「生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂」
ーーー副題がいい。
最近、よく話題となるAIが人類の未来を脅かす、あるいは人間は超知性の下僕になる、といった
カーツワイルやハラリ(「ホモ・デウス」の著者)らの世界観に違和感を覚えていたが、ようやく
これらに対抗できるビジョン書が登場した。
ここ、数年、AI&未来論の本を読んできたが、久しぶりに我が意を得たり、の読後感であった。
人間や、動植物だけでなく無機物まで含めた「生態系=エコシステム」の中で、計算機やロボットなどを
そのあらたな構成要素としてとらえるという発想は、一神教あるいはヘブライ的世界観にはない。
神も人間も動物も機械(計算機)も、同列にとらえるという世界観を著者は提示して見せた。
世界を上下=垂直関係からしか見ない世界観に対し、水平関係でとらえる世界観は、まさに90度交差している。
もちろん現実は、垂直と水平の両方の軸が混在しているわけであるが、ともすれば上下関係や勝ち負けだけの視点が
強調されがちなAI論議に、一石を投じたものとなっている。
とはいえ、書かれている中味は、コンピュータ用語から、仏教的世界(華厳経など)まで多岐にわたり、
読みこむのはそんなに簡単ではない。
後半は、メディアアーティストとしての著者のさまざまな試作プログラムの紹介がされている。こちらは
前半ほど刺激的な内容ではなかったが、単なる評論家でなく、じっせん表現者としても活動している点は評価できる。
ちなみに著者は「自然」あるいは「生態系」という言葉を使っているが、むしろ「森羅万象」というほうが
よりふさわしいように思える。
デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂 単行本 – 2018/6/15
落合陽一
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
-
本の長さ288ページ
-
出版社PLANETS/第二次惑星開発委員会
-
発売日2018/6/15
-
寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
-
ISBN-104905325099
-
ISBN-13978-4905325093
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
1分以内にKindleで デジタルネイチャー: 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂 をお読みいただけます。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
商品の説明
著者について
1987生。2015年東京大学学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の短縮終了)、博士(学際情報学)。2015年より筑波大学図書館情報メディア系助教デジタルネイチャー研究室主宰。2015年Pixie Dust Technologies.incを起業しCEOとして勤務。2017年より筑波大学学長補佐、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。2017年12月「デジタルネイチャー推進戦略研究基盤」を筑波大学内に設立し、筑波大学助教を退職、及び本基盤の代表/准教授として筑波大学に再就任し、現職。JST CREST xDiversity代表。専門はCG、HCI、VR、視・聴・触覚提示法、デジタルファブリケーション、自動運転や身体制御・多様化身体。研究論文は分野の最難関国際会議であるACM SIGGRAPHやACM UIST、CHIなどに採択されている。
登録情報
- 出版社 : PLANETS/第二次惑星開発委員会 (2018/6/15)
- 発売日 : 2018/6/15
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4905325099
- ISBN-13 : 978-4905325093
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
-
Amazon 売れ筋ランキング:
- 30,546位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 160位科学読み物 (本)
- カスタマーレビュー:
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.3
星5つ中の4.3
106 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年11月4日に日本でレビュー済み
違反を報告
Amazonで購入
35人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
ベスト100レビュアー
Amazonで購入
言ってる内容はまともで面白い。著者は実践と学習を通し培った知見を惜しみなく公開してくれている。
個人的に気になったのは文体。あえてわかりにくいジャーゴンを使ったり、衒学的な書き方が目に付いた。
なんとなくかっこいい文体を使うことで高尚に見せかける。それを評価する読者も多いだろう。当たり前のことなのに、なんとなくすごいことを勉強したような気持ちにさせるような効果を出してしまう。
個人的には、この文体は衒学的な印象を感じ、あまり好きではなかった。同じ内容のことをもっとわかりやすく伝えることは十分可能。
言ってる内容自体は☆5であるが、この点を考慮し☆をひとつ減らした。
個人的に気になったのは文体。あえてわかりにくいジャーゴンを使ったり、衒学的な書き方が目に付いた。
なんとなくかっこいい文体を使うことで高尚に見せかける。それを評価する読者も多いだろう。当たり前のことなのに、なんとなくすごいことを勉強したような気持ちにさせるような効果を出してしまう。
個人的には、この文体は衒学的な印象を感じ、あまり好きではなかった。同じ内容のことをもっとわかりやすく伝えることは十分可能。
言ってる内容自体は☆5であるが、この点を考慮し☆をひとつ減らした。
2018年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
落合陽一さんは、宗教家であり起業家であり思想家だと本書をよんで思いました。
.
