レビュー
昨今リバイバルがはげしいが、80年代初頭のニューウェイヴといえば、ずばり“ハッタリ”である。一見変なものほど逆に人気を得る。くわえて、当時は1930年代のヨーロピアン・モダンアートが流行していた。これらの要素を合わせると実に“クラウス・ノミ”が出来上がる。のちにマドンナも輩出する、NYアンダーグラウンドを背景としたこのカルト・スターは、メジャーになる前にあっけなく失敗し、エイズで死んだ最初の有名人、という不名誉な形で歴史にその名を刻んだ。そんな彼のドキュメンタリー映画がこれ。当然、生き残った友人たちの証言より、“動くクラウス・ノミ”の映像を観られるのが一番の醍醐味だ。チープな打ち込みロックに乗ってオペラ唱法をぶちかます、青臭く、手作り感あふれるいかがわしさを見よ。これは、虚構美が最高に格好良かった時代と寝て、そして殉じた男の、いわゆる“ニューウェイヴ版青春残酷物語”である。 (鷺沼晶良) --- 2006年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
監督: アンドリュー・ホーン 出演: クラウス・ノミ/デヴィッド・ボウイ/マーティン・シーン/ケニー・シャーフ/アン・マグナソン
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)