元新聞記者の主人公が、第33代アメリカ合衆国大統領
ハリー・トルーマンの書いたと思われる手紙を偶然手に
入れる所から物語は始まる。手紙の内容は第二次世界
大戦でアメリカが日本に対し原爆投下を決意する真相に
迫る物である。
公式には、原爆投下の目的は地上戦によるアメリカ軍の
損失を最小限に止める為、となっている。しかし、トルー
マンの手紙の内容は人種的偏見に満ちた物であった。
この手紙の真贋を確かめ、いかにして公開するか検討し
ていた主人公と、彼の昔の恋人である大学准教授が、
やがて事件に巻き込まれる。
アメリカ大統領について少し調べてみると、初期から二十
世紀初頭にかけては、人種差別主義者が少なからずいた
ようだ。さすがに最近ではアフリカ系アメリカ人の国務長官
や大統領が登場しているように、あからさまな人種差別を
唱える人物はいないようだが。
ちなみに史実では、日本への原爆投下決定はポツダム
宣言発表前の7月25日となっている。
やや重い文体で、読むのは少し骨がおれた。最初から怪し
い人物は一人しかいないのに、やたらと物語を複雑にして
いるような印象もあった。まあ、国際謀略小説としてはそれ
なりに楽しめる作品ではあるのだが。
内容紹介
ある事件がきっかけで新聞社を退社した峰先は、外国人同士の暴行事件に巻き込まれ、その現場で一通の手紙を手にする。それは第33代米大統領、トルーマンの私信だった。そこには広島・長崎への原爆投下の決断が書かれていた。一方、沖縄で米兵に襲われた女性の、大国に立ち向う市民運動が続けられていた。この二つの物語が絡み合い、意外な方向へ事件は発展する。なぜ原爆投下はなされたのか―――!? 歴史の闇に迫るサスペンス。
内容(「BOOK」データベースより)
合衆国大統領トルーマンの私信には、原爆投下の真相が!?偶然「手紙」を手に入れた元新聞記者・峰先は、かつての恋人とともに、諜報戦の渦中に…。サントリーミステリー大賞作家、渾身のサスペンス。