自然とデジタルは相性が良いものであり、この二つの融合はイノベーションを起こします。
.
そして、一神教の西洋文明ではなく、万物に本質が宿ってるという東洋文明の世界観の中でこそこのイノベーションは効果が大きくなると落合さんは繰り返し述べられてます。
.
(私も本当にそう思います。)
.
今日使われている「個人」や「主体」といった概念はフランスのルソー等によって確立され、現代社会の自由主義や民主主義の根幹になってます。
.
(不明瞭な「個人」と「全体」それぞれの解釈と二つの区別は、ときにギロチンや粛正、ときに嫉妬や批判のみする人民を生んできたとも言われてますよね)
.
そんな西洋文明をそろそろ終わらそうじゃないかと、これからの時代は東洋文明だと、落合さん熱く熱く語っています。
.
引用されるのは荘子や芭蕉、伊勢の式年遷宮、その他数々の新旧問わない文献です。数式や理科の実験、サイエンスの事例から導き出される自然界の法則も引用しているので非常に面白いです。
.
それらを引用しながら落合さんが語るのは
.
「あらゆる自然の中に本質が宿っている。そして自分と自然、さらには自分と他人は一体である」
.
という空間論や
.
「生死とは何か、永続性とは何か」
.
という時間論です。
.
『唯一神と人間』、『自分と他人』、『人間と自然』がはっきり区別される西洋文明とは違い、東洋文明には
.
皆が神仏の子であるからこその「自他一体」、「人間と自然(世界)は一体」という価値観があります。
.
そして東洋思想のもとにデジタルと自然が融合すれば、デジタルと人間が相互に良い影響を与え合うことは勿論、自他の境が無くなり人々が交流し合えるようになる世の中や、私たち一人ひとりは世界と(宇宙とも)密接なんだと感じられるような世の中がやって来ると落合さんは熱く語っています。
.
イノベーションは何を起こすのでしょうか?落合さんの話はさらに飛躍します。
.
【今後は<実質>と物質、機械と人間の区別がつかない世界になる。そのとき我々に残るのは、理性や論理を超えた「宗教」に近い価値観ではないだろうか。】←P.212
.
ということも語ってます。真意は分かりませんが、この本の裏テーマは
.
「時代は宗教を必要としている」
ではないでしょうか?
.
勿論西洋のキリスト教文明ではありません。東洋文明の真の宗教です。
.
.
ここからは完全に私の主張になりますが、
.
真理を求めるプロセスがデジタルによってカットされたなら、簡単に真理がわかってしまう世の中になってしまうと思いますが、それは危険です。本を読む限り「悟りへのプロセス」や「人間にとっての幸福とは何か」、「そもそも宗教とは」にはあまり触れていませんでしたので、『悟りとは何か』、『人間にとっての幸福とは?』『宗教とは何か』を勉強されている方々がいらっしゃれば、デジタルネイチャーの社会の中で宗教者としてはっきりと世の中に発信しなければならない強く強く思いました。
.
自然とデジタルは相性が良いものであり、この二つの融合はイノベーションを起こします。
.
そして、一神教の西洋文明ではなく、万物に本質が宿ってるという東洋文明の世界観の中でこそこのイノベーションは効果が大きくなると落合さんは繰り返し述べられてます。
.
(私も本当にそう思います。)
.
今日使われている「個人」や「主体」といった概念はフランスのルソー等によって確立され、現代社会の自由主義や民主主義の根幹になってます。
.
(不明瞭な「個人」と「全体」それぞれの解釈と二つの区別は、ときにギロチンや粛正、ときに嫉妬や批判のみする人民を生んできたとも言われてますよね)
.
そんな西洋文明をそろそろ終わらそうじゃないかと、これからの時代は東洋文明だと、落合さん熱く熱く語っています。
.
