源泉であり、組織の成長を長期にわたって持続させるための唯一の道であると主張する。
2人によれば、顧客が求める市場価値の階層構造は、パフォーマンス、価格、パーソナライゼーションの3つの基本的な構成要素と、8つの価値要素および拡張要因であるバリュースペース・エキスパンダーから成る。本書の特徴は、マーケットリーダーである主要米企業の実例を取り上げて、それらがどのようにして総合的な顧客バリュースペースを創造しているのかを定性的に分析することによって、バリュースペース構築のためのフレームワークを体系的に示すとともに、その構築のための指針と行動へのガイドラインを提示している点にある。原著発刊から3年たっての日本上陸となったことは惜しまれるが、普遍性の高い内容であり、同分野の学識者、学生、実務家には必読の書と言えよう。(徳崎 進)
流動的でカオスとさえ形容できる競争環境のもとで、企業はどう勝ち残り、またいかに社会的な存在価値を発揮し成長することができるのか。フォーチュン誌「最も尊敬される会社」上位5社にランクされた各業界11社の実践事例を研究、持続的競争優位の源泉である顧客バリュースペース構築の道筋を示す。
内容(「MARC」データベースより)
サバイバル時代における競争優位の構築。アメリカンエキスプレス、3M、ヒルトンホテル、キャタピラー等「世界で最も尊敬される会社」の事例研究により、そのフレームワークと新しいビジネスモデルを示す。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ミッタル,バン
ピッツバーグ大学にて博士号取得。現在、ノーザン・ケンタッキー大学教授(マーケティングおよび経営学)。専門領域は、マーケティング戦略、サービス業の経営、顧客満足、ブランド資産、顧客価値形成プロセスなど。企業経営者の指導やコンサルティングの経験多数
シェス,ジャグ
ピッツバーグ大学にて博士号取得。現在、エモリー大学経営大学院教授および同大学リレーションシップ・マーケティングセンター長。専門領域は、マーケティング戦略、グローバル競争、顧客関係管理など。フォーチュン誌500社企業へのコンサルティングなど斯界の権威として世界的に活躍
陶山/計介
1950年岡山県生まれ。73年早稲田大学政治経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程を経て82年関西大学商学部助手。現在、関西大学商学部教授。博士(経済学)。専攻はマーケティング管理論
梅本/春夫
1952年大阪市生まれ。75年滋賀大学教育学部卒業。(株)大広入社、現在、同社ナレッジ開発局長兼(株)大広ブランドデザイン取締役。関西大学商学部および学習院大学経済学部非常勤講師
北村/秀実
1965年大阪府生まれ。88年神戸女学院大学文学部英文学科卒業。92年ボストン大学コミュニケーション学科大学院修士課程修了。94年(株)大広入社、大阪本社マーケティング局ディレクターを経て、現在、(株)大広ブランドデザインストラテジープランナー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)