ドイツの軍事史、戦争史研究の成果をまとめた本になっており、最新の研究成果が数多く組み込まれたかなり魅力的なものになっています。
最初の第一部は、ドイツ統一戦争から現代にいたるまでのドイツの歴史と戦争についてまてとめた概説になっていて、
軍事史で何が重要な問題として議論されているかがよくわかるようになっています。
第二部、第三部は個別の論文で、今まで日本ではほとんど紹介されてこなかった新しい知見が縦横に論じられていておすすめです。
最後の第四部はドイツの軍事顧問の活動について検討した論文、エッセイなど。
全体的に「ドイツ軍」という組織を体系的に論じた論文集はほとんどなかってことから考えみても、
非常に興味深い論文集であると言えます。
第一部 ドイツと戦争
第一章 ドイツ統一戦争から第一次世界大戦(中島 浩貴)
第二章 第一次世界大戦から第二次世界大戦――二つの総力戦とドイツ(望田 幸男)
第三章 冷戦――政治と戦争の転換(新谷 卓)
第二部 政治と戦争
第四章 リュヒェルとシャルンホルスト――転換期における啓蒙の軍人たち(鈴木 直志)
第五章 モルトケとシュリーフェン(小堤 盾)
第六章 ルーデンドルフの戦争観――「総力戦」と「戦争指導」という概念を中心に(石津 朋之)
第三部 軍事組織としてのドイツ軍
第七章 ドイツ陸軍――ドイツにおける「武装せる国民」の形成(丸畠 宏太)
第八章 ドイツ海軍――海軍の創建と世界展開(大井 知範)
第九章 ドイツの脅威――イギリス海軍から見た英独建艦競争一八九八〜一九一八年(矢吹 啓)
第十章 ドイツ空軍の成立――ヴァルター・ヴェーファーと『航空戦要綱』の制定(小堤 盾)
第四部 世界のなかのドイツ軍
第十一章 ヤーコプ・メッケルと日本帝国陸軍(大久保 文彦)
第十二章 コルマール・フォン・デア・ゴルツとオスマン帝国陸軍(藤由 順子)
第十三章 アレクサンダー・フォン・ファルケンハウゼンと中華民国陸軍(長谷川 煕)
なお、出版元の彩流社のHPで「戦争史研究の新たなフロンティア――「はじめに」に代えて」がほぼ全文読めます。
興味のある方はそちらもどうぞ。
ドイツ史と戦争: 「軍事史」と「戦争史」 (日本語) 単行本 – 2011/11/14
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ISBN-104779116570
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ISBN-13978-4779116575
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出版社彩流社
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発売日2011/11/14
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言語日本語
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本の長さ400ページ
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ドイツ史を通して“社会の変化と戦争の様相”の関係性を探る。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
三宅/正樹
明治大学名誉教授。京都大学文学部卒業、京都大学大学院博士課程修了、文学博士、国立国会図書館調査局、神奈川大学を経て、明治大学教授、ウィーン、ハイデルベルク、ロンドンに留学、ベルリン自由大学客員教授、国際歴史学会本部事務局(ローザンヌ・パリ)理事を歴任
石津/朋之
防衛省防衛研究所戦史研究センター国際紛争史研究室長、拓殖大学、放送大学非常勤講師、「歴史と戦争研究会」代表。獨協大学卒、ロンドン大学SOAS及び同大学キングスカレッジ大学院修士課程修了、オックスフォード大学大学院研究科修了。ロンドン大学キングスカレッジ名誉客員研究員、英国王立統合軍防衛安保問題研究所(RUSI)研究員を歴任
新谷/卓
明治大学元非常勤講師。明治大学大学院博士後期課程修了、博士(政治学)
中島/浩貴
東京電機大学助教。立正大学卒業、立正大学大学院修士課程修了、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
明治大学名誉教授。京都大学文学部卒業、京都大学大学院博士課程修了、文学博士、国立国会図書館調査局、神奈川大学を経て、明治大学教授、ウィーン、ハイデルベルク、ロンドンに留学、ベルリン自由大学客員教授、国際歴史学会本部事務局(ローザンヌ・パリ)理事を歴任
石津/朋之
防衛省防衛研究所戦史研究センター国際紛争史研究室長、拓殖大学、放送大学非常勤講師、「歴史と戦争研究会」代表。獨協大学卒、ロンドン大学SOAS及び同大学キングスカレッジ大学院修士課程修了、オックスフォード大学大学院研究科修了。ロンドン大学キングスカレッジ名誉客員研究員、英国王立統合軍防衛安保問題研究所(RUSI)研究員を歴任
新谷/卓
明治大学元非常勤講師。明治大学大学院博士後期課程修了、博士(政治学)
中島/浩貴
東京電機大学助教。立正大学卒業、立正大学大学院修士課程修了、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 彩流社 (2011/11/14)
