※前半は2015年6月発売第一作blu-rayのレビュー、後半はT2日本語吹替完全版のレビューです。
初めて観たときの衝撃は忘れられない。ジェームス・キャメロンとアーノルド・シュワルツネッガーの映画の既成概念に対する破壊力は想像を絶していた。CGが産声を上げる前の当時、昔ながらのストップ・モーションアニメと疑似マスクの特撮技術だけで、これ程のリアルな近未来SFを制作したのだから驚愕ものだった。その製作費は驚くなかれ640万ドルと凡そ7-8億円なのだ。
しかもストーリーが実に革新的で秀逸。未来のAI機械と人類の覇権戦争、片道切符のタイムスリップで送り込まれたアンドロイドの殺し屋と人間の護衛戦士との未来を賭けた闘い、そしてヒロインの劇的な愛と運命。こんなに手の込んだシナリオはそれまで観たことがなかった。
ターミネーターの無機質な恐怖、カイル・リースの不退転な殉教精神、サラ・コナーの闘う母性の覚醒、彼らを完璧に演じきった配役が先ず凄い。特にマイケル・ビーンの虚ろな視線と渇いた表情は悲哀を誘い、研ぎ澄まされた使命感とサラとの片時の触れあいには何度観ても感情移入してしまう。只でさえ圧倒的なシュワルツネッガーの存在感に負けない抜群の好演。リンダ・ハミルトンも前後半で幅のある役を健気に演じ、トリプル主役とも言える本作の奥行きに貢献した。
期待を裏切らないスリリングなシナリオ、主人公達の精神的孤立感を際立たせる設定、メカニカルがリアルなアンドロイド造形、嵌まり過ぎのテーマ音楽。その全てが完璧であれば、もはや低予算B級映画ではなく時代を拓いた傑作以外の何者でもない。
娯楽とすれば間違いなくT2も絶品だが、この第一作の独創性は別格であり、これからも永遠に色褪せないだろう。映画の可能性は資金じゃないと教えてくれる典型作を100%楽しめるblu-rayは、画質も吹替も大満足の逸品です。
T2は言わずと知れたシリーズNo.1興行収入の大ヒット作。シュワルツネッガーが前作の悪役から一転、正義の味方となりパワーとコミカルさを併せ持つユニークで画期的なHERO像を生んだ。ハーレーとショットガンの組合せが抜群に格好良く、キメ台詞のおまけ付きで話題に事欠かない。敵役のT2000もまたクールで頭脳的な印象を放ち、サラの逞しい変貌ぶりを含めて隙の無いシナリオには脱帽だ。
でも一番の見所はターミネーターの驚くべき父性だろう。サラが語る理想の父親と錯覚するシーンは、面白くもあり怖くもある本シリーズ最大の鍵を握るテーマだ。常識的で感情任せに無駄を語らないターミネーターは、純粋な役割・機能として観たら完璧な父親と言うカタルシスこそ本作の持つ真骨頂だと思う。似たテイストのカート・ラッセル主演の「ソルジャー」も併せてお奨め。鮮明画質と待望の日本語吹替に此方も大満足のblu-rayです。