ハーバード大学の学生名簿から始まった Facebook の誕生と発展が、マーク・ザッカーバーグのかつての学友たちとの示談交渉と並行して描き出されます。ザッカーバーグはニューヨーク育ちのボンボンで、Facebook 以前からいくつかウェブ上のサービスを立ち上げていました。しかしそこは世界の俊英が集まるハーバード、ノーベル賞受賞者や候補者だって珍しくない。プログラミングの腕が少しばかりあるという程度では「その他大勢」の1人なんですね。 Facebook を立ち上げる以前、ザッカーバーグもまた「その他大勢」だったわけです。
映画はザッカーバーグと恋人のエリカの飲み屋での会話ではじまりますが、この会話がよく出来てる。頭はキレるが思ったことをすぐ口に出し、相手の感情などお構いなしのザッカーバーグのキャラクターが示されると同時に、ハーバードのファイナルクラブ(学生間の社交団体みたいなもの)をめぐる会話を通じて、ハーバードの閉鎖的エリート主義の特徴も明らかになっていきます。
よく言われることですが、アメリカは日本とは比較にならないほどの学歴社会です。ハーバードが自分と対等と認めるのは MIT など、いわゆるアイビー・リーグくらいのもので、エリカが通うボストン大学など大学のうちにも入らない。ザッカーバーグはそういうのを口に出して言ってしまうんですね。しかも悪気ゼロ。とんだサイコ野郎じゃねえかよ。実際のザッカーバーグは学生時代からもっと社交的だったらしいですが、この映画の冒頭では徹底的に「感じ悪いコンピューターオタク」として描かれます。
「あんたが女の子にモテないのはオタクだからじゃない、性格が最悪だからよ!」
その場でエリカにフラれるザッカーバーグ。許せねえ……。学生寮に帰った彼は自らのブログを更新、エリカに関する下品な悪口をウェブに並べ立てます。そしてその場の勢いでルームメイトたちと共に「フェイスマッシュ」というウェブサイトを作り、女子の顔面偏差値ランキングを公開しちゃうんですね。悪趣味大魔王かよ……。ところがお上品なエリート諸君も中身はゲスなんでしょうか、あっと言う間にアクセスが殺到、わずか 4 時間で大学のサーバーが落ちてしまいます。
この騒ぎでザッカーバーグは大学の理事会から呼び出しと停学をくらってしまうのですが、この事件でザッカーバーグに目をつけた学生たちがいました。それがボート部に所属する双子のウィンクルボス兄弟と、インド系のナレンドラです。3 人は学生クラブ「フェニックス」に所属するエリート。スクールカースト上位感がやべえ……。彼らはザッカーバーグに、ハーバードの学生専用交流サイトを作らないかと持ちかけます。
「女の子たちはハーバードの男子と出会いたいだろう?」
鼻持ちならない思い上がり……。しかしザッカーバーグはふたつ返事で引受けます。やや鼻白む 3 人。しかし彼らはまだザッカーバーグをなめていました。「こんなヒョロガリのパソコンオタクなんざどうとでもできる」と侮っている感じが会話からもよく分かります。
しかしこれにヒントを得たザッカーバーグ、部屋に籠もってサイト開発に熱中します。ウィンクルボスやナレンドラから進捗を聞くメールが届きますが、適当に返事してまた作業。いつの間にやらハーバード学生限定の承認制サイトは拡大し、他大学も巻き込み、そして瞬く間に全米に広がっていきます。ウィンクルボス兄弟とナレンドラは「アイデアをパクられた!」と騒ぎますが、もう後の祭り。自分を下に見てたリア充をガツガツと踏み台にしていくザッカーバーグ。がんばれマーク超がんばれ! 応援せずにはいられない。
かつて共に「フェイスマッシュ」をたち上げた親友エドゥアルド・サベリンの資金を元手に事業を拡大するザッカーバーグ。しかし金と友情は両立しないもの。また、新たなビジネス・パートナーであるショーン・パーカーの出現で、サベリンの居場所はどんどんなくなっていきます。最終的にザッカーバーグはサベリンと決裂。彼は唯一の親友を失い、逆に提訴されることになります。
ラストのシーン、示談交渉後の会議室で元カノのエリカの Facebook ページをぼんやりと見つめるザッカーバーグ。その姿はなんとも言えない気分にさせられます。切なさ半分、でもやっぱりキモいの半分……。ザッカーバーグはエリカに友人申請を送り、ひたすら F5 キーを押してブラウザを更新します。しかし返事なし……。エリカはザッカーバーグが有名になってからも決して彼に接触してきませんでした。完全に彼女にとっての黒歴史なんですね。たぶん返事は永遠に来ないでしょう。
富も地位も名誉も手に入れたが、恋だけは手に入らなかった……。Facebook のサクセス・ストーリーの方に目が引かれてしまいますが、青年期の熱狂とその後の苦い現実を描いている点で、本作は典型的な青春映画とも言えます。必見。
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