本を開いてからの3日間、私は壮大なスケールの旅に出ていた気がします。あるいは夢を見ていたか。
分厚い本を、これほどまでに「まだ読んでいたい、読み終わりたくない」と思ったのは初めて。
読んでいる最中に洗濯機が洗濯終了を告げるアラームが鳴ると「チッ」(舌打ち)
携帯が鳴ると「チッ」。いま重要なとこなのに!!!(重要なとこだらけ)
そんな3日間でした。
登場人物のキャラクター設定がとても魅力的で、そして哀しい。
とことん残酷で禍々しい、なのにすごく神々しい。
読了後、飲んでみたこともないメスカルという酒を飲んでみたくなりました。
速攻でこの作家さんの他の作品を2冊購入した次第です。
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テスカトリポカ (角川書店単行本) Kindle版
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2021/2/19
- ファイルサイズ6629 KB
商品の説明
著者について
●佐藤 究:1977年福岡県生まれ。2004年に佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。’16年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。’18年、受賞第一作の『Ank:a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞および第39回吉川英治文学新人賞のダブル受賞を果たす。 --このテキストは、hardcover版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B08VWBX3G7
- 出版社 : KADOKAWA (2021/2/19)
- 発売日 : 2021/2/19
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 6629 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 639ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 8,530位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 661位日本の小説・文芸
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.3
星5つ中の4.3
1,065 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。

佐藤究と言う男は元は純文学育ちらしい。その証拠にデビューは群像新人賞からで、実際に群像新人賞をどんなジャンル、どんな作風の人が受賞するかと言うと純文学ではあるけれど、ちょっとオシャレな…言い方を変えれば「鼻にかけた」何かがある作品が多い様に思う。これは実際に応募をし、選考を進んだ事のある私が言うのだから強ち間違いではない。しかし現代文学と言うジャンルの中で純文学は正直シンドイ。現代文学ではどうしても推理、サスペンスが評価されるきらいがあり、純文学育ちの佐藤氏はデビューしたはいいものの鳴かず飛ばずで郵便局のアルバイトをしながら日銭を稼いできたらしい。そんな佐藤氏の起死回生となるのがこちら。私は氏の作品を広島新聞で知って、医療職でもあるので臓器売買を扱ったバイオレンス物と言う紹介から「どれどれ」と手にとってみた。三島由紀夫は小説とはありえない物同士を言葉で繋げる事をするのが仕事と言うが、古代中南米+麻薬カルテル+臓器売買をよくぞまあ繋げたものよ…と関心をした。再起を図る麻薬カルテルの幹部と臓器ブローカーに墜ちた闇医者が手を結ぶ辺りまでは、もうこのまま裏社会を牛耳ってくれよ!と思うのだが、散々中南米の宗教を繰り返してきて新約聖書の「私は生贄を求めているのではない、憐憫である」と言う一文で裏切り者が出て破滅に向かっていくのはどうだろう。暴力暴力とやって来て、結局善人でありたいと佐藤氏は思ったのではないだろうか。しかしテスカトリポカを書く前に「ダークナイトみたいのを」と頼まれたと言うから、そういう話なのかもしれないが、折角なら闇の世界を突き進むところまで突き進んでほしかった。
