本は分厚い。が、ほとんどは紙の厚みである。紙がやたらと分厚い本だ。内容はかなり薄い。
著者の見識を疑うものではない。それなりに詳しいと思う。事実ダークウェブ(ディープウェブ)に関する知識は一般人のそれとは一線を画す。
がしかし、本の内容の大半が有名ディープウェブサイトの表層的な解説にとどまるうえ、「アメリカのインターネットはなぜ反体制的なのか」という欄をチラ読みすれば、ごくありきたりな考察が5ページ半ほどあるだけで、しかも筆者の独自見解でしかない。先行研究などが全く踏まえられていないか、踏まえられていたとしても出典が明記されていない。アメリカの反・ポリコレ、オルタナ右翼に関する考察は決定的に知識不足で、それを埋め合わせようとした形跡すらない。ウィキペディアの引き写しで得た知識ぐらいしかないのではないかと疑わされる。
あれやこれやを扱おうとして全てを書いていると紙幅が足りなくなる、これは理解できるものだが、それならいっそディープウェブの歴史だけを純粋に追うか、もしくは各ディープウェブの根底に流れる思想について体系的にまとめるか、このいずれかに焦点を絞った方が良かったのではないか。
古来よりネット住民は「サカキバラ」や「ネオ麦茶」などに的外れな考察を繰り返す”センモンカ”をとかくあざ笑っていたものである。著者のダークウェブに関する考察はけだしそのような嘲笑の対象であろう。ただ、ディープウェブ上に存在したサイトの紹介部分に関しては、まぁまぁ(表層的でごく一部しか紹介されていないということを除けば)悪くない。
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ダークウェブ・アンダーグラウンド 社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち 単行本(ソフトカバー) – 2019/1/17
購入を強化する
政府の監視も、グーグルのアルゴリズムも、企業によるターゲティングも、
さらには法律の手すらも及ばないインターネットの暗部=ダークウェブ。
「ネットの向こう側」の不道徳な領域を描き出す
ポスト・トゥルース時代のノンフィクション!!
知られざるインターネットの暗部――ダークウェブ。
その領域の住人たちは何よりも「自由」を追い求め、
不道徳な文化に耽溺しながら、「もう一つの別の世界」を夢想する。
本書ではアメリカ西海岸文化から生まれたインターネットの思想的背景を振り返りながら、
ダークウェブという舞台に現れたサイトや人物、そこで起きたドラマの数々を追う。
「自由」という理念が「オルタナ右翼」を筆頭とした反動的なイデオロギーと結びつき、
遂には「近代」という枠組みすら逸脱しようとするさまを描き出す。
【目次】
序章 もう一つの別の世界
分断されたインターネット
フィルターにコントロールされた「自由」
「唯一にして限界なき空間」
日本での議論
インターネットのもっとも奥深い領域
第1章 暗号通信というコンセプト
ダークウェブとは何か
イメージと実情
国家安全保障局との攻防
革新的な暗号化技術の誕生
「数学」というもっとも美しく純粋なシステムによる支配
第2章 ブラックマーケットの光と闇
「闇のAmazon」
「シルクロード」の革新性
思慮深きマーケットの支配者
DPR逮捕の内幕
インターネットの二面性
第3章 回遊する都市伝説
殺人請負サイトQ&A
顧客情報流出事件
人身売買オークション
スナッフ・ライブストリーミング
第4章 ペドファイルたちのコミュニティ
児童ポルノの爆発的な拡散
フィリピンのサイバー・セックス・ツーリズム
ハードコアな情報自由主義者
知識共有と意見交換
おとり捜査
その後の議論
補論1 思想をもたない日本のインターネット
根付かない「シェア」精神
アングラ・サブカルとしての消費
アメリカのインターネットが反体制的な理由
第5章 新反動主義の台頭
フェミニスト・セックス・ウォーズ
良識派への反発
哲学者、ニック・ランド
「人類絶滅後の世界」
拡散する実験、そして崩壊
暗黒啓蒙(ダーク・エンライトメント)
恋愛ヒエラルキーの形成と闘争領域の拡大
「男らしさ」に対する強迫観念
第6章 近代国家を超越する
既存のシステムからの脱出
排他性を孕む結論
ブロックチェーン上のコミュニティ
バーチャル国家が乱立する未来
補論2 現実を侵食するフィクション
冥界としてのサイバースペース
ロコのバジリスク
現実認識を変容させる
「ネタ」が本当に
さらには法律の手すらも及ばないインターネットの暗部=ダークウェブ。
「ネットの向こう側」の不道徳な領域を描き出す
ポスト・トゥルース時代のノンフィクション!!