引用されるのは荘子や芭蕉、伊勢の式年遷宮、その他数々の新旧問わない文献です。数式や理科の実験、サイエンスの事例から導き出される自然界の法則も引用しているので非常に面白いです。
.
それらを引用しながら落合さんが語るのは
.
「あらゆる自然の中に本質が宿っている。そして自分と自然、さらには自分と他人は一体である」
.
という空間論や
.
「生死とは何か、永続性とは何か」
.
という時間論です。
.
『唯一神と人間』、『自分と他人』、『人間と自然』がはっきり区別される西洋文明とは違い、東洋文明には
.
皆が神仏の子であるからこその「自他一体」、「人間と自然(世界)は一体」という価値観があります。
.
そして東洋思想のもとにデジタルと自然が融合すれば、デジタルと人間が相互に良い影響を与え合うことは勿論、自他の境が無くなり人々が交流し合えるようになる世の中や、私たち一人ひとりは世界と(宇宙とも)密接なんだと感じられるような世の中がやって来ると落合さんは熱く語っています。
.
イノベーションは何を起こすのでしょうか?落合さんの話はさらに飛躍します。
.
【今後は<実質>と物質、機械と人間の区別がつかない世界になる。そのとき我々に残るのは、理性や論理を超えた「宗教」に近い価値観ではないだろうか。】←P.212
.
ということも語ってます。真意は分かりませんが、この本の裏テーマは
.
「時代は宗教を必要としている」
ではないでしょうか?
.
勿論西洋のキリスト教文明ではありません。東洋文明の真の宗教です。
.
.
ここからは完全に私の主張になりますが、
.
真理を求めるプロセスがデジタルによってカットされたなら、簡単に真理がわかってしまう世の中になってしまうと思いますが、それは危険です。本を読む限り「悟りへのプロセス」や「人間にとっての幸福とは何か」、「そもそも宗教とは」にはあまり触れていませんでしたので、『悟りとは何か』、『人間にとっての幸福とは?』『宗教とは何か』を勉強されている方々がいらっしゃれば、デジタルネイチャーの社会の中で宗教者としてはっきりと世の中に発信しなければならない強く強く思いました。
2018年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「コミュニケーションをAIが補う世界」(pp.101-104参照)の項目冒頭で、
「人間と機械を同一線上に捉えるサイバティクスの発想を、コミュニケーション領域に拡張してみよう」(p.101)とあるように、本書は、「人間」と「機械」の関係性について考える機会を与えてくれる一冊と言える。
また、本書は、記述方法がやや文語体であり、読み始めはとっつきにくい感があるものの、
「Facebookが開発していると噂される「自殺しような人を特定するシステム」も、ややディストピア的ではあるがその一つかもしれない」(p.98)
「現在、GoogleやAppleは、App StoreやGoogle Playといったプラットフォームを通じて、莫大な収益を上げている」(p.185)
といった具体的な事例を挙げ、
「機械には不可能な判断を人間が行い、人間に実行できない演算処理を機械が担当する。人間と機械が両輪となることで、技術が進歩するのである」(p.100)
のように明確な結論を語ることにより、容易に内容を理解できるよう工夫されている。
さらに、
①「現在、我々の使っている日本語の多くは、実はそれほど古い歴史を持っていない。日本の近代が成立したのは明治維新以降だが、そのとき西洋から伝来した概念の多くが、明治以降に発明された単語を用いて翻訳されている」(p.162)
②「伊勢神宮では、約1300年にわたりまったく同じ構造物が造られ続けている。20年に一度行われる神宮式年遷宮で、同一の社殿を隣に組み上げてから壊すという行為を7世紀から繰り返している」(p.216)
といった、全く異なる話題を挙げており、「人間」と「機械」の関係性に留まらない広い内容となっている。
以上のことから、本書は、「人間」と「機械」の関係性だけでなく、「世界」について広く考える機会を与えてくれる一冊である。
「人間と機械を同一線上に捉えるサイバティクスの発想を、コミュニケーション領域に拡張してみよう」(p.101)とあるように、本書は、「人間」と「機械」の関係性について考える機会を与えてくれる一冊と言える。
また、本書は、記述方法がやや文語体であり、読み始めはとっつきにくい感があるものの、
「Facebookが開発していると噂される「自殺しような人を特定するシステム」も、ややディストピア的ではあるがその一つかもしれない」(p.98)