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上位レビュー、対象国: 日本
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ベスト1000レビュアー
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●麻薬と貧困と暴力の世界の物語。主人公は犯罪者たちである。物語にはミステリー小説の推理やどんで
ん返しなし、SFのセンスオブワンダーなし、ハートウォームやお涙頂戴の胸キュンなしで、問題解決はた
だひたすら残虐な暴力と賄賂だけ。麻薬戦争が絶えないのは、残酷なアステカの神々の祟りか?結末への
道のりが見えず読んでいて飽きてくる。
流れの速い川ではなく、文字密度の濃い冗長な流れ。残りのページ数が気になりながら読み進むのは、
ちょっとしんどかった。ただただ暴力の連鎖が連なる小説は肌に合わない。
ん返しなし、SFのセンスオブワンダーなし、ハートウォームやお涙頂戴の胸キュンなしで、問題解決はた
だひたすら残虐な暴力と賄賂だけ。麻薬戦争が絶えないのは、残酷なアステカの神々の祟りか?結末への
道のりが見えず読んでいて飽きてくる。
流れの速い川ではなく、文字密度の濃い冗長な流れ。残りのページ数が気になりながら読み進むのは、
ちょっとしんどかった。ただただ暴力の連鎖が連なる小説は肌に合わない。
2021年5月1日に日本でレビュー済み
この物語はメキシコの元麻薬王でありアステカ文明の呪術的な信仰を祖母から引き継いだ男・バルミロと、バルミロの支配下にあった街にルーツのある少年・コシモの人生が日本の川崎で交わり、破滅に至るまでを追っています。
こう書くと何となく面白そうですが実際読んでみるとうんざり。
とにかく長い。ハードカバーで500ページ超えなので当たり前なんですが、ストーリー上の盛り上がりどころが全然来ない。
冒頭でコシモの母親が日本に来てヤクザの男との間にコシモが生まれて暴対法の締付けで困窮するようになって、コシモが父親を殺して〜みたいな話をしたら、その後はずーーっとバルミロの話。
バルミロが日本で始めた臓器売買にコシモが絡むようになる頃には物語は佳境で、それまではバルミロの信仰のルーツである祖母の人生、バルミロがいた麻薬カルテルでの抗争の日々、敵対組織に敗れて復讐を誓い、各地を転々とする中で麻薬に変わるビジネスとして臓器売買を〜みたいなことが延々語られます。
信仰はともかく、麻薬王時代の話とかバルミロとビジネスパートナーになる闇医者やら川崎で暴力要員として雇うチンピラやらのエピソードとか、ダイジェスト的に済ませるべきくだりにかなりのページが割かれ、「いつになったら話が始まるんだ」という気持ちに。
物語のバックボーンであるアステカ文明の信仰やメキシコの麻薬戦争の凄まじい実態、臓器売買のシステムなど大変な取材をしたんだろうなと思います。
でも、それを全部並べられても面白くないんですよね。
一人一人のバックボーンを描いて厚みを持たせるって言ってもその厚みは費やされたページの厚みであり、読者から興味と集中力を奪います。
主人公やそれに準じるキャラは丹念に描き、重要度が低いキャラは端的な描写でさらりと立ててみせるなら巧みの技ですが、本作はそういう意味でいうと下手でした。
川崎で臓器売買ビジネスが始まってからの展開も、世界にまたがるダイナミックな犯罪を描いてきた割にはダイナミズムに欠けていてしょっぱいです。外科医の裏切りとかどうでもいいですよ。
ページ数をこの3分の2に削り、キャラクターの優先順位に則った描写に留め、早い段階からバルミロとコシモの物語としてスタートさせ、この二人の関係を軸にした展開を辿らせれば傑作になり得たんじゃないかと思います。
こう書くと何となく面白そうですが実際読んでみるとうんざり。
とにかく長い。ハードカバーで500ページ超えなので当たり前なんですが、ストーリー上の盛り上がりどころが全然来ない。
