犬と暮らすこと、そして避けられぬ別れを体験すること、その辛さが石に刻まれているほど強く記憶されているにもかかわらず、また犬と暮らす道を選ぶ。犬と真剣に暮らした方は、表現は違えど、同じような体験をしていると思います。そんな犬を愛する人が読むと、自らの体験がフラッシュバックして、涙無しには読めない作品が本作だと思います。
筆者は、歌舞伎町の裏社会を凄絶に描いた作品等で有名な馳星周氏。氏のこれまでの作品と較べて余りにも毛色の違う本作が、どのようなものか読んでみる前は想像できませんでした。が、実際に読んでみて、氏の犬への愛情が良く伝わってくる作品で、最初に感じた懸念は的外れでした。まさに題名となっている「ソウルメイト」という言葉が、それを表していました。
何か非常に好戦的なことを書いておられる方もいらっしゃるようですが、どのような犬でも適切な愛情や世話がなければ程度の差はあれ凶暴化もするでしょうし、問題行動も増えるでしょう。犬種によっては、遺伝性の病気が多い犬種もあります。しかし、愛情を持って犬と暮らす人、犬をソウルメイトと考える人は、そういった問題を乗り越えていると思いますし、そういう人は少なくとも、犬を"飼育する"という感覚ではないのだと思います。
ソウルメイト (日本語) 単行本 – 2013/6/5
馳 星周
(著)
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本の長さ320ページ
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言語日本語
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出版社集英社
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発売日2013/6/5
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ISBN-104087715159
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ISBN-13978-4087715156
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
言葉は交わせない。ずっと一緒にもいられない。そんなのわかってる。だからこそ、一瞬が愛おしい。余命がわずかだと知らされた「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」。被災地・福島に母の遺した犬を捜しに行く「柴」ほか「チワワ」「ボルゾイ」「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」「ジャーマン・シェパード・ドッグ」「ジャック・ラッセル・テリア」たちが登場する、情感に満ちた全7編。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
馳/星周
1965年2月18日、北海道生まれ。96年、書き下ろし長編『不夜城』でデビュー。97年、同作で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌―不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大薮春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1965年2月18日、北海道生まれ。96年、書き下ろし長編『不夜城』でデビュー。97年、同作で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌―不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大薮春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2013/6/5)
- 発売日 : 2013/6/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 320ページ
- ISBN-10 : 4087715159
- ISBN-13 : 978-4087715156
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 273,684位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 8,637位日本文学
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
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2020年11月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
直木賞受賞作が評判なので、以前出版された同一テーマと思われるこの本を。
犬に対する飼い主の立ち位置、ひと昔のように「オレがご主人様」じゃなくて、互いに信頼しあい助け合い慰め合うパート―ナ―としている。魂の伴侶とはそういうことだろう。たとえ先に寿命が尽きる愛犬であっても・・・。「犬の十戒」は作者不詳だそうだが、訴えていることはやはり作者不明の「千の風になって」に通じるものがありそう。
雑誌初出が2011四月号、なら発売は三月か。そう東日本大震災のとき。あの時さかんに「絆」って言われたよな。そこから連作が続いたのか。
絆って言うけど人間関係ってめんどうくさい。空気を読んだり相手に妥協したり。最近の若い人は「一人の方がうざったくなくていい」と思う傾向が強いと聞く。だけどほんとにひとりだと淋しい。そのすき間を埋めてくれるのが「絆で結ばれた信頼のソウルメイト」ってことなのか。
最後を除いて第三者視点で書かれている。やはり最終話が感動が強い。愛犬の最期を看取る「わたし」、やはり作者の実体験からかな。あとはちょっと理想化みたい。で、ちょっとよわい。
この本、犬好きの人には「そうそう」と共感してもらえそうだけど、犬嫌いの人を「そうなのか」と変える力は不足している――のかな。
犬に対する飼い主の立ち位置、ひと昔のように「オレがご主人様」じゃなくて、互いに信頼しあい助け合い慰め合うパート―ナ―としている。魂の伴侶とはそういうことだろう。たとえ先に寿命が尽きる愛犬であっても・・・。「犬の十戒」は作者不詳だそうだが、訴えていることはやはり作者不明の「千の風になって」に通じるものがありそう。
雑誌初出が2011四月号、なら発売は三月か。そう東日本大震災のとき。あの時さかんに「絆」って言われたよな。そこから連作が続いたのか。
絆って言うけど人間関係ってめんどうくさい。空気を読んだり相手に妥協したり。最近の若い人は「一人の方がうざったくなくていい」と思う傾向が強いと聞く。だけどほんとにひとりだと淋しい。そのすき間を埋めてくれるのが「絆で結ばれた信頼のソウルメイト」ってことなのか。
最後を除いて第三者視点で書かれている。やはり最終話が感動が強い。愛犬の最期を看取る「わたし」、やはり作者の実体験からかな。あとはちょっと理想化みたい。で、ちょっとよわい。
この本、犬好きの人には「そうそう」と共感してもらえそうだけど、犬嫌いの人を「そうなのか」と変える力は不足している――のかな。
2015年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
家族で初めて犬を、それも大型犬を飼うことになり、正直憂鬱な時に読んだ小説でした。
元々動物が好きではなかったので、「なぜ犬を…」と思っていましたが、飼うからにはしっかり育てようと思い様々な犬のしつけや飼育の本を読んでいる時に出会いました。犬を情緒面から理解できる素敵な小説です。本当に読んでよかったです。
人間と犬の関係、犬の気持ち(もちろん想像でしかありませんが)、犬と接する人間の心持ちのようなものを少しだけ理解でき、またこれからさらに理解していこうという前向きな気持ちになれました。
今では犬といる幸せがわかるようになりました。シーザーミランの本もいいけれど、日本人にはこちらがお薦めだと思います。
元々動物が好きではなかったので、「なぜ犬を…」と思っていましたが、飼うからにはしっかり育てようと思い様々な犬のしつけや飼育の本を読んでいる時に出会いました。犬を情緒面から理解できる素敵な小説です。本当に読んでよかったです。
人間と犬の関係、犬の気持ち(もちろん想像でしかありませんが)、犬と接する人間の心持ちのようなものを少しだけ理解でき、またこれからさらに理解していこうという前向きな気持ちになれました。
今では犬といる幸せがわかるようになりました。シーザーミランの本もいいけれど、日本人にはこちらがお薦めだと思います。