著者は自身が体験したことを通じて、
考え、深め、想像して、
物語として昇華して読者に提供するのが
抜群に秀でている作家だと思う。
高校時代を描いた『桐島、部活やめるってよ』
大学生の就職活動を描いた『何者』も素晴らしかったが、
放送業界の今を描いた本作は突き抜けている。
128・129ページで、映画業界で働く主人公の一人である
立原尚吾の先輩が、以下のように述べている。
「俺たち(映画業界)は、世に出られるハードルが高くて、
だからこそ高品質である可能性も高くて、
そのためには有料で提供するしかなくて、
ゆえに拡散されにくい。
大土井君(もう一人の主人公、You tubeの世界)は、
世に出られるハードルが低くて、
つまり低品質の可能性も高くて、
だけど無料で提供できるから、
ガンガン世の中に拡散されていく」
このせめぎ合いや葛藤が、見事にストーリーとして表現されている。
ドラマ、アニメ、映画。
どれとも本作は親和性が高く、映像化されることは間違いないだろう。
なぜ、そんな作品が本屋大賞にノミネートすら、されていないのか。
理解できない。
絶対に”今”読むべき、”今”が描かれた大傑作だ。
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