絶版になっているのがもったいない。表紙も美しく、いい書物です。
「ベイトソン要約論・ベイトソン本人を超えた発想」といえる、7/8章の「明日の形而上学」の章が、この本のハイライトです。
以下、素晴らしい文章を抜粋します。
学習をめぐる研究の出発点として、ベイトソンは、一見ナンセンスな問いからスタートした。
それは「正しい誤り」というものは存在するか?という問いである。
より広い言い方をすれば、正しいイデオロギーというものは存在するか?ということである。
イデオロギーを正しいと信じる文化にとってプラスにはたらくように作られている。例えばバリ島人は、世界についてさまざまな信念を持っているが、そのなかには我々には信じ難いような考え方もある。
バリ島社会は、西欧社会よりもはるかに安定している。とすれば「バリ島社会」の一見「気違いじみた」考え方の方が、ある意味ではより「正しい」といえるのではないだろうか?
こうした考察を通じて、問いは次のように改められた。
ーーー個人や社会の精神の中で、イデオロギー(認識、世界観、「現実」)や感情のパターン(支配/服従、保護/依存)は、いかにして形成されるのか?
この問いに答えるために、ベイトソンは「文法」ないし、コードの概念に立ち戻った。…
学問や知とは「大学」などの範疇に収まるものではないでしょう。まさに「生きること」から考えることなのです。
その意味で、生態的としての我々人間の「知的なもの」を満たしてくれる名著です。
全部、はじめのデカルト部分から読むと長いので、まず「明日の形而上学」から読んでみるのがおすすめです。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