冒頭でコシモの母親が日本に来てヤクザの男との間にコシモが生まれて暴対法の締付けで困窮するようになって、コシモが父親を殺して〜みたいな話をしたら、その後はずーーっとバルミロの話。
バルミロが日本で始めた臓器売買にコシモが絡むようになる頃には物語は佳境で、それまではバルミロの信仰のルーツである祖母の人生、バルミロがいた麻薬カルテルでの抗争の日々、敵対組織に敗れて復讐を誓い、各地を転々とする中で麻薬に変わるビジネスとして臓器売買を〜みたいなことが延々語られます。
信仰はともかく、麻薬王時代の話とかバルミロとビジネスパートナーになる闇医者やら川崎で暴力要員として雇うチンピラやらのエピソードとか、ダイジェスト的に済ませるべきくだりにかなりのページが割かれ、「いつになったら話が始まるんだ」という気持ちに。
物語のバックボーンであるアステカ文明の信仰やメキシコの麻薬戦争の凄まじい実態、臓器売買のシステムなど大変な取材をしたんだろうなと思います。
でも、それを全部並べられても面白くないんですよね。
一人一人のバックボーンを描いて厚みを持たせるって言ってもその厚みは費やされたページの厚みであり、読者から興味と集中力を奪います。
主人公やそれに準じるキャラは丹念に描き、重要度が低いキャラは端的な描写でさらりと立ててみせるなら巧みの技ですが、本作はそういう意味でいうと下手でした。
川崎で臓器売買ビジネスが始まってからの展開も、世界にまたがるダイナミックな犯罪を描いてきた割にはダイナミズムに欠けていてしょっぱいです。外科医の裏切りとかどうでもいいですよ。
ページ数をこの3分の2に削り、キャラクターの優先順位に則った描写に留め、早い段階からバルミロとコシモの物語としてスタートさせ、この二人の関係を軸にした展開を辿らせれば傑作になり得たんじゃないかと思います。
2021年4月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どこまでがアステカの神話でどこからがいま起こっていることなのか。その境界線がまったくわからなくなる小説。「心臓」がキーワードであり、もちろん「ハートウォーミング」な人情噺であるはずもないのだが、最後の最後にほんのちょっとの希望があったりする不思議な話。
メキシコでの麻薬組織の対立に端を発し、しぶとく生き延びた「主人公」がジャカルタで「起業」して、復讐を遂げるために川崎で私兵組織を立ち上げて「ビックビジネス」に乗り出す、というあらすじはあまりに粗いので参考にならないと思う。でも、もうひとりの「主人公」に救いがあったことが小説の高みを極めたといえる。
読み始めると550ページはイッキ読みになるので、連続した時間が取れる休日用にオススメします。
メキシコでの麻薬組織の対立に端を発し、しぶとく生き延びた「主人公」がジャカルタで「起業」して、復讐を遂げるために川崎で私兵組織を立ち上げて「ビックビジネス」に乗り出す、というあらすじはあまりに粗いので参考にならないと思う。でも、もうひとりの「主人公」に救いがあったことが小説の高みを極めたといえる。
読み始めると550ページはイッキ読みになるので、連続した時間が取れる休日用にオススメします。
2021年7月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
恐ろしい犯罪小説だった。
麻薬密売人と臓器売買ブローカーが手を組み、日本の無戸籍児童の臓器密輸を計画する。
そのときに目を付けたのが、薬物中毒の保育士の女。
彼女は「子供が好きで守りたい」といいながら、違法薬物に手を出している自分がそんな大事な子供と関わっていることに違和感を感じていない。
「この女は根本的に壊れている」つまり、自分の本当の気持ちをきちんと感じておらず、自分が何をしているかを考えていない思考停止状態にある。
この女は使えると思われ、「無戸籍児童を守るため」という大義名分を与えられて、
無戸籍児童の臓器密輸という恐ろしい犯罪の片棒を知らず知らずのうちに担がされることに。
ここから、最後の「いや、なんでやねん!?」な結末へ繋がっていく伏線が見事だった。
直木賞に選ばれる作品とは毛色が違う気がするので、受賞はないかもしれないですが、
間違いなく面白い小説でありました。
麻薬密売人と臓器売買ブローカーが手を組み、日本の無戸籍児童の臓器密輸を計画する。
