LP版で持っていたこれらの作品、プレーヤーが既にないため聞けないでいた。
そして、このCDをかけた時胸がいっぱいになった。
個人的には「パパ・ヘミングウェイ」よりも「ヴェネツィ」アのほうがヨーロッパっぽいという印象があるが、
それはともかく、この3作品が素晴らしい物であることは間違いない。
ブックレットの方にはこれらの作品の制作にかかわった方々の
インタビューがあり、各自どのような苦労があったのかというようなことが書いてあり、
中には大事な個所は自分が作ったのだというようなことをはっきり言及している方もいらした。
まぁ確かに大きな貢献をされたとは思う。が、
バッキングメンバーがいくら優秀でも、いや、優秀であればこそ
自分の個性を失わず、彼らの良さを引き出してまとめることは常人にはできないだろう。
誰が、どんな環境が、自分の世界を表現するのに一番良いのか
加藤和彦はそれを知っていたのだと思う。
また、作品に一貫して流れる洒脱な感じ、歴史や文学、音楽への深い造詣、
安井かずみという独特な世界観を持った天才が書いた詩を誰よりも生き生きと音楽として
表現するという技術は加藤和彦の独壇場だと思う。
何度も繰り返し聞いていたはずだが、
あれからずいぶん時が経ち、あの頃わからなかった歌詞の中の名詞が何を意味しているのか
分かるようになったことにも気づいた。同時に
歌の深みが味わえるようになったのだ。
こんな時だけは歳を取ったことが悪くないと思えてくる。
30年越しで欲しかったこのCDを遂に手に入れて
心から満足した。こんなに金、手間をかけて
本当に一流のアーティスト達が集結して作り上げた作品を
他に知らない。
加藤和彦と安井かずみは多くのインスピレーションを自分に与えてくれた。
深く感謝している。
また、この作品を再び世に出してくださった方々にも
御礼を申し上げる。
この作品を死ぬまで大事にしたいと思う。
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