他の高嶋作品に比べると見劣りすると言わざるを得ない。
前置きが長く、登場人物は多いわりに肝心の台風が来てからの描写は余りにも短く、これからどうなるのと思ったら通りすぎているという(失礼ながら)お粗末な展開だった。
不要な登場人物も多い。気象庁バイトのシングルマザー(途中でふいにいなくなった)、広告会社の上司(ほとんど筋書きに関係しない。主人公妻にしつこく連絡をしてくるが、目的が明らかになる描写もない)、自衛隊員の叔父(薬物中毒の集りや)、盗撮の濡れ衣を着せられて異動に追い込まれる教師。
これらの人々は登場しなくてもよかったような気さえする。なぜなら、台風前後には全く登場しないからだ。
多摩ニュータウンにある多摩センター駅が老人の町として扱われていることもいささか合点がいかない。老人ばかりだから昼間も町に人の気配がないという描写が繰り返し出てくるが著者は多摩センターを訪れたことがあるのだろうか?
とはいえ、特に台風被害が酷い近年、災害に対する認識は改めなければいけない時期に来ていると考えられる。避難情報の扱い方、避難の在り方、土砂崩れに対する啓蒙という意味でその一端に触れたことは評価したいと思う。
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