小学生低学年のとき、犬の散歩に行って帰り道が分からなくなったことがあった。
自分でも歩きながら「こんな景色は見たことがない。迷ったんじゃないか」と
思っていたのに、なぜか「次の角を曲がったら知っているところに出るかも」と
どんどん歩いてしまった。
「あれ? まずいかな?」と思ったときにしなければいけなかったのは
「来た道を戻ること」だったのに、なぜか先に進んでますます迷ってしまったのだ。
結局、半べそになっているところに近所のおばさんが通りかかり一緒に帰ってくれて
事なきを得たのだけれど、あのときに感じた不安感はいまもはっきりと覚えている。
本書はその「山の中」バージョンだ。
場所が人里離れた山の中なので、当然、さまよい歩いても誰にも会えないし、
帰り道を知る術もない。
そして気がついたときには迷うどころか、「遭難」しているのである。
「まずいな」と思ったときに引き返せない心理的ハードル、なんとかなるだろうという
根拠のない楽観は、まさに迷子になった私の心そのものだった。
私は山歩きはしないので、この本と同じような状況にぶつかることは生涯ないと思う。
だが「なんかやばい」と思うことは山を歩いていなくても、日常の中に多々ある。
そんな時自分はどう行動すべきなのか。
この本は、その心の持ちようを教えてくれる良書である。
ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫) (日本語) 文庫 – 2015/9/18
羽根田 治
(著)
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本の長さ272ページ
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言語日本語
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出版社山と渓谷社
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発売日2015/9/18
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ISBN-104635047881
-
ISBN-13978-4635047883
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖は、計り知れないものがある。おかしいと思いながらずるずると先へ進み、引き返すことができず、そのまま沢を下降し続けて遭難してしまう。そうした誰もが陥りがちな道迷い遭難から、7件の事例を取り上げ、原因を探り、未然に防ぐ方策を検証する。実例から学ぶことで、遭難防止、安全登山を呼びかけ、大きな反響を呼んだシリーズの文庫版。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
羽根田/治
1961年、埼玉県出身。フリーライター。山岳遭難や登山技術に関する記事を、山岳雑誌や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている。2013年より長野県の山岳遭難防止アドバイザーを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1961年、埼玉県出身。フリーライター。山岳遭難や登山技術に関する記事を、山岳雑誌や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている。2013年より長野県の山岳遭難防止アドバイザーを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社より
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ドキュメント 道迷い遭難 | ドキュメント 単独行遭難 | ドキュメント 滑落遭難 | ドキュメント 気象遭難 | ドキュメント雪崩遭難 | ドキュメント生還-山岳遭難からの救出 | |
ドキュメント遭難シリーズ 内容紹介 | 道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖は、計り知れないものがある。おかしいと思いながらずるずると先へ進み、引き返すことができず、そのまま沢を下降し続けて遭難してしまう。そうした誰もが陥りがちな道迷い遭難から、7件の事例を取り上げ、原因を探り、未然に防ぐ方策を検証する。 | 人はさまざまな理由からひとりで山に向かう。しかし、単独行遭難における死亡・行方不明率は二人以上のパーティの事故の二倍以上という高い割合である。最悪の結果を招く遭難事故の多くは単独行者によるものだということは間違いない。本書は七件の遭難事例から、単独行のリスクを探り、防止策とセルフレスキューの可能性を検証する。 | 山ではちょっとした不注意から、つまづいたり転んだりして大ケガや死に直結する大事故に結びつくことが多い。その危険因子はどこにあるのか。七件の遭難事例を取り上げ、原因を探り、防ぐ方策を検証する。 | 山で起きる大きな事故のほとんどは、気象の急激な変化による事故、いわゆる「気象遭難」であろう。その原因はどこにあるのか、防ぐ方策はあるのか。新旧の気象遭難事故から七件のケースを取り上げ検証する。 | 雪山登山者、スキーヤー、スノーボーダーを一瞬にして悲劇のどん底に突き落とす雪崩事故。これまでに起きた雪崩事故のなかから、北海道・尻別岳、青森・岩木山、八幡平・源田ヶ岳、北アルプス・唐松岳八方尾根、北アルプス・剱岳早月尾根、北アルプス・蒲田川左俣谷、石鎚山系・笹ヶ峰、石鎚山系・石鎚山の8件のケースを取り上げ、その事故の原因を究明し、検証する。 | 山で遭難し、生死の境をさまよった後に生還した登山者に密着取材。厳冬の北アルプスから近郊の低山まで、ある者は重傷を負い、ある者は十七日間の長期に及んで、山に閉じこめられながら、彼らはいかにして生き延びたのか。悪天候や寒さの中、食糧も絶えた極限状態からの生還の理由を、遭難者の肉声から探る。 |
