タイトルがSTRATEGY RULES、表紙が3人の偉大なIT企業経営者、
紹介に踊る「共通したベストプラクティスとは?」との言葉、
何か戦略上のノウハウが分かり易く詰まっていると感じさせるが、内容は少々異なる。
目次を挙げると
戦略の達人はいかにしてつくられたか
戦略のルールをマスターする
3人のマスター・ストラテジスト
本書の構成
第一章 未来のビジョンを描き、逆算して今何をすべきかを導き出す
ゲーム理論とチェスのアナロジー
未来を予測する-未来のビジョンから開始する
今すべき行動を導き出す-境界線と優先度を設定する
未来を予測する-顧客のニーズを先取りする
今すべき行動を導き出す-ニーズとケイパビリティを一致させる
未来を予測する-競合他社の動向を読む
今すべき行動を導き出す-参入障壁の構築と顧客の囲い込み
未来を予測する-戦略的な変曲点を予測する
今すべき行動を導き出す-変化にコミットし、道を外れない
マスター・ステラテジストの教え-この章のまとめ
第二章 会社を危険にさらすことなく、大きな賭けをする
ゲームを変える大きな賭けに出る
会社を存続の危機にさらさない
自社の事業を共食いする(カニバリゼーション)
損失をカットする
マスター・ストラテジストの教え-この章のまとめ
第三章 製品だけでなく、プラットフォームとエコシステムを構築する
業界プラットフォームのダイナミクス
製品だけでなく、プラットフォームについても考える
プラットフォームだけではなく、エコシステムについても考える
自ら補完製品をつくる
プラットフォームの改善と新規構築によって陳腐化を避ける
マスター・ストラテジストの教え-この章のまとめ
第四章 パワーとレバレッジを活用する-柔道と相撲の戦術
目立たないようにする
敵を近くに保つ
競合他社の強みを取り込み、拡張する
力に物を言わせることを恐れない
マスター・ストラテジストの教え-この章のまとめ
第五章 個人的な強み(パーソナル・アンカー)を核にして組織をつくる
ありのままの自分を知る
厳選した対象の細部に注目する
大局を見失わない
「知識」を持つ人に力を与える
マスター・ストラテジストの教え-この章のまとめ
終章 次世代への教訓
新たな世代
5つのルールを超えて
印象として、最初に3人が並んで撮った写真が起点となり、少々強引に共通点を
まとめ、ノウハウが詰まっていると思わせるようなまとめ方をした本。
例えば第二章の、「会社を危険にさらすことなく、大きな賭けをする」など、3社(者)とも
散々大きな賭けをしているので、章立ての階層、タイトルからして矛盾してるよね、と感じる。
まとまりや整合性を求める人(=依頼心が強く、クリティカルシンキングが苦手な人)には
向かない本である。もしかしたら翻訳の問題なのかな?
有用な内容としては、敢えて森-木-枝葉のような分かり易いがポイントの掴みづらい
丸めたまとめ方をしておらず、内部情報(許可を取っての転載である)や3人の時々の発言などが
そのままそこここにちりばめられていて、臨場感を持って関連内容が理解できる事。
例えば
71頁、89頁、150頁、272頁のインテル社内向けプレゼン資料のチャートや言葉、
各章でのジョブズやゲイツ、グローブの刺激的な発言など。
商品の説明での内容紹介は「売らんかな」のコピーで実態を正確に表していないので飛ばすとして、
めずらしく
◇推薦のことば◇の4人の記した言葉が内容をよく表していてしっくりくる。
ここにピンときたら買いである。
苦言を呈すると
校正が甘すぎ。これだから小さい出版社はダメである。折角の良著のイメージ、内容の正当性を
棄損している。
初っ端、22頁のチャートの金額と本文の該当記述金額があっていない。
アンディ・グローブCEO最後の年の100億ドルは、営業利益(チャート)なの?売上(本文)なの?
スティーブ・ジョブズがアップルに復帰した年の赤字は4,300億ドル(本文)?4億300万ドル(チャート)?
ビジョンのコントール(65頁)って、コントロールでしょ。コントールじゃ抗不安剤だよ?
他にもこういった間違いが散見される。
考えれば分かるので良いが、一事が万事。数字を掲載するのは正確性や正当性を担保する
象徴としての意味合いなのに、これはないよね。
ま、そういったところを差し引いても、価格(1,836円)に見合う有用な内容である事は間違いないが
タイトル含む売り込みの触れ込みと中身の整合性が今一歩なので☆-2で。
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