本書は開発者やマネージャーを対象として、ソフトウェア見積りの正確性を上げるため、およびプロジェクトの特性を見積もるために有益なアドバイスを提供する。
例えば、以下のような内容。
■見積りとは: 「見積り」と「ターゲット」と「コミットメント」は別。
「ターゲット」は、実現したいビジネス上の目標を明文化したもの(例:年末までにVer.1をリリース)。
「コミットメント」は、定義された機能を、特定の品質レベルを確保しながら期日までに納品するという約束。
「見積り」は、期間やコストを予測することだが、開発に影響を与える要素とコントロールとの間の相互作用として変わり得るもの。
これを念頭に置き、見積りを求められたときには、実際に見積りを行うのか、ターゲットの達成方法を尋ねられているのかを判断することが重要。
■良い見積り: プロジェクトの責任者がプロジェクトのターゲットを達成するためのコントロールを行ううえで、適正な意思決定ができる明確な視点を提供する見積り。
■見積りの基本: 数えられるものは、まず数える。数えた結果は、専門家の判断によって調整すべきではない。
過去のデータを使用するときは、次のプロジェクトと前のプロジェクトが同じように進むことを前提とする(生産性の改善を期待しない)。
タスクレベルで見積もる場合は、長くても2日程度のタスクに分解する。
最良ケースと最悪ケースの見積りを作成し、最初の1点見積りがその範囲に含まれるか確認する(他にも最良/最悪を使う手法がある)。
■見積り誤差の要因と対策:
①プロジェクト自身に関する不正確さ
②プロジェクトを遂行する組織の能力に関する不正確さ
③プロジェクト内の混乱、ターゲットの変更
④見積りプロセス自体の不正確さ
誤差を減らすことは、プロジェクト内のばらつきを減らすことであり、それには各フェーズにおいて、する/しないことのコミットメントが必要である。
要求の増大による影響が大きいならば、見積りではなくプロジェクトコントロールによる対策が望ましい。
■過小見積りの悪影響: 計画の有効性の減少、後工程の品質問題、遅延した場合の想定外のアクティビティによる悪循環、等々。過小見積りは、過大見積りよりも深刻な問題を齎す。
当初読み始めたときは即効性を求めて具体的な見積り技法を期待して読んだ。
実際、様々な技法をどのように使うかも記載されているが、それ以上に、根本的なことに説明している箇所が参考になった。
例えば、数えられるものは数える、見積りは点ではなく幅である、見積りを正確に行う前に見積りを多くする(過小見積りを避ける)など。
会社としてのやり方に左右される部分もあるため、全て取り入れるのは難しいが、これらのことを意識して見積もりを行う態度がエンジニアに必要だと感じた。
開発見積りを行う人であれば誰にでもお勧めしたい。
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