日本も本土決戦は避けたのにドイツは最後まで戦い政府所在地が制圧されて降伏。これは現代史上初。第二次世界大戦のドイツの損失の1/4以上は最後の4ヶ月に発生したというのは、ヒトラーの死なば諸共作戦なんだな、と。
また、ナチスが恐れていたのは第一次世界大戦の敗北につながった18年11月のような兵士の逃亡、内部の革命だったけれども、それはおこらなかった、と(p.214-)。
しかし《略奪者は撃たれ、それがとくに外国人である場合、NSDAPの地方役人はしきりに大衆にそれを知らせたがった》(p.225)、と。
カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』で、ドレスデン爆撃後に米兵が焼け跡からティーポットを盗んだ罪で処刑されるエピソードはそういうことだったのか、と。
戦争最末期の《経験は、ドイツ国民にとってあまりに悲惨だったため、この「最後の奮闘」のショックは、ナチ・ドイツの戦争初期の記憶に取って変わった》(p.236)。
加藤陽子先生が太平洋戦争について指摘していた、沖縄戦、本土爆撃、原爆によって日本人の戦争の記憶が上書きされた、という主張に似ているな、と。
大戦最末期の経験は被害者意識とないまぜになって《戦後政治の基盤となり、第三帝国での出来事の多くについて沈黙させる基盤となったことは驚くにあたらない》(p.236)。ここらあたりも日本と似てる。しかも、日本ではまだ『この世の片隅で』みたいなのがが無批判に受け入れられてるし…。
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ナチスの戦争1918-1949 - 民族と人種の戦い (中公新書) 新書 – 2015/9/24
リチャード・ベッセル
(著),
大山 晶
(翻訳)
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ナチズムの核心を人種主義に探り、第一次大戦の敗北からヒトラーの台頭、第二次大戦後の東西ドイツ成立まで、戦争の全史を描き出す
- 本の長さ339ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2015/9/24
- ISBN-104121023293
- ISBN-13978-4121023292
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ナチスが主導した「民族と人種の戦い」とは何だったのか。第一次世界大戦の敗北からヒトラー独裁体制の確立、第二次世界大戦へ。ユダヤ人の絶滅を標榜しヨーロッパ全土を巻き込んだ戦争は、無差別爆撃と残虐行為を生み、最後には凄惨なホロコーストにまで行き着いた。本書はナチズムの核心を人種戦争と捉え、そのイデオロギーの本質を抉り出し、「狂信的な意志」による戦争の全過程、その余波までを描き出す。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ベッセル,リチャード
1948年アメリカ合衆国生まれ。80年、オックスフォード大学で博士号取得(歴史学)。98年よりヨーク大学教授(20世紀史)。『ヒストリー・トゥデイ』編集委員
大山/晶
1961年生まれ。大阪外国語大学外国語学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1948年アメリカ合衆国生まれ。80年、オックスフォード大学で博士号取得(歴史学)。98年よりヨーク大学教授(20世紀史)。『ヒストリー・トゥデイ』編集委員
大山/晶
1961年生まれ。大阪外国語大学外国語学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2015/9/24)
- 発売日 : 2015/9/24
- 言語 : 日本語
- 新書 : 339ページ
- ISBN-10 : 4121023293
- ISBN-13 : 978-4121023292
- Amazon 売れ筋ランキング: - 25,994位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 5位ドイツ・オーストリア史
- - 65位ヨーロッパ史一般の本
- - 116位中公新書
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.3
星5つ中の4.3
36 件のグローバル評価
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ベスト1000レビュアーVINEメンバー
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17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2015年12月24日に日本でレビュー済み
