国産SF作品の中でも比較的新しい部類ですが、とても面白いです。
設定や世界観にやや粗のある部分もありますが、そこは前提とする「フィクション」部分をどこまで許容できるか読み手の匙加減だと思います。
この作品は、人の感情を論理的に紐解く描写に関して、とても丁寧に描かれています。
特に「善の定義」に触れる下りは、そういう定義の立て方もあるのかと驚きました。
多くの人が漠然と感じている感情や意識を言語化するのがとても上手い作者だと思います。
物語のクライマックスが、あまりにも素晴らしく。また、この物語を読み終えた途端に氏の新作がもう二度と読むことができないことを痛いほど実感して、思わず涙が止まりませんでした。
伊藤計劃氏の、ご冥福をお祈りします。
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![[伊藤 計劃]のハーモニー (ハヤカワ文庫JA)](https://m.media-amazon.com/images/I/314b-E3He3L._SY346_.jpg)
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Kindle版
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言語日本語
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出版社早川書房
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発売日2010/12/8
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
21世紀後半、“大災禍”と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはずの少女の影を見る―『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。
--このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者について
伊藤計劃 1974年10月東京都生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』で作家デビュー。同書は「ベストSF2007」「ゼロ年代ベストSF」第1位に輝いた。2008年、人気ゲームのノベライズ『メタルギアソリッドガンズオブザパトリオット』に続き、オリジナル長篇第2作となる『ハーモニー』を刊行。第30回日本SF大賞のほか、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門を受賞。2009年3月没。享年34。2011年、英訳版『ハーモニー』でフィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞した。
--このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
伊藤/計劃
1974年10月生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』で作家デビュー。「ベストSF2007」「ゼロ年代SFベスト」第1位に輝いた。2008年、オりジナル長篇第2作となる『ハーモニー』を刊行。第30回日本SF大賞のほか、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門を受賞。2009年3月没。享年34。2011年、英訳版『ハーモニー』でフィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
1974年10月生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』で作家デビュー。「ベストSF2007」「ゼロ年代SFベスト」第1位に輝いた。2008年、オりジナル長篇第2作となる『ハーモニー』を刊行。第30回日本SF大賞のほか、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門を受賞。2009年3月没。享年34。2011年、英訳版『ハーモニー』でフィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B009DEMA1Q
- 出版社 : 早川書房 (2010/12/8)
- 発売日 : 2010/12/8
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 320 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 384ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 5,325位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- カスタマーレビュー:
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2020年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世のほぼすべての作家は「人間性」に関心があってその「意識」も実は「動物」としての必要性から生まれたものに過ぎない。その根源からものを考えるべきとする著者「の態度はどこまでも科学的、唯物論的なものである」(佐々木敦解説)。と同時に、「ロジック」にあくまでこだわる著者はある特定のそれが絶対に正しいと言えない限り複数の人物を登場させざるを得ない。本書でも3人の少女⇒女性、主人公の父親などなどに思想=「ロジック」を語らせているのはそのためである。これは言い換えれば「弁証法」に他ならない。
