ディックとヴォネガットはともにSF的な設定をメタファーにして私小説的自己表現をした作家とされるが、私は前者のほうが好きだった。喩えるなら、ディックはロックスターでヴォネガットは仙人だ。ヴォネガットの達観しすぎな感じがいまひとつ苦手だった。『スローターハウス5』も映画版のほうが良かった。
でも、これはいい。ただ、本作ではミドルネームのエピソードで語られたが、『猫のゆりかご』のボコノン教などにも顕れていた「愛し合えない僕らがどうやったら愛し合えるようになるのだろう」みたいな問題意識は、いただけない。それより姉との私的な関係を描いてるところがイイ。
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