SFというジャンルには興味があったもののほとんど触れてこなかったものです。
精々スターウォーズや攻殻機動隊やマトリックスを観たことある程度で、書籍のSFタイトルを読了した経験はありませんでした。
そんな私がこの作品を読了するのは、まーーー、至難でした。
ですが、読み終えたときには「SFってなんてすごいんだ…」と、今までに感じたことのない達成感と、さらなる知的好奇心に満たされていました。
作品としては星5個でも10個でもあげたいほどです。
ですが、初心者という立場の私として言いたいのは、この作品を入門に選んではいけない。ということです。
よほどSFに対して興味関心がある、あるいは書籍を読了するある種の意地的な何かがない限りほぼ確実に途中で読むのをやめます。
事実、私も半年ほどかけて読み終えました。
何故かと言うと、とにかく難しい。これに尽きます。
一般的な書籍ならば知っている知識の中で物語が進むものですから、当然「このセーターというのは、綿で作られた服で…」などという説明は不要です。ですが同時に知らない知識があれば「このセーターは青色で…」と説明が入ります。
そうして活字から脳内にその世界を作り出して、織りなす物語を楽しむわけですが、ことこの作品にはその常識が一切通用しません。
まず、知らない単語をいきなり出しても説明がないことが多い。冒頭も冒頭でまず「ラフマニノフの前奏曲嬰ハ短調を演奏して――」と出てきますが、ラフマニノフも知らなければ前奏曲嬰ハ短調なんて以ての外です。ですが、曲の雰囲気の説明もないままズンズン進んでいきます。
こうした実在するがおよそ普通は知らない。という事柄から「立体映像投影ピットで連邦の首都タウ・ケティ・センターにいるマイナ・グラッドストーンと会話――」というシーンが続いて出てくる。「え?どこ?の誰?と何で会話してるって??」そんな疑問符を他所にやはりズンズン進んでいく。この後マイナ・グラッドストーンもタウ・ケティ・センターも立体映像投影ピットもすぐには説明されない。
また、説明してくれる場合もあるが、またその説明が非常に難解で「北の方からは雷雨の前線が迫りつつある。巨大な裸子植物の森は蒼黒い雲の下に黒々と沈み、荒ぶる天に伸びる層積雲は高さ9キロメートルに達する――」という具合。
だが、こうした疑問符というのがSFのミソで、いわゆる「センス・オブ・ワンダー」と呼ばれるものを感じさせてくれる。
(SF作品などに触れることで起こる謎の感動や心理的感覚を表現する概念、および言葉)
知らない単語が出てくる、その中で自分なりの解釈で世界を形成していく。すると、ある瞬間「ああ!この世界ってこうなんだ!」という謎の納得と言うか、脳みそが広がったような感覚になる。今までの固定観念を破壊され、可能性に対して寛容になり、夢見ることを恐れなくなる瞬間が来る。その瞬間こそがSFにしか与えられないものだと思う。
この作品は、傑作だと呼ばれている。それが何故かと言うと、SFに慣れ親しんだ人間でもセンス・オブ・ワンダーを感じることができるからだ。
つまり、それはある意味ある程度のSF耐性があることを前提にしているとも言える。
センス・オブ・ワンダーを感じるには様々な独特の表現、独自の言葉を独りで黙々と読まなければいけない。
映画なら絵面でごまかしたり、隣りにいる誰かと会話して盛り上がることもできる。
だが書籍ではそれができない。だからこそ、初心者にはあまりおすすめできない。
長々と書きましたが、この作品は間違いなく稀代の傑作で(と言ってもこの作品くらいしか知らないが、そう感じさせる力がある)間違いなく最高に面白い一冊だということだ。
本当ならどんな人にでもおすすめしたい一冊だが、この本を読んで、結果として「SF?なんか難しかったからいいや」となってしまうのはもったいないと思い乱筆ながらも想いを載せました。
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ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2000/11/1
| ダン シモンズ (著) 著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます この著者の 検索結果 を表示 |
- 本の長さ442ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2000/11/1
- ISBN-104150113335
- ISBN-13978-4150113339
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
28世紀、宇宙に進出した人類を統べる連邦政府を震撼させる事態が発生した!時を超越する殺戮者シュライクを封じこめた謎の遺跡―古来より辺境の惑星ハイペリオンに存在し、人々の畏怖と信仰を集める“時間の墓標”が開きはじめたというのだ。時を同じくして、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへ大挙侵攻を開始。連邦は敵よりも早く“時間の墓標”の謎を解明すべく、七人の男女をハイペリオンへと送りだしたが…。ヒューゴー賞・ローカス賞・星雲賞受賞作。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2000/11/1)
- 発売日 : 2000/11/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 442ページ
- ISBN-10 : 4150113335
- ISBN-13 : 978-4150113339
- Amazon 売れ筋ランキング: - 117,174位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 166位ハヤカワ文庫 SF
- - 1,149位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- - 1,981位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
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2017年12月27日に日本でレビュー済み
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63人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年4月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
相当前から気になっていた本です。
凄いです。自分は読書時、極力情景をイメージしてその作品に入り込んで行くのですが、本作は正直苦労したというか、全く想像が追いつかなくて、ホトホト困りました・・・(泣) 兎に角、作者の世界観が凄すぎる・・・全く情景が想像できない、手も足も出ない「書物」と当たるのは初めての経験かもしれません・・・。
これは、現代を代表する、壮大な叙事詩と言ってもいいかと・・・・。
この作品には、ターミネーター、スターウォーズ、スタートレック等、ありとあらゆるSF物の断片が詰まっていると言っても過言ではないと思います。(後少しのお色気と・・・笑)
夢中になってページをめくり続けて残り3分の1程度になった時、一体どうやって、この壮大な展開を終わらせるのか?ということがやたらに気になり始めました。
で、残り50ページ、30ページ、10ページ・・・。
「???」
途中で終わってる!!!上下巻で終わりでない???!!!
