この漫画のストーリーは一見、衝撃的な展開をバカみたいに繰り返してるように見えますが、それはあくまで表面的なこと。そこだけ見ていると、「はいはい。ただ人をバンバン殺せばいいと思ってる程度の低い行き当たりばったり漫画ね。」と誤解してしまうかもしれませんが、実はこの物語は現代の若者の苦悩をとても巧みに漫画に落とし込んでおり、それがこの漫画の真の魅力と言っても過言ではありません。
無知ゆえにマキマに騙され利用されるデンジの姿は、社会に押し潰されそうな読者の心にグサリと突き刺さり非常に共感しやすい上に、
「絶望のどん底に落とされたデンジはどうなってしまうのか」というのが気にならずにはいられません。こういう鬱屈した状況からどうやって幸せを掴み取ればいいのか?何が必要なのか?と。
作中で示されている1つ目のキーは、「愛情」です。
デンジはパワーとの家族的な絆によって正気を取り戻し、単純な力ではなく愛の力によってマキマを倒します。
デンジ=現代の若者
マキマ=社会そのもの
とすると、デンジがマキマを料理して消化していくというのは、若者が現実社会と折合いをつけて自分なりの幸せを見つけることのメタファーとも取れます。
面白いのは、結局は両者とも愛情への飢えが行動の根本原理となっている、要は似た者同士なこと。デンジは母性愛を求め、マキマは他者との対等な愛を求めています。(2人が共に涙した映画のシーンは、親しい人物が抱き合っている場面)
結局は、人と人との愛情や絆が精神的充足をもたらすということを言いたいのだと思います。
あともう一つ示されているのが、「教養」の重要性。
デンジはマキマの策略により一度は思考を停止してラクになろうとしますが、それが災いしてもっと最悪の事態を引き起こしてしまいます。そこから考えることの大事さを身をもって学んだデンジは、最後は自分の頭でしっかりと考え抜いて解決策を見出します。
つまり、教養とは自分で考える力のこと。
もちろんその材料に知識や経験が必要となります。最後にはデンジは学校に通うことになっていますね。
チェンソーマン的「幸せな生き方」をまとめると、
・幸せになるために必要なのは他者との繋がり(愛情)と生きていく為の教養(考える力)
・デンジ(=困窮する若者)は考え抜いた結果、深い愛情によってマキマとの戦い(=現実社会との相克)を解決した
ということになります。
デンジは最終的には、
・質素ながら衣食住揃った生活
・愛すべき家族(ナユタ)
・教養(自分で考える力)
・仕事と趣味の両立(ナユタを守りつつ、デビルハンターとして生活費を稼げる)
・目標(地獄にパワーを探しに行く)
と自分なりの幸せを得ています。
もう「皆が欲しがる財宝見つけに行こうぜ!」みたいな動機は、今どきあまり現実味がないと思っている人も多い筈です。そういうビッグドリームではなく、ささやかな自分なりの幸せを求める。これがデフレ時代のリアルであり、この漫画が支持される理由の一つだと思います。
実はチェンソーマンの物語って、少年が大人の階段を登っていくという少年漫画の超王道なんですよね。デンジにはデンジの「努力・友情・勝利」がある。
イロモノに見せかけておきながら、それをこれほどのリアリティで描くというのがまさに「このマンガがすごい!」です。第2部が待ち遠しくて仕方ありません。
チェンソーマン 11 (ジャンプコミックスDIGITAL) Kindle版
-
言語日本語
-
出版社集英社
-
発売日2021/3/4
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ファイルサイズ55651 KB
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2021年3月4日に日本でレビュー済み
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427人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2021年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
平和な都市オメラスのどこかにあるその部屋には錠のおりた扉が一つあるだけ、窓はない。閉じ込められた子供がぽつんと坐っている。
この子供がつまりはデンジだ。
彼の孤独で悲惨な幼少期は、まるでオメラスに囚われ不幸を一身に背負わされた子供のようで、私はずっとデンジの事が気掛かりだった。彼のような少年が主人公に選ばれた意味をいつも考えていた。
デンジが記憶と共に扉の内側に立て籠り思考を放棄していたのも、マキマから受けた仕打ちのせいだけではなく彼のこれまでの人生を思えば当然だ。