知られざるインターネットの暗部――ダークウェブ。
その領域の住人たちは何よりも「自由」を追い求め、
不道徳な文化に耽溺しながら、「もう一つの別の世界」を夢想する。
本書ではアメリカ西海岸文化から生まれたインターネットの思想的背景を振り返りながら、
ダークウェブという舞台に現れたサイトや人物、そこで起きたドラマの数々を追う。
「自由」という理念が「オルタナ右翼」を筆頭とした反動的なイデオロギーと結びつき、
遂には「近代」という枠組みすら逸脱しようとするさまを描き出す。
【目次】
序章 もう一つの別の世界
分断されたインターネット
フィルターにコントロールされた「自由」
「唯一にして限界なき空間」
日本での議論
インターネットのもっとも奥深い領域
第1章 暗号通信というコンセプト
ダークウェブとは何か
イメージと実情
国家安全保障局との攻防
革新的な暗号化技術の誕生
「数学」というもっとも美しく純粋なシステムによる支配
第2章 ブラックマーケットの光と闇
「闇のAmazon」
「シルクロード」の革新性
思慮深きマーケットの支配者
DPR逮捕の内幕
インターネットの二面性
第3章 回遊する都市伝説
殺人請負サイトQ&A
顧客情報流出事件
人身売買オークション
スナッフ・ライブストリーミング
第4章 ペドファイルたちのコミュニティ
児童ポルノの爆発的な拡散
フィリピンのサイバー・セックス・ツーリズム
ハードコアな情報自由主義者
知識共有と意見交換
おとり捜査
その後の議論
補論1 思想をもたない日本のインターネット
根付かない「シェア」精神
アングラ・サブカルとしての消費
アメリカのインターネットが反体制的な理由
第5章 新反動主義の台頭
フェミニスト・セックス・ウォーズ
良識派への反発
哲学者、ニック・ランド
「人類絶滅後の世界」
拡散する実験、そして崩壊
暗黒啓蒙(ダーク・エンライトメント)
恋愛ヒエラルキーの形成と闘争領域の拡大
「男らしさ」に対する強迫観念
第6章 近代国家を超越する
既存のシステムからの脱出
排他性を孕む結論
ブロックチェーン上のコミュニティ
バーチャル国家が乱立する未来
補論2 現実を侵食するフィクション
冥界としてのサイバースペース
ロコのバジリスク
現実認識を変容させる
「ネタ」が本当に
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社イースト・プレス
- 発売日2019/1/17
- 寸法12.8 x 2.3 x 18.8 cm
- ISBN-104781617417
- ISBN-13978-4781617411
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出版社より

サイバースペースが幻視する、不穏すぎる自由――ダークウェブとは、通常と異なる手段によってしかアクセスできないインターネット上の特定の領域を指す。特殊な技術によりアクセスした者の身元を秘匿化することができるので、方の手が及ばない形であらゆるアウトローな悪徳が営まれている。(本文より)
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「ネットの向こう側」に広がるアンモラルな領域を克明に描き出した新時代のノンフィクション!!
著者について
木澤佐登志(Satoshi Kizawa)
1988年生まれ。中央大学経済学部国際経済学科卒。ブロガー、文筆家。
インターネット文化、思想など複数の領域に跨った執筆活動を行う。
サブカルチャー批評ZINE『Merca』などに寄稿。
また、kzwmn名義で『シックスサマナ』にて「ダークウェブの歩き方」を連載。
1988年生まれ。中央大学経済学部国際経済学科卒。ブロガー、文筆家。
インターネット文化、思想など複数の領域に跨った執筆活動を行う。
サブカルチャー批評ZINE『Merca』などに寄稿。
また、kzwmn名義で『シックスサマナ』にて「ダークウェブの歩き方」を連載。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
木澤/佐登志
1988年生まれ。中央大学経済学部国際経済学科卒。ブロガー、文筆家。インターネット文化、思想など複数の領域に跨った執筆活動を行う。kzwmn名義で『シックスサマナ』にて「ダークウェブの歩き方」を連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1988年生まれ。中央大学経済学部国際経済学科卒。ブロガー、文筆家。インターネット文化、思想など複数の領域に跨った執筆活動を行う。kzwmn名義で『シックスサマナ』にて「ダークウェブの歩き方」を連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : イースト・プレス (2019/1/17)
- 発売日 : 2019/1/17
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 272ページ
- ISBN-10 : 4781617417
- ISBN-13 : 978-4781617411
- 寸法 : 12.8 x 2.3 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 156,704位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 142位情報社会
- - 16,247位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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VINEメンバー
Amazonで購入
117人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