そのときに目を付けたのが、薬物中毒の保育士の女。
彼女は「子供が好きで守りたい」といいながら、違法薬物に手を出している自分がそんな大事な子供と関わっていることに違和感を感じていない。
「この女は根本的に壊れている」つまり、自分の本当の気持ちをきちんと感じておらず、自分が何をしているかを考えていない思考停止状態にある。
この女は使えると思われ、「無戸籍児童を守るため」という大義名分を与えられて、
無戸籍児童の臓器密輸という恐ろしい犯罪の片棒を知らず知らずのうちに担がされることに。
ここから、最後の「いや、なんでやねん!?」な結末へ繋がっていく伏線が見事だった。
直木賞に選ばれる作品とは毛色が違う気がするので、受賞はないかもしれないですが、
間違いなく面白い小説でありました。
ベスト1000レビュアー
Amazonで購入
この作家の小説は初めて読んだ。
アマゾンのAIが薦めてきたものだw
古代アステカの宗教、メキシコの麻薬カルテル、臓器密売シンジケート、この3つのキーワードが三題噺のようにつながっているというので読んでみようと思った。
まず、メキシコと日本で別々に提示されるエピソード群。
これがどう繋がるのだろうと思って読み進めていくと、なるほどダイナミックに繋がっていく。
特にメキシコのカルテルの描写は迫力があって、垣根涼介の初期の南米ものに近いものを感じた。
古代アステカ宗教の描写にも凄みがある。
ただ、臓器密売の話になると、ちょっと無理を感じるところが多くなる。
特に、臓器のドナーとなる子どもたちに日記を書かせるところの論理は破綻しているし、またその日記を主人公の1人の大人に代筆させるところも然りだ。
いや、日本でのシンジケート構築のやり方が無理筋すぎるようにも思える。
まあ、ダイナミックなストーリー展開を優先させるとこうなるしかないのかもしれないが。
垣根涼介の一連の南米関連のような、読後の爽快さは得られなかった。
アマゾンのAIが薦めてきたものだw
古代アステカの宗教、メキシコの麻薬カルテル、臓器密売シンジケート、この3つのキーワードが三題噺のようにつながっているというので読んでみようと思った。
まず、メキシコと日本で別々に提示されるエピソード群。
これがどう繋がるのだろうと思って読み進めていくと、なるほどダイナミックに繋がっていく。
特にメキシコのカルテルの描写は迫力があって、垣根涼介の初期の南米ものに近いものを感じた。
古代アステカ宗教の描写にも凄みがある。
ただ、臓器密売の話になると、ちょっと無理を感じるところが多くなる。
特に、臓器のドナーとなる子どもたちに日記を書かせるところの論理は破綻しているし、またその日記を主人公の1人の大人に代筆させるところも然りだ。
いや、日本でのシンジケート構築のやり方が無理筋すぎるようにも思える。
まあ、ダイナミックなストーリー展開を優先させるとこうなるしかないのかもしれないが。
垣根涼介の一連の南米関連のような、読後の爽快さは得られなかった。
2021年12月20日に日本でレビュー済み
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力作だし、筆力もある。確かに力のある作力だし、作家として持つ力も強い。しかし、こういう内容を本にして売る出版社や直木賞を与えてしまう人たちの見識を問わずにいられない。違う作品で受賞してもらいたかったと思わずにいられない。出版社も選考委員ももう一作、作家の生み出す作品を待つことはできなかったのか。直木賞選考委員の男性陣はこぞって受賞に反対したが、林真理子、宮部みゆき各女性陣が強く支持したという。選評は長く記憶されるべきだろう。選んだ責任を記憶されるべきだと思う。力のある作品ではあるが繰り返し読みたいとは決して思わない。そしてこの作家がこの作品を書くまで追い詰められたことの経緯には思いははせるが、この作家と作品を通して信頼関係を結べるとは思えない。こういう作品を出してしまった作家自身に「これからの作品」という一生の課題が出されたと思うし、この作品を推挙した選考委員には「今までの作品」の質が問われようし、「これからの作品」にどんなメッセージを提示し、読者に信頼されていくのか、強く問われることになると思えた。