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本書は外国人研究者の手による執筆物である。
日本人研究者の書き物の場合、
報告体のように淡々と記述されることも多く、
論旨が明快である反面、
ときには啓蒙書としては不向きな
論文調の不自然な文体の日本語に遭遇することも多い。
一方、欧米の新聞・論文などは(分野にもよるが)
文学的な表現を含む傾向がある。
私が本書を読んでいる最中に
突然アルフォンス・ドデーの「最後の授業」が読みたくなったのは、
本書の文体によるところが大きい。
(扱っている時代は異なるのだが。)
翻訳は原文の筆致を感じさせる文体だが日本語としても自然で、
好ましいと思う。
私は『ヒトラーとナチ・ドイツ』(現代新書)を読んだ直後に読んだため、
情報の提示の仕方や量に最初は若干の違和感を覚えたが、
そのような感覚も本書を読み進めるうちにスッと消えていった。
ナチスの人種政策は「対ユダヤ人」という印象が非常に強いが、
その他の民族、そして同胞である一部のドイツ人に対しても向けられており、
実際に行われた様々な「政策」も凄惨を極めていた。
残酷極まる事実には絶句した。
ドイツの敗戦後、ドイツ軍が戦時中に犯した人道的犯罪の報復を
ドイツ人自身が受ける羽目になってしまったことも
悲惨としか言いようがない。
ドイツ人にとっての第二次世界大戦の痛ましい記憶は
ドイツが無条件降伏したあとにこそ生じたもので、
総統の自殺によって何もかも終わったわけではなく、
その後長い「戦後」を引きずらねばならなかった。
本書は戦後の負の遺産についても詳しく述べており、
戦前・戦中・戦後のドイツ国民の意識や生活についても
十分な情報を与えてくれる。
この手の文献を私は初めて読んだが、
最新の研究成果や見解も一部盛り込まれており、
関心のある方には是非お勧めしたい本である。
日本人研究者の書き物の場合、
報告体のように淡々と記述されることも多く、
論旨が明快である反面、
ときには啓蒙書としては不向きな
論文調の不自然な文体の日本語に遭遇することも多い。
一方、欧米の新聞・論文などは(分野にもよるが)
文学的な表現を含む傾向がある。
私が本書を読んでいる最中に
突然アルフォンス・ドデーの「最後の授業」が読みたくなったのは、
本書の文体によるところが大きい。
(扱っている時代は異なるのだが。)
翻訳は原文の筆致を感じさせる文体だが日本語としても自然で、
好ましいと思う。
私は『ヒトラーとナチ・ドイツ』(現代新書)を読んだ直後に読んだため、
情報の提示の仕方や量に最初は若干の違和感を覚えたが、
そのような感覚も本書を読み進めるうちにスッと消えていった。
ナチスの人種政策は「対ユダヤ人」という印象が非常に強いが、
その他の民族、そして同胞である一部のドイツ人に対しても向けられており、
実際に行われた様々な「政策」も凄惨を極めていた。
残酷極まる事実には絶句した。
ドイツの敗戦後、ドイツ軍が戦時中に犯した人道的犯罪の報復を
ドイツ人自身が受ける羽目になってしまったことも
悲惨としか言いようがない。
ドイツ人にとっての第二次世界大戦の痛ましい記憶は
ドイツが無条件降伏したあとにこそ生じたもので、
総統の自殺によって何もかも終わったわけではなく、
その後長い「戦後」を引きずらねばならなかった。
本書は戦後の負の遺産についても詳しく述べており、
戦前・戦中・戦後のドイツ国民の意識や生活についても
十分な情報を与えてくれる。
この手の文献を私は初めて読んだが、
最新の研究成果や見解も一部盛り込まれており、
関心のある方には是非お勧めしたい本である。
2021年6月21日に日本でレビュー済み
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第4章「第二次世界大戦の余波」で筆者は、敗戦直前の空襲と地上戦が市民生活を崩壊させたこと、ドイツ一般市民(とりわけズデーテンランド、ポーランドなど中東欧の初期獲得地域からの避難民)にとって敗戦後の数年間が悲惨だったこと、特に西独では「非ナチ化」の取り組みが不十分だったこと、などから、ドイツ人は自らを過度に被害者側に位置づける傾向をもち、1933年以降の一般的市民が第三帝国の体制固めに積極的に協力していたことへの総括・内省がなされていない、と論ずる。とりわけアデナウアーの言説に対してはかなり辛辣な筆致だ。
1945年以降冷戦激化以前の数年をコンパクトにまとめた和書(特に新書)はあまりないと思うので、この第4章は貴重だと思う。ドイツの、そして日本の一般国民の戦争責任を考える上で参考になる。
1945年以降冷戦激化以前の数年をコンパクトにまとめた和書(特に新書)はあまりないと思うので、この第4章は貴重だと思う。ドイツの、そして日本の一般国民の戦争責任を考える上で参考になる。
