冒頭の"Black And White" は、彼らが獲得した3曲の全米No.1のうちの最後の1曲で、欧米では大きなテーマである人種問題を採り上げた曲。我々日本人にはいまいちピンと来ないテーマだが、キャッチーな曲調と当時の彼らの勢いで、日本でも大ヒットとなった。後に、ポール・マッカートニーが "Ebony And Ivory" で同じテーマを採り上げるが、この曲が念頭にあったであろうことは想像に難くない。
しかし、本作、その "Black And White" 以外は全体的に地味。ひいき目に見ても、ピークを過ぎた感があるのは否めない。
ただ、そんな中でも、ニューオーリンズの重鎮アラン・トゥーサン作の9 "Freedom For The Stallion" は秀逸。葬列の行進を思わせるスネアのリズムに乗って、ジミー・グリーンスプーンのディープなピアノが響いてくると、もう完全に夕暮れ時の南部の雰囲気。そこにダニー・ハットンの抑制の効いた男性的なヴォーカルが熱く、しかし深く静かに、抒情的なメロディーを歌い上げていく。私にとっての本作は、この曲と2のランディー・ニューマン作 "My Old Kentucky Home" のためにあると言っていい。この2も、KFC(ケンタッキー・フライドチキン)のCMでもおなじみのスティーヴン・フォスターの同名曲のメロディーを引用し、終盤には "Will The Circle Be Unbroken" のメロディーを織り込んだアレンジを施した、地味ながら味わい深い作品。