SFと言っていいのか微妙なところだけど、ウィリアム・ギブスンの最新作の翻訳は、小説としても、かなり面白い。
英語版を読んだ時もそうだったんだけど、後半は一気に読ませる。
ストーリーとしては、3つの視点が交互に変わり、最後に一つにまとまるという形で進んでいくが、何かサスペンス映画を見てるような展開だ。
『ニューロマンサー』のように決して未来を描いているのではないが、ギブスンの時代を見る目、社会批判の意識は変わっていない。というか、むしろ、前作『パターン・リコグニション』から先鋭化しているように思う。
9・11以降のアメリカ作家(ギブスンはカナダに住んでいるとのことだが)ならではということか。
それは、
「あなたがたはテロリストを恐れるあまり、アメリカをいまのような大国にした構造を破壊するつもりですか?」
という登場人物の言葉にも現れている。
次作が楽しみだが、遅筆なだけにまた何年か待たされるのだろうな。そのとき、世界はどのように変わっていて、ギブスンはどのように描くのだろう。
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