登録情報
- 出版社 : 山と渓谷社 (2015/9/18)
- 発売日 : 2015/9/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 272ページ
- ISBN-10 : 4635047881
- ISBN-13 : 978-4635047883
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2018年8月1日に日本でレビュー済み
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90人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年9月2日に日本でレビュー済み
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『ドキュメント生還-山岳遭難からの救出』 がおもしろかったのでこちらも続いて読んでみた。
このシリーズは山登りの教訓としてためになったというレビューが多いけど、そういう見方をしていない人も読めばきっとおもしろいよ。縮尺地図を見ると分かるんだけど、水平距離でせいぜい3kmくらいのすぐ近くに一般の登山道もあるようなところで右往左往しているケースもある。そういう、身のすぐ近くにあるじわじわ迫る恐怖が書かれている。
本書だと吉田香さんのエピソードがもう最高で最高で。
遭難3日目にして、ご両親に遺書をしたためる。
「大好きな山で、いちばん楽しい悩みのないときに死ねるのも悪くないかな」
美しい川に見とれて吸い込まれるように、誤った方向に進んでいくところがまるでおとぎ話のよう。
この吉田さんは、山の中で何も食べずに笹ヤブを刈り分けて彷徨うこと4日、たまたま山菜採りに来ていた方に救助される。
そして、助けた方の暖かさ、友達との再会の場面に涙腺が緩む。
* * *
このエッセイ集(?)は「山と渓谷社」の刊行なので、登山が趣味の人へ向けた文章で、少し門外漢には厳しいとこがあるかもしれない。専門用語が多いがもちろんなんの注釈も付いていない。距離感とか山の高さとかがいまいち把握しにくいとこはあった。等高線と縮尺率が付いた地図を読むのは登山が趣味の人にとってはなんてことないことなのかもしれないが、自分はさっぱり分からない。例えば水平距離4kmで高低差がンmだとそれがきついコースなのかハイキングのようなもんなのか、そういうところが。「所要時間は標準でン時間ほど」とあれば、それならそんなにきついコースではないんだろうな・・・とか推測して読み進めたけど。とにかくこの本、地図が見にくいのが残念。どこが一番高い地点なのかよく分からないのだ。横からの絵でもあればいいのになとは思った。ほかの方のレビューであった「google mapで3Dの衛星写真を見ながら読むといい」、というのは名案だと思う。
でも、登山にまったく関わっていなくても楽しめる。
人間てたくましいなー、人間てふしぎだなー、人間て素敵だなー。
再確認させられた。超お奨め。
このシリーズは山登りの教訓としてためになったというレビューが多いけど、そういう見方をしていない人も読めばきっとおもしろいよ。縮尺地図を見ると分かるんだけど、水平距離でせいぜい3kmくらいのすぐ近くに一般の登山道もあるようなところで右往左往しているケースもある。そういう、身のすぐ近くにあるじわじわ迫る恐怖が書かれている。
本書だと吉田香さんのエピソードがもう最高で最高で。
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美しい川に見とれて吸い込まれるように、誤った方向に進んでいくところがまるでおとぎ話のよう。
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そして、助けた方の暖かさ、友達との再会の場面に涙腺が緩む。
* * *
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でも、登山にまったく関わっていなくても楽しめる。
人間てたくましいなー、人間てふしぎだなー、人間て素敵だなー。
再確認させられた。超お奨め。
2017年7月1日に日本でレビュー済み
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もし、自分がこうの場面に直面したらどうするだろう。
そう問いながら読み進めました。
頭で分かっているのに心理状態がそれを行動へ移させない怖さ。"危険は山にあるのではなく、登山者の中にある"と言う言葉の意味を理解出来た気がしました。
始めは小さな綻びだったはずが「焦り」「不安」「慢心」などの心理作用が、大きな判断ミスをさせ命を奪いにくる。その様子はまるで、本人以外の大きな意思があるようにさえ感じさせられます。
登山計画を立てる時から、登山はすでに始まっている事を再認識し、自分の中に潜む油断や慢心に打ち勝てるよう
本書で得た考え方を活かしていきたいと思います。
そう問いながら読み進めました。
頭で分かっているのに心理状態がそれを行動へ移させない怖さ。"危険は山にあるのではなく、登山者の中にある"と言う言葉の意味を理解出来た気がしました。
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登山計画を立てる時から、登山はすでに始まっている事を再認識し、自分の中に潜む油断や慢心に打ち勝てるよう
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ベスト500レビュアー
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2014年時点で、遭難事故の4割が道迷い。75%が、40代以上の中高年に集中しています。
