ハイエクの思想に基づいて企業の社会的責任について論じた本。
「競い合うことはそうでない場合よりも厳格な自己規律が求められる」(p.3)
人は競争の厳しさに耐えられなくなった時、競争から降りたい誘惑に駆られる。同じように、「企業の社会的責任はその利益を獲得し、増大させること」という厳しい原則に耐えられなくなった人々は、企業に公益への奉仕を求める。ハイエクは、企業に公益への奉仕を求める考え方を徹底的に排除する。私益の追求と切り離された公益を会社に要求することは、結果的に国家権力による公益の指図を招くことになり、自由市場を崩壊させるというのがその理由である。一つの電力会社の問題を解決するために、政府が同業の民間企業に出費を求める今の事態は、まさに国家権力による市場への介入である。「再生可能エネルギーの全量買取制度?そんな馬鹿な」とハイエクなら言うだろう。国が価格を決めるのは共産主義じゃなかったのか?
著者は「企業市民」など企業に人的属性を問うことの無意味さを指摘する。「企業は誰のものか」という問い方自体に誤解のもとがあるとの指摘は正しい。企業は従業員を雇うが、従業員は企業の所有物ではない。株主は経営者を選ぶが、経営者は株主の所有物ではない。同じように、企業は誰かの所有物ではないのである。
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