2011年から約8年間、日本の地方銀行で働いている。この会社では、顧客情報保護のため私用携帯の職場への持ち込みが禁止されている。不便なこともあるけれど、仕事中は強制的に携帯電話から離れていられるこの環境を、私はなかなか気に入っている。なぜなら、週末仕事が休みになると私はいつも携帯電話に気を取られて落ち着かない気分になってしまうからだ。特に大切なメッセージや通知が来るわけでもないのに、SNSをなんとなく巡回して数ヶ月・数年単位で会っていない友人知人の生活の切れ端を知り、Youtubeの動画をぼんやり眺め、インターネット上の見知らぬ人々の生活や意見に心を乱される。そんなことをしているだけであっという間に数時間が過ぎていて驚くことがしょっちゅうだ。だから、せめて働いているときだけでも携帯電話を気にせず過ごせるのはいいことだと感じていた。
そんな中、妊娠をした。出産予定日は来月初旬。というわけで、先月後半から産休をいただいている。夫は中長期の育休を取れないということなので、私が約1年半、2021年5月の職場復帰まで育休をもらう予定だ。これから約1年半、ひたすら携帯電話やSNSを気にして暮らしていく自分はなんだかつまらない。それなので、本書『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』を読んだ。「テック界のこんまり」と評される著者が書いたこの本を読めば、SNSや携帯電話から適度な距離を保つ生活の仕組みをうまく作れるんじゃないかと思ったからだ。
結果として、読んでよかったと思う。
この本で説かれるデジタル・ミニマリズムとは、「自分が重きを置いていることがらにプラスになるか否かを基準に厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中して、ほかのものは惜しまず手放すようなテクノロジー利用の哲学」のこと。決して、テクノロジー全般を遠ざけようというエクストリームなものではない。
SNSを運営する会社が私の時間や情報を使って儲けていることは個人的にはどうでもいい。でも、スクリーンの中のことに気を取られすぎて目の前にいる家族や友人、そして自分自身のための時間の質を下げてしまわないように気をつけようと、心から思えるようになった。
現在は、本書の中で紹介されていた演習をいくつか試しているところだ。その中の2つを紹介する。
1つ目は、「デジタル片づけ」
ステップ1:30日のリセット期間を定め、かならずしも必要ではないテクノロジーの利用を休止する。
ステップ2:この30日間に、楽しくてやりがいのある活動や行動を新しく探したり、再発見したりする。
ステップ3:休止期間が終わったら、まっさらな状態の生活に、休止していたテクノロジーを再導入する。その一つひとつについて、自分の生活にどのようなメリットがあるか、そのメリットを最大化するにはどのように利用すべきかを検討する。
私は2019年11月をデジタル片づけのステップ1「リセット期間」と定め、以下のとおり必須ではないテクノロジーの利用ルールを決めた。
・Facebook→見ない
・Instagram→見ない
・Twitter→見ない
・ドコノコ→見ない
・Pinterest→見ない
・LinkedIn→見ない
・まとめサイト諸々→見ない
・dマガジン→見ない
・Prime Video→ひとりでは見ない
・TV→ひとりでは見ない
・Youtube→調べものがあるときのみPCブラウザから利用
・Goodreads→感想投稿時のみPCブラウザから利用
・ブクログ→感想投稿時のみPCブラウザから利用
あまり自分に厳しいほうではないので、開始1週間目にして数回Facebook、Instagram、Twitter、Youtubeを覗いている。PodcastやAudibleの利用は制限していない。それでも、ルールを定めていないときよりは携帯電話に気を取られる時間がずいぶん減った。
2つ目は、「(余暇の)活動計画を立てよう」
「季節ごとと週ごとの二段構えのアプローチを採用して、(余暇)活動を戦略的に計画してほしい」というもの。
産休・育休中の私は、育休明けに復帰を希望している部署に配属してもらうため、人事部にアピールできそうな資格の試験勉強と趣味の計画を立てた。
正直、子どもが生まれたら計画なんて吹き飛ばされそうな予感もしているのだが、まあ、それはそれで仕方ない。状況に合わせて練り直せばいいと思っている。
数十個の「いいね」よりも、誰かと直接会話をするほうが楽しい。
なんとなく動画を眺めるのもいいけれど、自覚的に情報を選び、自分の考えや感情と向き合うほうが充実感が得られる。
「デジタル・ミニマリズムをうまく維持していくためのカギは、問題はテクノロジーではなく自分の人生の質なのだという事実を受け入れることにある」という言葉に思わず頷いてしまった。
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