愛猫との運命的な出会いとその後を感動的に描いた「生きる歓び」、「ハレルヤ」とほか2作。その中で「こことよそ」は、谷崎潤一郎全集の月報のためのエッセイを求めらたことをきっかけに、谷崎の「異端者の悲しみ」や坂口安吾の「暗い青春・魔の退屈」、尾辻克彦の「雪野」、尾崎という亡き旧友、その必要もないのにいったん自転車で海のほうへ出てから鎌倉の交差点で軽自動車とぶつかって死んだ父の思い出などが、脈絡もなく、いな、著者の脳裏に浮かぶ想念の自然の経路を時空を超えて丁寧に辿られていく。
その最後の数行を引用しよう。
「いまこうして他に選びようもなくなった人生とまったく別の、あの時点で人生は可能性の放射のように開け、死はその可能性を閉じさせられない………私はあの時点の感触に何度書き直しても届かないからもう何度も何度もこのページを書き直してきた、今の私、死んだ尾崎、あのときの私、暴走族の気配を引きずっていた尾崎、これらの関係は書いても書いても固定する言葉がない、それは言葉の次元ではない。」
- フォーマット: Kindle版
- ファイルサイズ: 1142 KB
- 推定ページ数: 123 ページ
- 出版社: 新潮社 (2018/7/31)
- 販売: Amazon Services International, Inc.
- 言語: 日本語
- ASIN: B07M8QLQPV
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能):
有効
- Word Wise: 有効にされていません
- カスタマーレビュー: 3件のカスタマーレビュー
-
Amazon 売れ筋ランキング:
Kindleストア 有料タイトル - 202,461位 (Kindleストア 有料タイトルの売れ筋ランキングを見る)
- 27372位 ─ 日本の小説・文芸
- 1204位 ─ 芥川賞受賞(101-125回)作家の本