ベスト500レビュアーVINEメンバー
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他のレビューアーの方が☆1つをつけていたが、決して読みやすい本とは言えない。
序論から第一章、第二章と読み進むうちに翻訳臭が強く読みにくい文章に辟易して一旦は挫折した。
しかし、気を取り直してもう一度読みおしてみると、内容的には優れたナチスの人種戦争論であることがわかった。
1914~1918年の第一次世界大戦で伍長として従軍したヒトラーは戦後NSDAP(ナチ党)の中で徐々に地歩を固めていき
ついに総統の地位まで上り詰める。本書を読んで知ったことは、ニュース映画などで見る一糸乱れぬ統率力を誇るナチスの軍隊組織は
最初は国軍ではなかったことである。
第一次世界大戦の結果ベルサイユ条約によって過酷な賠償金を課せられ多くの重要な領土を失ったドイツには
祖国再建と失われたものをいつか取り戻してやろうという決心からナチスのような私兵集団が勃興した。
その中でもナチスは国民的に人気が高く、次第に党員数を増やし1933年の国政選挙で第一党の地位を占め人ヒトラーは首相の地位についた。
この時点でヒトラーはまだ首相に過ぎず、国家元首にはヒンデンブルグ大統領がいた。
やがてナチス党の軍隊組織は国軍にとって代わりヒトラーの指揮下着々と人種戦争の準備をはじめた。
本書によれば、ナチスの戦争目的は失地回復とか国威発揚とかいったものとは全然別の点にあったことがわかる。
即ちドイツ民族が属するアーリア人はもっともすぐれた人種であり、アーリア人こそが世界征服をすべきである。
アーリア人の発展のためには、周辺諸国を侵略し、土地をドイツのものにし、そこに以前から住んでいた他の人種、ユダヤ人やスラブ人を殺戮し
土地を取り上げる。そこにアーリア人が移住し、必要な食料はそこで生産する。
この意味で、ナチスの民族浄化計画の対象はユダヤ人のみならず、ロシアのスラブ人、西方の他民族に及んでいた。
本書の圧巻は第三章「ナチズムと第二次世界大戦」である。
当初アメリカ、イギリスと戦端を開いたドイツは、ひるがえって東方のポーランド、ロシアに侵入する。
そこでの恐るべき殺戮の実態はいったいこれが本当だったのだろうかと疑問を抱くくらいのものである。
ポーランドでのユダヤ人の大量殺戮と生き残ったものの奴隷化、バルバロッサ作戦でロシアに侵入した際は数百万単一の人間が殺されている。
男も女も老人も子供も見境なく殺された。
やがて当初成功した電撃作戦もロシアの反撃に合いナチスの軍隊は防戦に回る。
西方では米軍を中心にノルマンデー上陸作戦により、ドイツ軍は東西両面から攻められ、やがて占領した地域を失うのみならず
ドイツ国内に深く侵入される。
驚くべきことにドイツは、この戦争をどこで終わらせるという終戦のロードマップを全く持っていなかったことだ。
したがって、ドイツは首相官邸の目前まで敵が押し寄せ、ヒトラーがついに服毒自殺する1945年5月に至っても降伏はしなかった。
悪いことに、ヒトラーの劣等人種皆殺し作戦は、ヒトラーが統率能力を失っても部下によって自己増殖し
アウシュビッツそのたの強制収容所で着々と実行された。
アウシュビッツなどではドイツの敗戦がほぼ確実で無条件降伏する数日前までガス室による大量虐殺が実行されつつあったことである。
大四章第二次世界の余波、では敗戦後の一般ドイツ人の心理状態まで詳細に描いている。
本書でも触れらているが、日本は広島長崎の原爆投下によって、もはや戦争継続は無理と見切りをつけて無条件降伏した。
しかし、ドイツの場合には国内深く攻め込まれ、それこそドイツ国民は命からがら逃げだすのが精いっぱいで
戦後もナチスの戦争責任を追及する声もあがらなかった。
連合軍によるニュールンベルグほかの戦争裁判は一般のドイツ人には関係ないことであった。
実のところ、ドイツはその占領地で被占領地区の人民の拷問殺戮、財産の収奪などやりたい放題やったが
ドイツが防戦一方に回るころには、逆にポーランド人やロシア人によって報復され暴虐の限りを尽くされた。
したがって、一般ドイツ人は戦争の被害者でこそあれ、加害者意識など毛頭ないのが実態である。
この辺、戦争のアフターマスにまで深い考察をした本書の特徴である。
いずれにしろ、戦争は多くの罪なき人々を殺し報復の連鎖を生むものであることをつくづくと感じさせる。
最初は読みにくいと感じた本書だが、私は事実の持つ凄まじい迫力に圧倒されるばかりであった。
以上、本書の読後感を私なりの言葉で書いてみました。
序論から第一章、第二章と読み進むうちに翻訳臭が強く読みにくい文章に辟易して一旦は挫折した。
しかし、気を取り直してもう一度読みおしてみると、内容的には優れたナチスの人種戦争論であることがわかった。
1914~1918年の第一次世界大戦で伍長として従軍したヒトラーは戦後NSDAP(ナチ党)の中で徐々に地歩を固めていき