ただし、本書のテーマは重過ぎてこの著者にしても最終回答は「やはり今回は見つかりませんでした」(佐々木氏との対談)なので、弁証法は正-反-合の完成形に至っていない。本書を著者自身、「途中経過報告」(同)と言わざるを得ないのはこのためである。
では、どのように「正-反-合」を考えねばならなかったのか、どういう問題として考えなければならなかったのかといえば、やはり「現在を招来より過大に見積もる双曲線の問題」という問題ではなく、動物がそれこそ本能的に持っている「他者」より「自己」を重視していること言うこと、言い換えれば、他人と自分との間の利害の矛盾の方がより根源的、一般的な問題ではなかったかと思うのである。「万人が万人を思いやる社会」といっても自分、家族や友人とその外部の人間とを同じように扱うということは「動物」としても不可能である。それが「ハーモニー」という理想社会の実現可能性の問題だとどうしても思えるからである。
本書を読んでいろんな感想をもったが、コアたるべき感想のみを書いた。参考にされたい。
ただし、本書のテーマは重過ぎてこの著者にしても最終回答は「やはり今回は見つかりませんでした」(佐々木氏との対談)なので、弁証法は正-反-合の完成形に至っていない。本書を著者自身、「途中経過報告」(同)と言わざるを得ないのはこのためである。
では、どのように「正-反-合」を考えねばならなかったのか、どういう問題として考えなければならなかったのかといえば、やはり「現在を招来より過大に見積もる双曲線の問題」という問題ではなく、動物がそれこそ本能的に持っている「他者」より「自己」を重視していること言うこと、言い換えれば、他人と自分との間の利害の矛盾の方がより根源的、一般的な問題ではなかったかと思うのである。「万人が万人を思いやる社会」といっても自分、家族や友人とその外部の人間とを同じように扱うということは「動物」としても不可能である。それが「ハーモニー」という理想社会の実現可能性の問題だとどうしても思えるからである。
本書を読んでいろんな感想をもったが、コアたるべき感想のみを書いた。参考にされたい。
2018年7月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ヒトの健康すら完全に管理された世界、その世界の仕組みを作った一端を担った父親、そしてその世界の憎しみかたを教えてくれた友の間で、ゆれる女性の話です。
近未来の描写は初めはイメージするのが難しいですが、そこまで難しい用語は多くなく、読み進めるうちに問題なくなります。
また結末に向けての展開はスピード感もあり一気読み、さらにその結末には裏をかかれました。
近未来の描写は初めはイメージするのが難しいですが、そこまで難しい用語は多くなく、読み進めるうちに問題なくなります。
また結末に向けての展開はスピード感もあり一気読み、さらにその結末には裏をかかれました。
2020年7月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「虐殺器官」は全く楽しめなかったので、こちらも期待せずに読み始めたのですが……本当に同じ著者なの?というくらい、どっぷりハマってしまいました。
主人公はこの作品内の社会では異端の思考の持ち主ですが、現代社会から見ると通常の思考であり、この作品を読んで感じた私の気持ちの代弁者でもあるので、この息も詰まる世界観においては感情移入が容易でした。
そして世界を救うことより、個人的な欲求と復讐で動くところも、この世界の人間らしくない、でも彼女らしい人間くささがあって、非常に好感が持てました。
虐殺は主人公が受け付けなかったので、当たり前ですが主人公って大事だなと感じました。
アニメ映画とコミカライズされているとのことで、普段はアニメや漫画にはあまり興味がないのですが、こちらの作品は手を出してみようかと考えるくらい衝撃でした。
主人公はこの作品内の社会では異端の思考の持ち主ですが、現代社会から見ると通常の思考であり、この作品を読んで感じた私の気持ちの代弁者でもあるので、この息も詰まる世界観においては感情移入が容易でした。
そして世界を救うことより、個人的な欲求と復讐で動くところも、この世界の人間らしくない、でも彼女らしい人間くささがあって、非常に好感が持てました。
虐殺は主人公が受け付けなかったので、当たり前ですが主人公って大事だなと感じました。
アニメ映画とコミカライズされているとのことで、普段はアニメや漫画にはあまり興味がないのですが、こちらの作品は手を出してみようかと考えるくらい衝撃でした。
2020年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
漫画やゲームなどのメディアで表現規制が叫ばれる昨今。
それが技術的に可能になった未来のシミュレートとして、「ありえそうな末路」を本作は描いている。
淡々と、そして必然として終わっていく世界の様子は、ある意味でラストシーンに象徴されるような儚さと美しさを感じさせる。
ストーリーラインとして紆余逆説はあまりなく、決められた結末に向けて切々と要素を積み上げている印象だ。
謎や動機の部分は最終局面に至る前にほとんど出揃っており、後はどう着地させるのかという点だけが残る。
結末についても意外性はほとんどなく、本当に「綺麗に締めたなぁ…」という所感だった。
人を引き込むようなアクの強さは感じなかったが、その危うさと儚さを噛み締めて味わう作品である。
それが技術的に可能になった未来のシミュレートとして、「ありえそうな末路」を本作は描いている。
淡々と、そして必然として終わっていく世界の様子は、ある意味でラストシーンに象徴されるような儚さと美しさを感じさせる。
ストーリーラインとして紆余逆説はあまりなく、決められた結末に向けて切々と要素を積み上げている印象だ。
謎や動機の部分は最終局面に至る前にほとんど出揃っており、後はどう着地させるのかという点だけが残る。
結末についても意外性はほとんどなく、本当に「綺麗に締めたなぁ…」という所感だった。
人を引き込むようなアクの強さは感じなかったが、その危うさと儚さを噛み締めて味わう作品である。