「え、まじ?」と正直叫んでしまいました。なんと全8巻(4シリーズ)の2冊が終わっただけでした・・・(泣)だったら題名一緒にしとけよ!と思うも後の祭り。今後粛々と残りのシリーズを読み耽ることとしたいと思います。
凄いです。自分は読書時、極力情景をイメージしてその作品に入り込んで行くのですが、本作は正直苦労したというか、全く想像が追いつかなくて、ホトホト困りました・・・(泣) 兎に角、作者の世界観が凄すぎる・・・全く情景が想像できない、手も足も出ない「書物」と当たるのは初めての経験かもしれません・・・。
これは、現代を代表する、壮大な叙事詩と言ってもいいかと・・・・。
この作品には、ターミネーター、スターウォーズ、スタートレック等、ありとあらゆるSF物の断片が詰まっていると言っても過言ではないと思います。(後少しのお色気と・・・笑)
夢中になってページをめくり続けて残り3分の1程度になった時、一体どうやって、この壮大な展開を終わらせるのか?ということがやたらに気になり始めました。
で、残り50ページ、30ページ、10ページ・・・。
「???」
途中で終わってる!!!上下巻で終わりでない???!!!
「え、まじ?」と正直叫んでしまいました。なんと全8巻(4シリーズ)の2冊が終わっただけでした・・・(泣)だったら題名一緒にしとけよ!と思うも後の祭り。今後粛々と残りのシリーズを読み耽ることとしたいと思います。
2018年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この魅力を、どう表現すれば良いのか。。。
まず、小説として面白いです。
色々オマージュ。オタク的知識あれば語る事に事欠かない模様。
センス・オブ・ワンダーの宝庫にして、技法に富んだ多様な物語が楽しめる。
カンタベリー物語的に、枠物語の中に、6つの全く雰囲気の異なるお話が短編的に入っていて。この一つ一つがまたべらぼうに面白い。 で、それぞれの物語の主人公、6人が、それぞれの事情を抱えて、一緒に対決に向かう。。。
で次作ハイペリオンの没落へ。。。ここで止まらんですよ。即、ポチりました。
学者の物語:シーユーレイターアリゲーター、フォーアフォアイルクロコダイル。涙ちょちょぎれる事必至。
まず、小説として面白いです。
色々オマージュ。オタク的知識あれば語る事に事欠かない模様。
センス・オブ・ワンダーの宝庫にして、技法に富んだ多様な物語が楽しめる。
カンタベリー物語的に、枠物語の中に、6つの全く雰囲気の異なるお話が短編的に入っていて。この一つ一つがまたべらぼうに面白い。 で、それぞれの物語の主人公、6人が、それぞれの事情を抱えて、一緒に対決に向かう。。。
で次作ハイペリオンの没落へ。。。ここで止まらんですよ。即、ポチりました。
学者の物語:シーユーレイターアリゲーター、フォーアフォアイルクロコダイル。涙ちょちょぎれる事必至。
2018年11月30日に日本でレビュー済み
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とでも言えそうな……
司祭、兵士、詩人、学者、探偵、領事……
と、次々に話に引き込まれました。
ちなみに、ハイペリオンの陥落、以降は未読です。
あくまでも、ハイペリオン上下を読んだ感想として……
言葉の詳細説明なく、壮大なSF宇宙がドッと繰り広げられ……
それぞれの話がどうつながっていくのか、という興味も、もちろんありましたが、
それより、ひとつひとつのストーリーの内容がまったく異なり、それぞれが濃い。
醍醐味は、その独特な世界、繰り広げられるSF景観、登場人物たちの想い、
などでしょうか。
謎解き、という意味では答えはでていないようですが、気になりませんでした。
壮大なSF宇宙を舞台とする、重厚なものを楽しみたい方に、お勧めです。
司祭、兵士、詩人、学者、探偵、領事……
と、次々に話に引き込まれました。
ちなみに、ハイペリオンの陥落、以降は未読です。
あくまでも、ハイペリオン上下を読んだ感想として……
言葉の詳細説明なく、壮大なSF宇宙がドッと繰り広げられ……
それぞれの話がどうつながっていくのか、という興味も、もちろんありましたが、
それより、ひとつひとつのストーリーの内容がまったく異なり、それぞれが濃い。
醍醐味は、その独特な世界、繰り広げられるSF景観、登場人物たちの想い、
などでしょうか。
謎解き、という意味では答えはでていないようですが、気になりませんでした。
壮大なSF宇宙を舞台とする、重厚なものを楽しみたい方に、お勧めです。
2020年8月31日に日本でレビュー済み
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ハイペリオン~ハイペリオンの没落まで上下巻×2と続くシリーズの最初の本です。
既に語りつくされてはいますが、「ハイペリオン」上下は「ハイペリオンの没落」ですべての話が集結するためのイントロです。巡礼者のひとつひとつの話を読むのだ、ここだけでは話はおわらないのだ、という前情報と、重たく説明が不親切な重厚な文章を4冊読み切るという気合がないと先へは進めないかもしれません。
最後まで読み終わった時の満足感はそこらのSFの比ではないのですけどね。
既に語りつくされてはいますが、「ハイペリオン」上下は「ハイペリオンの没落」ですべての話が集結するためのイントロです。巡礼者のひとつひとつの話を読むのだ、ここだけでは話はおわらないのだ、という前情報と、重たく説明が不親切な重厚な文章を4冊読み切るという気合がないと先へは進めないかもしれません。
最後まで読み終わった時の満足感はそこらのSFの比ではないのですけどね。