しかしマキマから身を隠すために岸辺に連れて行かれた窓のない(!)狭く暗い部屋で、やはりオメラスの子供であるところのコベニが膝を抱えて小さく蹲り「ヤな事がない人生なんて………夢の中だけでしょ……」と諦念を述べる姿に、デンジは初めて自らを相対化出来たのだった。
正直に欲望を叫ぶデンジのシーンにはこの作品が描きだそうとした全ての問いに対する答えが詰まっている。クライマックスと呼ぶに相応しい。
問題はその後だ。
こんな展開ってない。ヒロインは悪であるところの敵役で、彼女を許すどころか愛と執着まで告白するヒーローとは一体。
まあでも別にそれで良い。むしろこうでなくちゃあならない。これでこそ「チェンソーマン」だ。デンジのやって来た事は間違いでなかった。バカで健気でチョロくて優しいデンジ。ずっとずっとデンジの事が気掛かりだった。
デンジは遂にその部屋を出て、成り行きではなく自らの意思でチェンソーマンになる事を選び取った。
「チェンソーマン」は新しいヒーロー像を示してみせた。我らが時代のヒーローは文字通り清濁合わせて飲み下し、そして残らず背負って行く。ポチタもパワーもニャーコもマキマもマキマの犬たちも支配の悪魔も全部。
どう仕様もない人間の弱さを、そして強さと尊さを描いてみせた。粗削りだが小気味良い。これで全て良いと思わせる希望に満ちている。
これは、新しい神話のような物語だ。
岸辺をして一番デビルハンターに向いていると言わしめたデンジの活躍を、デンジのチェンソーがエンジンを吹かすブウンという音を、私はこれからも楽しみにしている。
この子供がつまりはデンジだ。
彼の孤独で悲惨な幼少期は、まるでオメラスに囚われ不幸を一身に背負わされた子供のようで、私はずっとデンジの事が気掛かりだった。彼のような少年が主人公に選ばれた意味をいつも考えていた。
デンジが記憶と共に扉の内側に立て籠り思考を放棄していたのも、マキマから受けた仕打ちのせいだけではなく彼のこれまでの人生を思えば当然だ。
しかしマキマから身を隠すために岸辺に連れて行かれた窓のない(!)狭く暗い部屋で、やはりオメラスの子供であるところのコベニが膝を抱えて小さく蹲り「ヤな事がない人生なんて………夢の中だけでしょ……」と諦念を述べる姿に、デンジは初めて自らを相対化出来たのだった。
正直に欲望を叫ぶデンジのシーンにはこの作品が描きだそうとした全ての問いに対する答えが詰まっている。クライマックスと呼ぶに相応しい。
問題はその後だ。
こんな展開ってない。ヒロインは悪であるところの敵役で、彼女を許すどころか愛と執着まで告白するヒーローとは一体。
まあでも別にそれで良い。むしろこうでなくちゃあならない。これでこそ「チェンソーマン」だ。デンジのやって来た事は間違いでなかった。バカで健気でチョロくて優しいデンジ。ずっとずっとデンジの事が気掛かりだった。
デンジは遂にその部屋を出て、成り行きではなく自らの意思でチェンソーマンになる事を選び取った。
「チェンソーマン」は新しいヒーロー像を示してみせた。我らが時代のヒーローは文字通り清濁合わせて飲み下し、そして残らず背負って行く。ポチタもパワーもニャーコもマキマもマキマの犬たちも支配の悪魔も全部。
どう仕様もない人間の弱さを、そして強さと尊さを描いてみせた。粗削りだが小気味良い。これで全て良いと思わせる希望に満ちている。
これは、新しい神話のような物語だ。
岸辺をして一番デビルハンターに向いていると言わしめたデンジの活躍を、デンジのチェンソーがエンジンを吹かすブウンという音を、私はこれからも楽しみにしている。
2021年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1時頃まで配信のBGMが継続されていたので、それを聞きながら読破。公式から読書用環境BGMがもらえるって初めてでしたが、エモさを倍増させてくれて最高でした。
もし、追ってジャンプ公式youtubeチャンネルに動画が上がったら同じ読み方をしてもらいたいぐらい。
さすがに最終巻は踏み込んだ内容になっているので、どう感じるかは人それぞれだと思うんですけど、
これまでチェンソーマンという漫画自体が世間からよく言われてた「命が軽すぎる」ってことに尽きるなぁと個人的に感じました。
連載序盤からパワーが言っていたように「命は平等に軽い」し、コベニちゃんが言うように「ヤなことがない人生なんて」ないし、デンジみたいに「普通」の幸せ求めながらそれが最高だとも思えないし…なんか、そういう若者が抱える虚しさに強烈に刺さる漫画だったのかなぁと。
これまでスゲェ怖く見えたマキマさんとかも、誰一人例外なくみ~~んな平等に虚しい存在であることが逆に救いだったのかもしれません。
スゴく見えるマキマさんも、ショボく見えるコベニちゃんも、みんな虚しくて軽い。
