著者について
西野精治(にしの・せいじ)
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)所長。医師、医学博士。
1955年大阪府出身。1987年、当時在籍していた大阪医科大学大学院からスタンフォード大学医学部精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。
1999年にイヌの家族性ナルコレプシーにおける原因遺伝子を発見し、翌2000年にはグループの中心としてヒトのナルコレプシーの主たる発生メカニズムを突き止めた。
2005年にSCNラボの所長に就任。睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。
「睡眠の謎を解き明かして社会に還元する」を命題としており、多くのアスリートから支持されている「エアウィーヴ」の開発研究にも携わった。
2016年4月より一般社団法人良質睡眠研究機構の代表理事に就任。科学分野の人材育成への思いから、大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎北米支部同窓会会長も務めている。
本書が日本語での初著書になる。
1968年にウィリアム・C・デメント博士により創設された「スタンフォード大学睡眠研究所」は、世界の睡眠医学を牽引しており、数多くの睡眠研究者を輩出していることから「世界最高の睡眠研究機関」と呼ばれている。
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メディア掲載レビューほか
「睡眠負債」を返済せよ ポイントは入眠直後の“黄金の90分"
睡眠研究の総本山・スタンフォード大学で長年研究を続ける著者。本書はその日本語による初めての著作だ。「睡眠医学」の最先端を詰め込んだ内容が多くの読者に受け入れられている。
中でも大きな反響を巻き起こしたのが、NHKスペシャルでも取り上げられた「睡眠負債」という概念だ。スタンフォードの研究者は「睡眠不足」ではなく、代わりにこの言葉を用いる。睡眠時間の短さはその場限りの問題ではなく、累積して恐ろしいダメージを人体に与え、回復するには不足分の何倍もの睡眠時間を必要とする。悪徳金融も驚く高金利の「負債」なのだ。
しかし本書は、飲酒を禁止するなど、現実味のない改善策を読者に求めない。
「もともと忙しいビジネスパーソンをターゲットに想定して作った本です。『とにかく睡眠時間を確保しましょう』といったおよそ実行できない助言ではなく、比較的試しやすい提案をお願いしました」(担当編集者の梅田直希さん)
著者が示すのは、〈黄金の90分〉という入眠直後の睡眠の質に拘るメソッドだ。入浴等で入眠し易いように体温をコントロール。睡眠前の行動をルーティン化し、脳を興奮させない。科学的な理論に基づくノウハウが丁寧に語られる。
「書名に『最高』と入れたからには、続編は今のところまだ考えていません。現時点での睡眠に関する本の決定版だと自負しています」(梅田さん)
評者:前田 久
(週刊文春 2017.07.27号掲載)
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出版社からのコメント
【本書の構成】 ◇プロローグ 「ぐっすり」を追究した究極のスタンフォード・メソッド ・「たくさん寝る」はベストな眠りか
・「最強の覚醒」をつくる睡眠、「最高の睡眠」をつくる覚醒 など
◇0章 「よく寝る」だけでパフォーマンスは上がらない ・「眠りの借金」は借りていなくてもたまる
・眠らない女性はどんどん太る
・週末の寝だめは効果があるのか? など
◇1章 なぜ人は「人生の3分の1」も眠るのか ・トップアスリートほど「眠りへのこだわり」が強かった!
・知識が脳に眠りをもたらす
・「見たい夢」は見られるのか? など
◇2章 夜に秘められた「黄金の90分」の法則 ・「8時間寝たのに眠い人」と「6時間寝てすっきりした人」
・「体温」と「脳」に眠りスイッチがある など
◇3章 スタンフォード式 最高の睡眠法 ・なぜメジャーリーグは「体温」に注目するのか
・靴下を履くと眠気が逃げる?
・「明日早い! 」ときの秘策はこれ!
・光は「見方」しだいで毒にも薬にもなる など
◇4章 超究極! 熟眠をもたらすスタンフォード覚醒戦略 ・アラームは「2つの時間」でセットする
・「咀嚼力」で眠りと記憶を強化する
・「金の眠り」になる酒を飲む など
◇5章 「眠気」を制する者が人生を制す ・睡魔に打ち勝つスタンフォード式「アンチスリーピング」メソッド
・噛めば噛むほど目が覚める
・○○を持つと眠気が逃げる? など
◇エピローグ 睡眠研究の最前線「スタンフォード」で見つけたこと ・みんな患者予備軍?
・「興奮すると眠るイヌ」の発見 など
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