ヘブンリーで豊潤な美のメロディーを奏でる吟遊詩人。20世紀が生んだブラジリアン音楽界の偉大なる生ける巨匠(マエストロ) トニーニョ・オルタ。
即興性から生み出される神懸り的・奇跡的な極美の音空間。型といった制約を感じさせない自由自在で、軽やかに駆け巡るメロディーライン。天から囁くような、寛ぎと透明感溢れる優しい歌声とスキャット。そのメロディーセンスの非凡さ、斬新さ、美しさには、超越的な感性を感じさせる。丹念に熟成された年代物のボルドー産5つ星極上フルボディ赤ワインの味わい、感動といった趣きがある。途轍もないほどに雄大で、大自然の息吹に満ち溢れており、斬新性、即興性、歓喜、パッション、豊潤さ、癒し、透明感、静謐感、楽園感、リゾート感、光、色彩が溢れたその音楽は、聴く者をうっとりと陶酔させ、どこまでも続く未体験の歓喜のパラダイスへと誘う。こんなにも美しい音の世界があったのかと、驚嘆せざるを得ないだろう。
特に、このDiamond LandやMoonstoneといったアルバムは、トニーニョ・オルタの非凡で美しい音の世界観に、超ハイセンスなフュージョンの味付けがなされており、私的には、トニーニョ・オルタの最高傑作であると認識している。彩りや透明感、スケール感を大幅にパワーアップさせることで、トニーニョ・オルタの極美の世界観が、一層際立っている。Diamond LandではLuisa、Ballad For Zawinfulが、MoonstoneではEternal Youth、Liana、Spirit Landなどが、特にお薦めのナンバーではあるが、2つのアルバム全般を通じて、駄作というものは見当たらない。ヴァカンスやリラクゼーションを演出する超極上の音楽として、寛ぎの空間や(海岸線や高原のワインディングロードといった)大自然の中などで、是非楽しんで頂きたい。なお同系統の音楽作品として、トニーニョ・オルタと、彼の長年の音楽上のパートナーであるジャック・リーとの、デュオ・アルバムFrom Belo to Seoulがある。特にGaia、Time Wonderer、Entardecerといったナンバーは、Moonstoneの姉妹作品のような趣きがあり、こちらもお薦めである。