10代〜30代までの主人公の口語体っていうのかな、独白調の短い文章と会話が乱射され、疾走していく短篇が三つ。すべてに、良識をひと蹴り!の非日常の雰囲気が満ち満ちていた。
表題作「ハル、ハル、ハル」は、話がどこに転がっていくのか全く予測がつかない面白さがあって楽しめたのですが、「スローモーション」と「8ドッグズ」の話では、登場人物の舌足らずな言葉遣いが鼻について、居心地悪かったですね。ストーリーが自由奔放に走っていくテンポ感、解放感はいい感じだったんですが、一方で、主人公の幻覚体験に堕しかねない危うさも感じました。そこら辺をどう受け取るか、過激な文体になじめるかどうかで、好き嫌いが分かれる小説ではないでしょうか。
収録作品は、次の三つ。
■「ハル、ハル、ハル」・・・・・・三人の「ハル」が出会って、千葉県の犬吠埼へと向かう話。少女「ハル」の台詞、「もうパンツ脱いで走ってる感じよ。100パーセントの解放感。ざまあみろ世間」がかっこいい。
■「スローモーション」・・・・・・身長174センチの女が、読者に宛てて書いていく日記。やがて、理不尽でショッキングな出来事がやって来る。
■「8ドッグズ」・・・・・・年上の恋人との5歳の差を埋めるために、「8」の魔法を意識する若い男の話。表題作とともに、犬が重要なキーワードになっている。
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