忍者をよく表したゲームシステムは、とっつきにくくはあるものの大変面白いです。
ただし、イベントがあまりにも少なく感じるので、価格相応の満足を得ることはできないでしょう。
本作の忍者は、裏でこそこそやる忍者の基本型に忠実で、ゲーム内容は見事にそれを再現しています。
基本は「調査」で、あとは「支援」か「邪魔」。破壊工作などの直接的な行動もありますが、
ほとんどの行動は裏方的な行動です。それゆえ、地味でかつわかりにくくもあるのですが、
コツを掴めば、複数の大名家と複数の忍衆を裏からひっそり操っている感覚が味わえます。
大名を支援しつつ裏では邪魔をする、複数の大名におべっかを使うなどの腹黒行動がとれて、
いかにも忍者っぽいプレイが出来るため、その点ではとても良いシステムだと思います。
ただし、今作はイベントがあまりにも少ないため、おそらくすぐに飽きてしまうでしょう。
まともなイベントのある勢力は全体の1割程度、ほとんどの勢力はモブキャラ同然の扱いで、
大名にいたっては、久留滝家を除けばイベントどころかセリフも顔グラフィックも存在しません。
さらに、イベントのある勢力とのイベントの8割は普通にゲームを進めればほぼ全自動で進んでしまうため、
イベントを起こす楽しみが全くありません。同メーカーのゲームとしてはかなり致命的だと思います。
一言で言えば「面白いけどイベントの絶対量が不足していてすぐ飽きる」です。
もっと膨大なイベントが用意されていれば名作になりえましたし、
せめて各大名にもうすこし個性があるだけでもずいぶん評価は違ってきたと思います。
その意味で大変残念な作品ではあります。