創世記の冒頭部から、いわゆるJ資料だけを取り出して解釈していく野心作。
著者の指摘によれば、J資料の冒頭は「主なる神が地と天を創ったとき」となっており、これはP資料の冒頭にある「天と地」をあえてひっくり返して「地と天」としているのである。著者はその点に注目し、そこから「神と人と地」という三者の関係を主軸にして創世記を読み解いていく。
所々解釈に無理があるような気もしたが、読み物としては推理小説のようで大変面白かった。
ヤハウィスト(J資料の著者)がどのような意図で創世記を書き、P資料がいかにそれを潰しにかかったか。
このような視点で創世記を読むとき、そこには真実を追究する者と自分の立場を守る者との対決という構図が浮かび上がってくる。
そして真実を追究したヤハウィストは、ついにその真実に行き着いたとき、自らそれを隠蔽せざるを得なくなる。
なぜなら、その真実は自分自身を根底から否定するものでもあり、その真実を認めた瞬間に、それまでの真実追究の道程そのものが根底から崩れ去ってしまうからだ。
かくしてバベルの塔の崩壊は、土台そのものが危ういところにあったことの象徴となる。
真実を追究する者は、いつしかその真実によって絶望することになるのだろうか。
それは、善悪の知識の木の実を食べた人間の宿命なのかもしれない・・・。
なんだか壮大な人生ドラマを見ているようだった。読後感は満足の一言。
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バベルの謎―ヤハウィストの冒険 (中公文庫) 文庫 – 2007/4/1
これまでの聖書の常識を覆す旧約「創世記」の根本的な読み直
し。天地創造からバベルの塔にいたるおなじみの物語の真の姿に迫ることで、
一個の大胆極まりない精神の軌跡を明らかにする。和辻哲郎文化賞受賞作。
し。天地創造からバベルの塔にいたるおなじみの物語の真の姿に迫ることで、
一個の大胆極まりない精神の軌跡を明らかにする。和辻哲郎文化賞受賞作。
- 本の長さ437ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2007/4/1
- ISBN-104122048400
- ISBN-13978-4122048409
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商品の説明
著者からのコメント
われわれは、「バベルの塔」の物語など、子供でも知っている、
充分によく知りつくしている、とおもっている。しかし、ほんとうに、われわれ
はこの物語をよく知っているのだろうか?
(本文より)
充分によく知りつくしている、とおもっている。しかし、ほんとうに、われわれ
はこの物語をよく知っているのだろうか?
(本文より)
出版社からのコメント
<バベルの塔>の隠された真実。大胆な推理で、旧約聖書
「創世記」を読み解く。
「創世記」を読み解く。
内容(「BOOK」データベースより)
これまでの聖書の常識を覆す旧約「創世記」の根本的な読み直し。天地創造からバベルの塔にいたるおなじみの物語の真の姿に迫ることで、一個の大胆極まりない精神の軌跡を明らかにする。和辻哲郎文化賞受賞作。
著者について
昭和21年(1946)、東京都に生まれる。昭和44年、東京大学文学部
哲学科卒業。昭和50年、同大学大学院博士課程修了。現在、埼玉大学教養学部教
授。専攻は哲学。著書に『からごころ--日本精神の逆説』『民主主義とは何なの
か』など。
哲学科卒業。昭和50年、同大学大学院博士課程修了。現在、埼玉大学教養学部教
授。専攻は哲学。著書に『からごころ--日本精神の逆説』『民主主義とは何なの
か』など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
長谷川/三千子
昭和21年(1946)、東京都に生まれる。昭和44年、東京大学文学部哲学科卒業。昭和50年、同大学大学院博士課程修了。埼玉大学教養学部教授。専攻は哲学。『バベルの謎―ヤハウィストの冒険』で、和辻哲郎文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
昭和21年(1946)、東京都に生まれる。昭和44年、東京大学文学部哲学科卒業。昭和50年、同大学大学院博士課程修了。埼玉大学教養学部教授。専攻は哲学。『バベルの謎―ヤハウィストの冒険』で、和辻哲郎文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2007/4/1)
- 発売日 : 2007/4/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 437ページ
- ISBN-10 : 4122048400
- ISBN-13 : 978-4122048409
- Amazon 売れ筋ランキング: - 573,156位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 108位旧約聖書
- - 1,748位キリスト教入門
- - 1,884位キリスト教一般関連書籍
- カスタマーレビュー:
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2011年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あとがきも触れられているように、著者は独学で旧約聖書の創世記に挑んでいる。
専門的に見れば誤った学説に依っているところもあるが、安直に自分に都合のよい
学説を採ったものとは思われない。そう信じさせるのは著者が創世記のテクストを
実直に、常識を廃した素直な目で読み解いているからだ。その姿勢のブレのなさが
最後まで続く。本書の価値は読み解いた内容の正しさではなく、著者の丹念な読み
にある。好著である。
専門的に見れば誤った学説に依っているところもあるが、安直に自分に都合のよい
学説を採ったものとは思われない。そう信じさせるのは著者が創世記のテクストを
実直に、常識を廃した素直な目で読み解いているからだ。その姿勢のブレのなさが
最後まで続く。本書の価値は読み解いた内容の正しさではなく、著者の丹念な読み
にある。好著である。
2012年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
旧約聖書の創世記は複数の作者によるテキストをはぎあわせたものだという. そのうちのひとりがヤハウィストとよばれているが,著者はたの作者を排してヤハウィストが書いた 「創世記」 をよみとく. アダムが禁断の木の実をたべるところから 「神と地と人との分裂と対立」 がはじまり,それがバベルの塔の物語につながっていくという. バベルの塔の解釈にはくるしいところもあるようにおもえるが,独自の創世記解釈として興味ぶかい.
2020年5月28日に日本でレビュー済み
クリスチャンです。まずとてもおもしろかったですね。推理小説みたいで。ただ最後に大きな疑問が残りました。長谷川氏によるとヤハウィストは「ユダヤ教(あるいはヤハウェ信仰)を否定するところまで洞察してしまった。」としています。しかし一方では「彼の知的誠実さがこの危険な思想を書かざるを得ない立場にした」とも言っています。しかし、この指摘が本当だとすると本人はその後どうしたのでしょうかね?考えられることは①宗教を捨てた、②自殺あるいは世捨て人になった、③信仰するふりだけしていた、といったところでしょうか?しかし、信仰者の立場からするといずれも無理だと思います。とすると一番の可能性は自分の著作を密かに闇に葬った、あるいは徹底的に改竄した、ということだと思うのです。とするとなぜ未だに旧約の冒頭にあるのかが、分かりません。旧約成立以来とても長い時間がたって、今まで誰も気づかなかったことを長谷川氏が発見したとしたらすごいことですが、神学研究家たちがそんなにボンクラばっかりだったとも思えませんし、また著作の終わりに近づけば近づくほど著者自身が一番嫌っている「こじつけ」や「飛躍」が多くなっていることも自己矛盾だと思いました。最初興奮気味で読んでだんだんがっかりに変わってしまったのでとても残念です。でもまあ新しい見方も大事だなということを改めて考えさせられたのでその点は良かったですね。





