システム構築の核心的な開発手法であり、様々なマネージメントに応用可能な(例えば、学校教育や途上国農村での各種サービス提供)スクラムについての本。ただ、その手法が体系だって説明されているというよりは、いろんなスクラム使用ケースが入り乱れて紹介さり、従業員の幸福度の重要さなど、ちょっと脱線しつつスクラムの輪郭が何となくわかる本。
たぶんポイントは、ガンチャート形式のしっかりした計画立案から予測不可能性を前提としたトライアルの重視、階層的な指示系統からチームとして全員でのコミュニケーションの重視、トップダウンのリーダーシップからボトムアップのカイゼン・トップはステークホルダーとの調整担当といったところか。
あんまり関係ないが印象に残った点は、心理学では「自分は状況に応じて行動し、他人は性格に応じて行動している」と偏った考え方を人はしがちで、だから他人を責めるのでなく、システムを変えるように努めよと。
悔しいのは、これが日本のトヨタ生産方式や日本の教授陣が発表した論文をもとに体系化された手法であるという点。日本はいいことたくさんやっているのに、それを体系化して発表する能力が弱い。
日本の古い巨大組織の癌は、その硬直的な官僚制・大企業病とその土台になる終身雇用・年功序列といった雇用システムなのは疑いようないが、マネージメント方式にスクラムを導入できれば、雇用システムを大きく変えないで、しかも日本人の文化にそったかたちでよい方向に修正できるのでは思った。
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