だから、自分が虚しくて軽いことも仕方なくて当たり前で…生きていく理由なんか死ぬのが怖いから、ぐらいでいいのかなとか…。
これまでチェンソーマンや銃の悪魔やマキマさんを見て感じたような「恐怖」に突き動かされて生きるぐらいでもいいのかな~とか…。
あまりポジティブな意味ではないですが、不思議と読み終わった時に爽やかな気持ちになりました。
あと、これは漫画の内容に関係ない販売方法の話なのですが…予約受付開始直後にKindleで予約してたのに、配信が0時に間に合わず0時30分頃からいろんな人へバラバラに配信開始されました。
TwitterのTL見てると先に届いてる人やまだ届かないという人もいて、ネタバレ踏まないようにとりあえずネットから避難…。オンラインで事前予約しててもこういう差が生まれるのどうなんでしょうか…。
もし、追ってジャンプ公式youtubeチャンネルに動画が上がったら同じ読み方をしてもらいたいぐらい。
さすがに最終巻は踏み込んだ内容になっているので、どう感じるかは人それぞれだと思うんですけど、
これまでチェンソーマンという漫画自体が世間からよく言われてた「命が軽すぎる」ってことに尽きるなぁと個人的に感じました。
連載序盤からパワーが言っていたように「命は平等に軽い」し、コベニちゃんが言うように「ヤなことがない人生なんて」ないし、デンジみたいに「普通」の幸せ求めながらそれが最高だとも思えないし…なんか、そういう若者が抱える虚しさに強烈に刺さる漫画だったのかなぁと。
これまでスゲェ怖く見えたマキマさんとかも、誰一人例外なくみ~~んな平等に虚しい存在であることが逆に救いだったのかもしれません。
スゴく見えるマキマさんも、ショボく見えるコベニちゃんも、みんな虚しくて軽い。
だから、自分が虚しくて軽いことも仕方なくて当たり前で…生きていく理由なんか死ぬのが怖いから、ぐらいでいいのかなとか…。
これまでチェンソーマンや銃の悪魔やマキマさんを見て感じたような「恐怖」に突き動かされて生きるぐらいでもいいのかな~とか…。
あまりポジティブな意味ではないですが、不思議と読み終わった時に爽やかな気持ちになりました。
あと、これは漫画の内容に関係ない販売方法の話なのですが…予約受付開始直後にKindleで予約してたのに、配信が0時に間に合わず0時30分頃からいろんな人へバラバラに配信開始されました。
TwitterのTL見てると先に届いてる人やまだ届かないという人もいて、ネタバレ踏まないようにとりあえずネットから避難…。オンラインで事前予約しててもこういう差が生まれるのどうなんでしょうか…。
2021年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
11巻、読み返すと3時間かかりました。ちょうど一本の大作映画を観た気分です。
第1話から最終話まで物語の展開はジェットコースターのごとく目まぐるしく変わります。しかしその裏には 友達、恋人、家族への様々な形の愛というテーマが一貫して書かれていたのだと、この最終巻で改めて気付かされました。
20代にしてこの作品を生み出したタツキ先生とその才能を見出したジャンプ編集部には脱帽です。そして令和の日本のマンガの未来を引っ張ってくれると信じてます。がんばれタツキ先生!
第1話から最終話まで物語の展開はジェットコースターのごとく目まぐるしく変わります。しかしその裏には 友達、恋人、家族への様々な形の愛というテーマが一貫して書かれていたのだと、この最終巻で改めて気付かされました。
20代にしてこの作品を生み出したタツキ先生とその才能を見出したジャンプ編集部には脱帽です。そして令和の日本のマンガの未来を引っ張ってくれると信じてます。がんばれタツキ先生!
2021年3月4日に日本でレビュー済み
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この最終巻でのデンジの言動は奇天烈極まっており一つ一つを切り取れば全く常人が共感できるものではないんだけど、読んでいるこっちが彼の気持ちを解ってあげられて応援したくなるのはこれまで積み上げてきたプロセスが筋の通った素晴らしいものだからだと思う。
他の巻のレビューで作者をプロ棋士に喩えた人がいるけどまさにその通りで、読者の思考や感情を盤面に捉えて完全にコントロールして最終話でしっかりと詰ませた。
勿論理解出来なかった人やイマイチ納得出来ないひともいるだろうし相変わらず人を選ぶ漫画なんだけど、間違いなく漫画史に残る傑作!
他の巻のレビューで作者をプロ棋士に喩えた人がいるけどまさにその通りで、読者の思考や感情を盤面に捉えて完全にコントロールして最終話でしっかりと詰ませた。
勿論理解出来なかった人やイマイチ納得出来ないひともいるだろうし相変わらず人を選ぶ漫画なんだけど、間違いなく漫画史に残る傑作!