- 発売日 : 2011/11/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 400ページ
- ISBN-10 : 4779116570
- ISBN-13 : 978-4779116575
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 419,300位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 254位ドイツ・オーストリア史
- - 1,638位ヨーロッパ史一般の本
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2011年11月27日に日本でレビュー済み
近代史を中心に、プロイセン〜ドイツとその軍隊の関係をいろいろな視点からとらえた論文集。
読むにはある程度の西洋史の基本知識を必要とするが、最初の3論文は「概説」となっており、通史的な手引きとなっている。
個人的に特に興味深かったのは第三部の各論であった。
丸畠論文は、徴兵による国民軍の成立と、それを受け入れた国民・市民との関係について、日本ではあまり見られることのなかった面からの考察。
大井論文は、弱小ドイツ海軍の創成期の略史。決戦海軍的な日本海軍と違った、沿岸防衛と外交海軍としてのドイツ海軍の建設史は非常に興味深い。
矢吹論文は、イギリス海軍から見た「ドイツ海軍の脅威」についての考察。現代の我々も幻惑されがちな「宣伝」とその裏の実体を突いている。
第二部はクラウゼヴィッツと「戦争論」に興味のある諸氏には興味深いものであろう。
第四部は東洋とドイツの「お雇い外国人」についてのスケッチ3本。大久保論文は、明治日本陸軍の一側面を映していて、日本軍に興味のある方へおすすめ。
全体として、概論はまとまりよく、各論は味のあるものをそろえており、価格も手ごろなので、軍事史に興味のある広い層に一読をおすすめしたい良書である。
読むにはある程度の西洋史の基本知識を必要とするが、最初の3論文は「概説」となっており、通史的な手引きとなっている。
個人的に特に興味深かったのは第三部の各論であった。
丸畠論文は、徴兵による国民軍の成立と、それを受け入れた国民・市民との関係について、日本ではあまり見られることのなかった面からの考察。
大井論文は、弱小ドイツ海軍の創成期の略史。決戦海軍的な日本海軍と違った、沿岸防衛と外交海軍としてのドイツ海軍の建設史は非常に興味深い。
矢吹論文は、イギリス海軍から見た「ドイツ海軍の脅威」についての考察。現代の我々も幻惑されがちな「宣伝」とその裏の実体を突いている。
第二部はクラウゼヴィッツと「戦争論」に興味のある諸氏には興味深いものであろう。
第四部は東洋とドイツの「お雇い外国人」についてのスケッチ3本。大久保論文は、明治日本陸軍の一側面を映していて、日本軍に興味のある方へおすすめ。
全体として、概論はまとまりよく、各論は味のあるものをそろえており、価格も手ごろなので、軍事史に興味のある広い層に一読をおすすめしたい良書である。
2011年12月3日に日本でレビュー済み
本書は、ドイツを参考事例として取り上げた上で、戦争という社会現象と軍事という社会的要素を主軸にして歴史を眺め、それらが社会にどのような影響を及ぼしてきたかを論じている。「戦争が起こった。社会はどう変化したか」、「社会に変化が起こった。この背景には軍事的影響があるのではないか」といったようなことがテーマとなっている
構成としては、第一部で対象となる期間のドイツ史全体の概略を語り、第二部で戦争史を動かした人物とその思想に触れ、第三部でドイツ軍の組織形成を述べ、第四部でドイツ軍と世界の関係を論じる形になっている。まず全体を語った上で部分を語る、大から小に迫る、という形式になっていて、全体像と個別の論点を非常に把握しやすい。これ一冊で、「近現代ドイツの戦争史」の概略を理解することができる。
本書は、ドイツ史と軍事に関する諸研究を「戦争・軍事」の観点から関連付けて纏め直し、堅実に発展させたものだが、決してそれだけではない。これまでに思いつきや覚書程度に論じられてきた意見や事実の断片を一点に結集させ、互いに関連付け、体系立て、きちんとした形に仕立て上げた集大成でもある。
構成としては、第一部で対象となる期間のドイツ史全体の概略を語り、第二部で戦争史を動かした人物とその思想に触れ、第三部でドイツ軍の組織形成を述べ、第四部でドイツ軍と世界の関係を論じる形になっている。まず全体を語った上で部分を語る、大から小に迫る、という形式になっていて、全体像と個別の論点を非常に把握しやすい。これ一冊で、「近現代ドイツの戦争史」の概略を理解することができる。
本書は、ドイツ史と軍事に関する諸研究を「戦争・軍事」の観点から関連付けて纏め直し、堅実に発展させたものだが、決してそれだけではない。これまでに思いつきや覚書程度に論じられてきた意見や事実の断片を一点に結集させ、互いに関連付け、体系立て、きちんとした形に仕立て上げた集大成でもある。
2012年4月2日に日本でレビュー済み
ドイツの軍事史に関する本と聞けば直ちに電撃戦とかモルトケなどの武勇伝を想像してしまいますが、この本は学術書です。日本で初めてのドイツ軍に関する学術書ではないでしょうか。編者には日本を代表する外交史家である三宅正樹先生と同じく日本を代表する戦略家である石津朋之先生が名を連ねています。執筆者にも同志社大学の大御所、望田先生が加わっています。文章が少し難解ですので簡単に理解できる本ではないとは思いますが、ドイツ軍を学術的に理解するためには持って来いの一冊だと思います。