山で道に迷ったとき、もときた道に登り返すのは鉄則とされています。しかし、自身が負傷していたり、体力に余裕がないなど複数の要素がからむと、驚くほど安易に下流の沢へ吸い寄せられてしまう、そのような事例が集められています。道迷い遭難が減らないのは、 道迷いが人の心のいちばん弱いところに原因をなすからではないかと著者は指摘します。
判断や行動の基礎となる体力は年を重ねると衰えるもの。「過去の体力、過去のもの」。救助関係者の言葉が刺さります。
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「道に迷ったら沢を下るな。尾根に上がれ」とは登山の鉄則だといいます。
私自身、そのあたりあまり詳しくはなかったのですが、本書で取り上げられた事例の多くが、この鉄則が守られず遭難しており、大変勉強になりました。
沢を下ったものは、必ずといっていいほど崖や滝と遭遇しています。
そして遭難し追い詰められた人たちは、滝つぼに飛び込むという、後から振り返ると信じられないような行動をとってしまい、大怪我を追ってしまうリスクが高いのです。
また、沢は尾根と比べると、見通しが悪くて憶測で進路を決めるしかなくなり、余計に迷い込んでしまいます。
捜索する側からも、尾根と比べて明らかに発見されにくくなってしまいます。
更に雪山だと雪崩の危険もあります。
一方、尾根であれば、見晴らしがよいだけでなく、携帯電話の電波が入る可能性も高くなります。
このような鉄則がありながら、なぜ多くの人は沢に下りてしまうのでしょう。
本書を読むと、人は追い込まれれば追い込まれるほど正常性バイアスが働き、危険な方向へ向かってしまうということがよくわかります。
道に迷ったとき人は、下へ行けばいつか人里にたどり着くだろう、なんとか下山したいとの思いで行動し、どんどん体力的に弱っていきます。
そんな状況では、再びもときた道に戻って上に上がっていくという気力よりも、下に下りたいとの気持ちが勝ってしまうのは、人間の心理として理解できます。
本書を読んでいなければ、自分が遭難したときには、きっと下へ下へと向かったことでしょう。
しかし、本当に大切なのは「迷ったら引き返す」勇気なのだということを、本書は繰り返し訴えかけます。
おかしいな、と思ったらすぐ引き返す。
これができそうでなかなかできません。
そのため問題を先送りにし、リスクが積み重なっていく。
いつしか冷静な判断ができなくなることが、道迷い遭難の一番怖いところです。
本書はで取り上げられたいくつかの事例読んでいると、あたかも自身が山の中で遭難しているような感覚を味わうことができます。
それはやはり著者羽根田治氏の文章や構成の巧さなどもあるかもしれません。
特に、二つ目の事例(北アルプスの冬山)での凍傷の描写はリアルに状況が目に浮かび、顔が引きつりました。
冬山での道迷いほど怖いものはありませんね。
私自身、そのあたりあまり詳しくはなかったのですが、本書で取り上げられた事例の多くが、この鉄則が守られず遭難しており、大変勉強になりました。
沢を下ったものは、必ずといっていいほど崖や滝と遭遇しています。
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捜索する側からも、尾根と比べて明らかに発見されにくくなってしまいます。
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一方、尾根であれば、見晴らしがよいだけでなく、携帯電話の電波が入る可能性も高くなります。
このような鉄則がありながら、なぜ多くの人は沢に下りてしまうのでしょう。
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しかし、本当に大切なのは「迷ったら引き返す」勇気なのだということを、本書は繰り返し訴えかけます。
おかしいな、と思ったらすぐ引き返す。
これができそうでなかなかできません。
そのため問題を先送りにし、リスクが積み重なっていく。
いつしか冷静な判断ができなくなることが、道迷い遭難の一番怖いところです。
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それはやはり著者羽根田治氏の文章や構成の巧さなどもあるかもしれません。
特に、二つ目の事例(北アルプスの冬山)での凍傷の描写はリアルに状況が目に浮かび、顔が引きつりました。
冬山での道迷いほど怖いものはありませんね。
2017年1月2日に日本でレビュー済み
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登山を少しでもかじった人なら「道に迷ったら沢を下るな、尾根を伝って上に登れ」は常識なんでしょうが、ここに収録されたケースに登場する人は、ほぼ全てが「この沢を下っていけばたどり着けるだろう」「もうすぐ登山道に出るはずだ」「滝壺は深いから飛び込んじゃえ」みたいな、改めて読むと考えられないミスをしている。登山歴の長い人からほぼ初心者?的な人まで登場人物は様々だが、本人たちも「沢を下るな」はわかっていても実際に単独で迷うと冷静な判断ができないらしい。
本書は7事例が収録されてますが「沢を下るな」「迷ったら戻れ」というアタリマエのことができずにドツボにズルズルとはまっていくという、遭難した山も経験も時期も違えど遭難に至るまでの奇妙に似通ったパターンがずらっと並んでます。著者の言うとおりこの人達は偶然生還できただけであり、しかしそれによって本書が生まれ、そして教訓として私達の目に触れることに感謝しないといけません。ほとんどの遭難死は短いニュースで伝えられるのみなので。
本書は7事例が収録されてますが「沢を下るな」「迷ったら戻れ」というアタリマエのことができずにドツボにズルズルとはまっていくという、遭難した山も経験も時期も違えど遭難に至るまでの奇妙に似通ったパターンがずらっと並んでます。著者の言うとおりこの人達は偶然生還できただけであり、しかしそれによって本書が生まれ、そして教訓として私達の目に触れることに感謝しないといけません。ほとんどの遭難死は短いニュースで伝えられるのみなので。