10年以上前に評判になった本。戦前戦後の沖縄の様子を知るのに役に立つ。戦後の沖縄での密貿易については、本書が端緒となって様々な本に書かれているが、代表的な作品である本書はやはり力作である。膨大なインタビューと公文書を基に、伝説的な女傑夏子の一生を描いている。
確かに夏子の一生は波乱万丈で興味深いのだが、それよりも興味深いのが、戦前戦後の沖縄と周辺地域の関係である。特に与那国は、沖縄本島よりも台湾の方が距離的に近く、台湾の学校に通ったりマニラに出稼ぎに行くことが一般的だったことは驚愕である。戦後も、台湾や香港の商人が与那国には出入りしていており、これが密貿易の触媒になったということである。日本と外国とのつながり、特に、中国、台湾、フィリピンとの関係を考える上で、沖縄が占める位置をしっかりと理解することが重要だと分かった。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