ついに総統の地位まで上り詰める。本書を読んで知ったことは、ニュース映画などで見る一糸乱れぬ統率力を誇るナチスの軍隊組織は
最初は国軍ではなかったことである。
第一次世界大戦の結果ベルサイユ条約によって過酷な賠償金を課せられ多くの重要な領土を失ったドイツには
祖国再建と失われたものをいつか取り戻してやろうという決心からナチスのような私兵集団が勃興した。
その中でもナチスは国民的に人気が高く、次第に党員数を増やし1933年の国政選挙で第一党の地位を占め人ヒトラーは首相の地位についた。
この時点でヒトラーはまだ首相に過ぎず、国家元首にはヒンデンブルグ大統領がいた。
やがてナチス党の軍隊組織は国軍にとって代わりヒトラーの指揮下着々と人種戦争の準備をはじめた。
本書によれば、ナチスの戦争目的は失地回復とか国威発揚とかいったものとは全然別の点にあったことがわかる。
即ちドイツ民族が属するアーリア人はもっともすぐれた人種であり、アーリア人こそが世界征服をすべきである。
アーリア人の発展のためには、周辺諸国を侵略し、土地をドイツのものにし、そこに以前から住んでいた他の人種、ユダヤ人やスラブ人を殺戮し
土地を取り上げる。そこにアーリア人が移住し、必要な食料はそこで生産する。
この意味で、ナチスの民族浄化計画の対象はユダヤ人のみならず、ロシアのスラブ人、西方の他民族に及んでいた。
本書の圧巻は第三章「ナチズムと第二次世界大戦」である。
当初アメリカ、イギリスと戦端を開いたドイツは、ひるがえって東方のポーランド、ロシアに侵入する。
そこでの恐るべき殺戮の実態はいったいこれが本当だったのだろうかと疑問を抱くくらいのものである。
ポーランドでのユダヤ人の大量殺戮と生き残ったものの奴隷化、バルバロッサ作戦でロシアに侵入した際は数百万単一の人間が殺されている。
男も女も老人も子供も見境なく殺された。
やがて当初成功した電撃作戦もロシアの反撃に合いナチスの軍隊は防戦に回る。
西方では米軍を中心にノルマンデー上陸作戦により、ドイツ軍は東西両面から攻められ、やがて占領した地域を失うのみならず
ドイツ国内に深く侵入される。
驚くべきことにドイツは、この戦争をどこで終わらせるという終戦のロードマップを全く持っていなかったことだ。
したがって、ドイツは首相官邸の目前まで敵が押し寄せ、ヒトラーがついに服毒自殺する1945年5月に至っても降伏はしなかった。
悪いことに、ヒトラーの劣等人種皆殺し作戦は、ヒトラーが統率能力を失っても部下によって自己増殖し
アウシュビッツそのたの強制収容所で着々と実行された。
アウシュビッツなどではドイツの敗戦がほぼ確実で無条件降伏する数日前までガス室による大量虐殺が実行されつつあったことである。
大四章第二次世界の余波、では敗戦後の一般ドイツ人の心理状態まで詳細に描いている。
本書でも触れらているが、日本は広島長崎の原爆投下によって、もはや戦争継続は無理と見切りをつけて無条件降伏した。
しかし、ドイツの場合には国内深く攻め込まれ、それこそドイツ国民は命からがら逃げだすのが精いっぱいで
戦後もナチスの戦争責任を追及する声もあがらなかった。
連合軍によるニュールンベルグほかの戦争裁判は一般のドイツ人には関係ないことであった。
実のところ、ドイツはその占領地で被占領地区の人民の拷問殺戮、財産の収奪などやりたい放題やったが
ドイツが防戦一方に回るころには、逆にポーランド人やロシア人によって報復され暴虐の限りを尽くされた。
したがって、一般ドイツ人は戦争の被害者でこそあれ、加害者意識など毛頭ないのが実態である。
この辺、戦争のアフターマスにまで深い考察をした本書の特徴である。
いずれにしろ、戦争は多くの罪なき人々を殺し報復の連鎖を生むものであることをつくづくと感じさせる。
最初は読みにくいと感じた本書だが、私は事実の持つ凄まじい迫力に圧倒されるばかりであった。
以上、本書の読後感を私なりの言葉で書いてみました。
2016年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人種政策にスポットを当てたナチスの本です。少なくとも日本人には理解が難しいのがナチズムなのかなと思う。ヨーロッパ的な独裁、絶対君主による統治。恐らく歴史上日本人は経験したことがないのだろうと思わせる本だ。
近代史上初めて先進国の首都が軍事的に陥落するまで戦ったのがナチスドイツ。人種に関するものも個人の心情や差別感情を黙認すのではなく、完全に政策として施行され機能させた。なにが彼らをそこまで駆り立てたのか。
著者がアメリカ人なのですが、それを感じさせない著書です。
近代史上初めて先進国の首都が軍事的に陥落するまで戦ったのがナチスドイツ。人種に関するものも個人の心情や差別感情を黙認すのではなく、完全に政策として施行され機能させた。なにが彼らをそこまで駆り立てたのか。
著者がアメリカ人なのですが、それを感じさせない著書です。