「現在、GoogleやAppleは、App StoreやGoogle Playといったプラットフォームを通じて、莫大な収益を上げている」(p.185)
といった具体的な事例を挙げ、
「機械には不可能な判断を人間が行い、人間に実行できない演算処理を機械が担当する。人間と機械が両輪となることで、技術が進歩するのである」(p.100)
のように明確な結論を語ることにより、容易に内容を理解できるよう工夫されている。
さらに、
①「現在、我々の使っている日本語の多くは、実はそれほど古い歴史を持っていない。日本の近代が成立したのは明治維新以降だが、そのとき西洋から伝来した概念の多くが、明治以降に発明された単語を用いて翻訳されている」(p.162)
②「伊勢神宮では、約1300年にわたりまったく同じ構造物が造られ続けている。20年に一度行われる神宮式年遷宮で、同一の社殿を隣に組み上げてから壊すという行為を7世紀から繰り返している」(p.216)
といった、全く異なる話題を挙げており、「人間」と「機械」の関係性に留まらない広い内容となっている。
以上のことから、本書は、「人間」と「機械」の関係性だけでなく、「世界」について広く考える機会を与えてくれる一冊である。
2019年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
僕の場合、1回目に読んだ時は内容の2割も理解できなかったです。ただ、分からないながらも「分からなきゃいけない事が書いてある」ことは直感的に分かりました。
その後、著者の別の本を読んだりnewspicksのweekly ochiaiを聞いていく中で著者が本書を通じて伝えかたった事が分かるようになりました。
僕が落合さんの考えで感銘を受けた事の一つに「二項対立で物事を考えないこと」です。本書にはテクノロジーと共に生きていくこと、テクノロジーによって【人間性】が拡張されていくこと等が書かれています。おすすめです。
その後、著者の別の本を読んだりnewspicksのweekly ochiaiを聞いていく中で著者が本書を通じて伝えかたった事が分かるようになりました。
僕が落合さんの考えで感銘を受けた事の一つに「二項対立で物事を考えないこと」です。本書にはテクノロジーと共に生きていくこと、テクノロジーによって【人間性】が拡張されていくこと等が書かれています。おすすめです。
2019年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
導入部分が装飾的な文体で描かれているのが印象的でした。
やや小難しい印象のある本文。衒学的と評されるレビューも見かけますが、明治以降の捻れて不完全な日本語に無理やり翻訳するよりかはスッキリして良いと思います。
近代社会では弱者とされてしまったマイノリティへの優しい視点に溢れ、それでいて全体への配慮も感じるので心地良いです。
理想主義的な部分もあるかと思いますが、テクノロジーによって平等な世界が実現するというストーリーテリングは、物語であろうが現実だろうが上等です。
この本を読んで落合陽一というお人そのものを大好きになりました。
やや小難しい印象のある本文。衒学的と評されるレビューも見かけますが、明治以降の捻れて不完全な日本語に無理やり翻訳するよりかはスッキリして良いと思います。
近代社会では弱者とされてしまったマイノリティへの優しい視点に溢れ、それでいて全体への配慮も感じるので心地良いです。
理想主義的な部分もあるかと思いますが、テクノロジーによって平等な世界が実現するというストーリーテリングは、物語であろうが現実だろうが上等です。
この本を読んで落合陽一というお人そのものを大好きになりました。
2018年10月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
落合陽一さんの本の中でもかなり複雑で難解な内容となっています。魔法の世紀や落合さんの出ている番組などから先に触れるのが良いと思います。最初の前書きの部分はいかに落合さんの見ている景色を想像できるかという問題のような気もします。私が特に面白いと思ったのはAI+VCかAI+BIかについてです。読んでいるとディストピア的世界になるのではないかと不安になりながらも、面白い未来を見せてくれるかもしれないという期待ももらえました。良書だと思います。
同様の商品をご覧になりませんか?
こちらのリンクで参照ください。計算機