いうまでもなく、がっつりファンタジー。
現実でない世界で起こる、不思議な出来事とそこに抽出されているいろいろなエッセンスが受け入れられない人には向きません。
子供の時に愛読した原作。
チョコレートが流れる川がある、
小人が働くチョコレート溢れる工場は憧れの世界でした。
挿絵で見たよりもファンタジックで楽しい工場の描写に思わず歓声をあげそうになりました。
家族との関係や家のこと、とても明るく温かく描いていて、
ラストの大事な要素となっています。
登場人物を美化しないところも良いと思います。
文句ばかり言ってる祖父は大事な時にはしっかりした信念を持っています。
でも普段は聞くに堪えないことを言う。
それを主人公に聞かせないように耳を塞いであげる父。
稼ぎの悪いけど誠実な夫を非難せず、楽しく生活しようとする母。
人生の豊富な経験から優しくしっかりと孫を愛情で包む祖父と祖母。
しかも両家そろって。
いい人たちですが、賢者でも才能豊かでもない、普通の人たちです。
が、主人公にこのしっかりとした家族がいる、そこに時間をかけて描いていたのがとても印象に残りました。
チョコレート工場の才能あふれる主、Mr.ウォンカの招待券をゲットした
5人の子供のうち、4人の傲慢で自分勝手な振る舞いと
それをからかい、ひどい目に合わせてしまうMr.ウォンカ。
彼らの型にはまらずやりすぎとも思える行動は、日本人には馴染めないかもしれませんが
海外の文化としては冗談の範囲であるらしいし、ロアルドダールの持ち味でもあります。
鼻持ちならない子供と、甘やかして注意しない親、
『両方ひっくるめてバチが当たればいいのに』
なんて誰でも一度は思ったことがあると思います。
そんな気持ちをスッキリさせてくれるエピソードの数々。
殺してしまうほどひどくない程度の痛い目にあって、
彼らを見ていると感じる不快でいらっとしたこの気持ちを晴らせたらいいのにな、という
いたずら心程度のいい具合だなと思いました。
主人公の男の子は、目のキラキラした愛情たっぷりな男の子。
いくら親切心があっても、
親や周りの制止も聞かずにおバカなことをする傲慢な同行者を守る必要がどこにあるでしょう。
彼はまだ保護者の必要な子供であり、大人でも学級委員でも正義の味方でもないのです。
Mr.ウォンカは純粋で好奇心旺盛、子供そのものの感性の人なのがまた重要なエッセンスで、、
彼と主人公の出会いと、工場見学のその後のところが
実は一番重要で、映画全体を一つのテーマにまとめあげているのだと思いました。
映画の終わり、なんかいいもの見た〜。
そんな映画でした。
ところどころ、ジョークでやってるような遊び心いっぱいな要素が散りばめられていて
一人でも家族で楽しめる上質のファンタジーだと思います。