この作品は楽器や歌に耳を傾けて、雰囲気で聴くにしても良質な作品だと思う。
確かにアナログとデジタルのバランス、音の作りも派手過ぎず、素朴過ぎる事も無い。
隙間に吹く風のような空気感もとても世界観にマッチしてて、トーマスドルビーは良いプロデュースをしてると思うけど、やはり曲そのものもとても良い。
歌詞カードを追いながら曲を聴いているとたまに込み上げてきて涙が溢れてしまう時がある。
静かなエモーショナルがここにあって、何かもう戻ってこないような、特別な時、自分の過去や、どこかで誰かから聞いたストーリー、別れ等、淡く滲んだ記憶の様なものが心に浮かんでくるわけです。
それが懐かしむのでも無く、過ぎ去ったものも含めてステレオの前で『今』鳴っている感覚。
自分はこの作品が出た時、リアルタイムで聴いた訳ではないし、生まれてもいないんだけど、何かどこかで感じた事があるように感じるし、体験した事があるように思う。
そう感じるって事はこの音や言葉は時間を越えているって事なんだろうな。