確かに書籍の分厚さの割には内容が表層的という批判はあり得る。しかし、この手の書物(とくにインターネットという、際限のない範囲を対象にした!)で深く論ずることは殆ど不可能であろうし、著者の木澤氏もそれを望み、或いは標榜してはいないだろう。むしろ、この本は、とりとめのない、或いは文字通り深淵であろうダークウェブが関わる近現代の諸相を概括的かつ端的にイントロデュースするものと見るべきだと思う(この本を読んで興味が湧いた読者は、引用された関連書籍(URLを起点にするも良し)を十分に引くことができる)。
内容については、ニックランドやロコのバジリスクといった木澤氏のエントリにあるものから、最近話題のVTuberまで極めて広範囲に亘る。
参考文献の数は決して充実しているとは言えず、また出典がない箇所も多々ある(確かにその性質上出典を明示するのが難しいものもあるが……)ため、学究的書物としての価値は分からないが、読み物としては十分に面白い。この評価もあくまで読み物としての評価である。
内容については、ニックランドやロコのバジリスクといった木澤氏のエントリにあるものから、最近話題のVTuberまで極めて広範囲に亘る。
参考文献の数は決して充実しているとは言えず、また出典がない箇所も多々ある(確かにその性質上出典を明示するのが難しいものもあるが……)ため、学究的書物としての価値は分からないが、読み物としては十分に面白い。この評価もあくまで読み物としての評価である。
2019年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ダークウェブのサイトや、そのサイトが閉鎖するに至ったあらましは参考になるが、所々挟まる筆者の見解が邪魔。特に「補論1 思想をもたない日本のインターネット」はあまりに状況が限定された事例(ふるさと in tor)ひとつだけを根拠に日本のインターネットにはなぜ「シェア」の文化が根付かないのかという問いを立てようとしているが、読者からすればあまりにも性急すぎる議論のように感じる。「補論2 現実を侵食するフィクション」は読み物としては面白いものの、本文のなにを補っているのかはわからない。本文と補論は別々の本として出版したほうがよかったのではないか。
本文に書くべきような内容を平気で注釈として書いていたりする。非常に読みづらく、筆者の趣味を語りたいときにだけ筆が進んでいるさまが見て取れる。
追記:
筆者は新しく本を出したそうだ。それを見ると、結局筆者にとって重点を置きたかったトピックはTorネットワーク内で繰り広げられるノンフィクションではなく、それを観察した経験から得られた自身の主義・思想だったのではないかと思えてくる。
ようするにブルース・スターリングやジョン・マルコフ、スティーブン・レヴィが書くようなノンフィクションを期待してはいけない。これはそういう本ではない。
本文に書くべきような内容を平気で注釈として書いていたりする。非常に読みづらく、筆者の趣味を語りたいときにだけ筆が進んでいるさまが見て取れる。
追記:
筆者は新しく本を出したそうだ。それを見ると、結局筆者にとって重点を置きたかったトピックはTorネットワーク内で繰り広げられるノンフィクションではなく、それを観察した経験から得られた自身の主義・思想だったのではないかと思えてくる。
ようするにブルース・スターリングやジョン・マルコフ、スティーブン・レヴィが書くようなノンフィクションを期待してはいけない。これはそういう本ではない。
2019年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
トランプを支えているのはラストベルトのプア・ホワイトだけではないよ、という優れた解説書。企業のCEOが啓蒙専制君主のように独裁によって資本主義を加速させてシンギュラリティを実現させるという「加速主義」なる思想があるそうで、トランプさんや習近平さんのお顔が浮かびます。これになぜか、日本のアニメを思わせる、少女趣味、非モテの怨念、ポスト・アポカリプス、技術者の選民思想等なんかが習合して、もうドロドロである。病んでるな〜というのが正直なところだし、中二病とどこが違うのかとも感じる。トランプの背景にはもっと大人の思惑があるのではとも思うが、バノンさんなんかがブレーンだったしなあ。
2019年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
USにおけるインターネットの根底に流れる思想史として面白く読んだ。
本来なら水と油のはずのオルタナ右翼とネオリベ的な価値観の奇妙な接続や、昨今の大麻合法化の流れ、単なる60年代回帰にも見える宇宙開発の背景などについて何故こうなってしまったのかを窺い知れて、非常に興味深く読んだり、暗澹たる気分になったりした。
ダークウェブについてというよりは、ワールドワイドウェブの暗部について、もしくは、ウェブを通じた人間の暗部についての本という印象を受けた。
本来なら水と油のはずのオルタナ右翼とネオリベ的な価値観の奇妙な接続や、昨今の大麻合法化の流れ、単なる60年代回帰にも見える宇宙開発の背景などについて何故こうなってしまったのかを窺い知れて、非常に興味深く読んだり、暗澹たる気分になったりした。
ダークウェブについてというよりは、ワールドワイドウェブの暗部について、もしくは、ウェブを通じた人間の暗部についての本という印象を受けた。
2019年4月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ダークウェブに関することが色々書かれているのかと思い、読みはじめましたが内容はそれにとどまらず、暗号技術のことや、オルタナ右翼や新反動主義、ブロックチェーンに関することなど多くのことを知ることができ、大満足の一冊でした。
特に印象に残ったのは、フィルタリングされた「バブル」の話と、公開鍵暗号方式の話、ダークウェブの背景にある「思想」の話、
voice とexitの話でした。
サンプルだけでも結構読むことができるので、気になる方は是非読んでみて下さい。
特に印象に残ったのは、フィルタリングされた「バブル」の話と、公開鍵暗号方式の話、ダークウェブの背景にある「思想」の話、
voice とexitの話でした。
サンプルだけでも結構読むことができるので、気になる方は是非読んでみて下さい。