ナラティブ・アプローチとは、オーストラリアのマイケル・ホワイトによって提唱され、家族療法やカウンセリングなどに活用されている心理療法で、クライエントの物語る人生観をもとにして、その人らしい生き方を見出していくというアプローチである。本書では、家族療法に限らず、医療、看護、臨床心理、社会福祉、ビジネス等の現場でナラティブアプローチが活用されている状況をそれぞれの分野の専門家により概観されている。ナラティブアプローチが広範に活用されていることを知るための良書ではあるが、ある程度ナラティブアプローチについての知識をもった人ではないと、本書を読むだけではナラティブアプローチがどんなものかを理解することはできず、混乱する可能性がある。ナラティブアプローチを知るための基本文献としては野口 裕二(本書の編)著「物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ」、ナラティブアプローチについて詳しく知りたい人は、ホワイト自信の著作「ナラティヴ実践地図」を読むと良い。
本書を読むと、日本でナラティブアプローチが様々な分野で発展してきていることが理解できる。ホワイトも西洋型の構造主義的セラピーからの脱却の試みとしてナラティブセラピーを開発したという経緯もあり、日本人には向いている手法とも考えられる。
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