キャリアも登山スタイルも様々な事例が紹介されており、単独行をするものとしては大いに勉強となった。
たしかに、本文中で救助関係者も言うように「寄せ集めのツアー登山だろうが、パーティーとは名ばかりのばらばらな集団であろうが、ひとりで登るってもらうよりはよっぽどマシ」なのだろう。
ただ、どの遭難者も主体的に考え行動されている点は、(考え方の質やベクトルは別として)共感できる点であった。
これも、生きて帰られたから、言えることだが。。
ただ、事例の中で一つ気になったのが、白山でのケースだ。
遭難者自身も、さらに筆者も、その点を自省・指摘していないのが気になる点だが、「登山中の飲酒」についてだ。
遭難者は、行程の途中でウィスキーを飲んでいる。
飲んだ後2時間昼寝をして、酔い醒ましのつもりだろうが、普通2時間程度で酔いが醒めるものではないだろう。
スポーツの世界では、運動時におけるアルコールの弊害として、以下のようなポイントが指摘されている。
・利尿作用による水分の過剰排出
・心拍上昇
・特にウィスキーをはじめとした蒸留酒は、筋繊維に損傷を与える(もしくは筋繊維の回復を遅らせる)
いずれも本ケースの「熱中症」や「痙攣」に、直接・間接問わず、影響のあると言えるだろう。
現に山小屋でも日中にアルコールを提供するところもあるし、登山ブログでもよく山頂でビールなど飲んでいる様子をアップしているものも見受けられるが、そもそも車の運転以上に体力・注意力が求められる登山で、アルコールの弊害というのも大きいのではないだろうか。
登山は、ややもすると「スポーツ」というより「レクリエーション」という位置付けが多分にあり(それ自体、否定するものではないが)、飲酒に対し甘い風潮があるように感じられる。
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